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久しぶりにKindleストアを覗いていたら、色々欲しくなって、つい何度もクリックしてしまった。

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中車芸話(年譜付) (風々齋叢書)

中車芸話(年譜付) (風々齋叢書)

→350円
 
松緑芸話 (講談社文庫)

松緑芸話 (講談社文庫)

→540円
 
『折口信夫全集・158作品⇒1冊』 【さし絵つき】

『折口信夫全集・158作品⇒1冊』 【さし絵つき】

→200円
 →1,350円
 →1,140円
 
特に全集200円には驚いた。夏目漱石や柳田邦男、芥川龍之介なども軒並み200円。(別バージョンで99円というのもあった。)青空文庫に入っているような著作権フリーを纏めただけでしかないと思うが、国立国会図書館のデジタルライブラリーのKindle化も含めて、なかなかうまいところに目をつけたものだ。
これで、最近刊行開始した谷崎潤一郎全集を買う踏ん切りが、またつかなくなってしまった。
谷崎潤一郎全集 - 第一巻

谷崎潤一郎全集 - 第一巻

谷崎潤一郎も、もうすぐ著作権フリーになるんだよなあ。

六代目

久しぶりの、リアルタイム更新。

六代目。

といっても、菊五郎でも歌右衛門でもない。
新しく購入した、ノートブックのことである。

[rakuten:allone-denki:10006150:detail]
連休明けに注文。3〜4週間後の発送とのことで当初は6月初旬の予定だったが、本日届いた。

PowerBook 540c →PowerBook 2400 →チタニウムPowerBook G4 →iBook G4 →MacBook Pro(2009)と使ってきて、六年振りの購入。

何しろ軽い。1kgを切り、920g。PowerBook 2400の時、2kgを切ったと騒いでいたのが、懐かしい。
毎日カバンに入れていても、支障のない重さ。さっそく近所の蔦屋内にあるスタバに行って、色々いじった。スペースグレイの色も、渋くて味わいがある。光の加減で明るくも暗くもなるのも良い。
拡張性の弱さが難だが、自分の使い方ではそれほど問題ない。過去のデータも全部移行せず、必要に応じ部分的に移行や新規インストールする予定。

ここ数年はiPad2が主流であったが、キーボードも使いやすく、またこのノートブックが日常的に使うマシンとなりそう。(だからといって、ずっと怠ってきたこの日記を頻繁に更新できるようになるとは限らないが。)

ボーナス見込みでの購入だったが、良い買い物をしたと思う。

2月歌舞伎座 昼・夜

kenboutei2014-02-09

昼の部
『心謎解色糸』通し
花形役者での南北通し。良い企画。
お祭左七と半時九郎兵衛の二役を染五郎、本庄綱五郎を松緑、芸者小糸に菊之助七之助が糸屋の娘お房と九郎兵衛女房お時の二役。松也の山住五平太、米吉の芸者小せん、萬太郎の廻し男儀助など。他に松江、歌昇、高麗蔵、男女蔵歌六秀太郎ら。
歌舞伎座では初めての上演とのことだが、コンパクトにまとめ、また現代の観客にもわかりやすく仕上がっていた。これなら今後再演、再々演も可能だろう。
中でも良かったのは、七之助。お房が棺桶から甦った後の「恥ずかしいわいなぁ」の台詞は、実に色気があって、これまでの七之助にはないものであり驚いた。
菊之助は、この座組では完全に立女形の風格。ずっと安心して観ていられた。
染五郎の二役も早替りで観客を沸かす。
團十郎勘三郎亡き後、菊五郎幸四郎吉右衛門ら看板役者の高齢化も進んでいる中、気がつけばその子供世代がしっかり成長していたことに、多少、歌舞伎のこれからに希望を見出せた感じがした。
 
夜の部
『弁天小僧』通し。
夜は昼と同じ座組で黙阿弥の通し。これも良い企画。
菊之助の弁天は、これまで観た中では、襲名時以来の良い出来。自家薬篭中といったところか。大詰の立ち回りは、最近菊五郎のハラハラする動きを観てきたので(これもまた実は絶品なのだが)、若さ溢れる弁天に、こちらも高揚した。弁天役者の世代交代は確実に成立した感がある。
染五郎の日本駄右衛門は、ニンとしては迫力不足。この座組では松緑の役なのかもしれない。個人的には亀三郎が担ってほしいところだが。その亀三郎の忠信は、声の良さが一際目立ち素敵であった。鳶頭清次の亀寿ともども、もっと活躍の場を与えてあげたいものだ。
松緑の南郷、七之助の赤星。
團蔵の浜松屋幸兵衛、右之助の局柵が、ベテランらしい滋味。

正月新橋演舞場 海老蔵の景清

kenboutei2014-01-19

海老蔵『壽三升景清』
歌舞伎十八番のうち、景清が出てくる『関羽』、『鎌髭』、『景清』、『解脱』の四つを一つにまとめた通し狂言。着想は面白く、また海老蔵には陰りを内面に秘めた(四代目團十郎のような)景清が良く似合うのではないかと、以前から早く『景清』をやって欲しいと思っていた。(海老蔵歌舞伎十八番といえば、他にも『矢の根』を早く観たいのだが。)
手際良くまとめた手腕は評価できるが、内容が乏しく、絵面にしても巨大海老を海老蔵が持ち上げる場面しか面白いところはなかった。
冒頭、鎌倉幕府と対峙する景清のキャラクター紹介(?)の場が設けられたその後に、三国志の世界の『関羽』となったので、少し混乱した。また、『景清』では口元の藍隈がなくなっていたのも、やや疑問。『解脱』は、すっかり景清らしさがなくなり、ABKAIで観た『蛇柳』の前シテみたいであった。
面白い企画ではあったが、海老蔵には、腰を据えた歌舞伎十八番に取り組むことを期待したい。(それは、決して上演されなくなった演目の復活ではない。)
終了時間が思っていたより早く、助かった。

