▽Hideki Watanabe's SF blog ●02/10 21:21 渡辺英樹さん(SF) ノワールという題名に違わず、タイタンたちの通う悪徳と快楽の園である怪しげなクラブ、そこで開かれる暴力的なショー、裏社会を束ねる異形のタイタン、汚職の蔓延る警察内部などがスタイリッシュな文体で描かれ、それだけでも魅力十分なのだが、さらに、キャルが真相に辿り着くための手がかりを入手する方法が極めてSF的であり、謎解きのあとの結末も(明らかにすることはできないが)、えっ、そう来るのという意外性に満ちている。手がかりの入手方法については、本書を絶賛しているギブスンの有名短篇と似ているとだけ言っておこう。ロディ殺害の謎については、伏線が見事に回収され、すっきりとした解決がついており、そこに不満はない。結末については、タイタンが富と権力の象徴として描かれ、主人公キャルがそれに反抗する主体として活躍していただけに、これでいいのかという不満が残った。まあ、落ち着いて考えればこれしかないのだろうとは思えるが