正月国立劇場

kenboutei2014-01-13

『三千両初春駒曳』
正月恒例の菊五郎劇団復活(新作)狂言。原作は辰岡万作『けいせい青陽鷦』。信長死後の後継者争いを題材にしたもの。
序幕はいきなり高麗の国から始まったので驚いたが、全体的には筋を通すのに精一杯で、話の面白さはあまりなかった。ただ、近年の菊五郎劇団の新作としては、おふざけが少なく、かなり真面目に取り組んだ作品。(それも面白くなかった一因か。)
印象に残った場面は、「阿波座田郎助内の場」で、二階に菊五郎がいて、階下の菊之助松緑が同時に腹を切る場面。国姓爺の紅流しよろしく、血が壁に流れ落ちる演出。
他には、釣天井の仕掛けくらいか。「馬切り」が後世に残った場とされるが、どこに見せ場があるのか、よくわからなかった。
菊之助は高麗の照菊皇女と大工与四郎の二役だが、照菊皇女が日本でいろいろと身をやつすので、何役やっているかわからなくなり混乱した。
松緑も柴田勝重と田郎助の二役。すっかり菊五郎劇団の二枚目立役となった感がある。
菊五郎の信孝は、自由に演じる。役自体も自由人で本来深い役だと思うが、そうならないのは菊五郎の芸質によるものだろう。
時蔵田之助、彦三郎他、ベテランから若手まで万遍なく出番があり、立ち回りもたっぷり、菊五郎劇団の運営力を確認できるお芝居。

正月歌舞伎座 昼夜

kenboutei2014-01-12

昼の部
『時平の七笑』
我當の時平。正月にテレビ中継を見た時より笑い方には元気があった。幕が閉じきり、少し間があって、また笑う。観客も受けて拍手が起こる。
道真は歌六。花道引っ込みは、教え子に囲まれながら。前もそうだっかな。
由次郎の希世、進之介の輝国。

『石切梶原』
幸四郎の梶原。板付きで幕開け。可もなく不可もなく。この前吉右衛門で観たばかりなので、新鮮味はない。橋之助の大庭(初役?)、錦之助の股野。東蔵の六郎太夫が安定。梢は福助休演で高麗蔵。

『松浦の太鼓』
吉右衛門の松浦侯。今回は、いつも以上に軽い感じ。特に山鹿流の陣太鼓を聞く時の、「あっ」と声を出すところの変わり様。声のトーンも割合高く、軽妙。客受けする芝居ともいえるか。歌六の其角、梅玉の大高源吾。米吉がこの座組では抜擢ともいえる、お縫。まずは無難にこなしていた。浅草よりこちらの方が勉強になるのではないか。

『鴛鴦』
魁春の喜瀬川、橋之助の股野五郎、染五郎の河津三郎。過去にも観たことあるが、相撲に関連するものであったのは忘れていた。歌右衛門「莟会」伝説の舞踊でもあるが、今の時代で面白いかというと、疑問。
 
夜の部
『九段目』
藤十郎の戸無瀬、魁春のお石、扇雀の小浪、幸四郎の本蔵、吉右衛門の由良助、梅玉の力弥。
大顔合わせで、しかも傑作に仕上がっていた。意外なことに幸四郎が良かった。台詞にいつもの余計な感情注入がなく、義太夫狂言の形が崩れなかった。あの嫌な「きゃーるの子はきゃーる」もちゃんと「カエルの子はカエル」と言っていたので驚いた。
藤十郎の戸無瀬は、圧倒的な存在感。
これに魁春のお石が互角に戦う。独特の冷たさが、このお石の魅力。冷たい表情の裏にどんな思いがあるのか、想像を駆り立てさせる魅力があった。
扇雀の小浪は初めて観る。発声で世話に下る癖が気になるが、この座組に負けない手強さがあり、藤十郎と一緒だと丸本歌舞伎の面白さが堪能できる。
これに吉右衛門梅玉が揃い、さすがの大歌舞伎。お見事。
 
『乗合船』
梅玉の萬歳、又五郎の才蔵、ほか翫雀弥十郎、孝太郎、橋之助、児太郎、扇雀など。
・・・誰も楽しそうに見えない。

東慶寺花だより
井上ひさしの原作を歌舞伎化。新作。染五郎主演。染五郎はもともと新作との親和性があるので、この芝居でもイキイキしている。ただ観ている方が面白いかというとそうでもない。
秀太郎翫雀夫婦が面白い。特に秀太郎

新春浅草歌舞伎 一部・二部

kenboutei2014-01-02

今年の初芝居は浅草から。一部二部通しで観る。
第一部
お年玉挨拶は猿之助。終始舞台上から様式的に。初日ゆえか、猿之助にしては珍しく、言葉に詰まったり、噛んだりしていた。
『義賢最期』
愛之助の義賢、壱太郎の小万、橘三郎の九郎助、吉弥の葵御前。
前半はウトウトしあまりはっきりしない。後半、愛之助の立ち回りは堂に入って大きく見えた。仏倒しも迷いなく、見事な倒れっぷり。反動で身体が浮いたほど。壱太郎の小万は、少しなよなよし過ぎて、力強さに欠ける。橘三郎の九郎助、最初寿猿と思っていたが、違った。吉弥の葵御前はこの座組では少し老けすぎか。
『上州土産百両首』
猿之助の正太郎、巳之助の牙次郎。初めて観る芝居。
初演時は藤山寛美がやったというドジな牙次郎役を、巳之助が熱演。結果として巳之助初めての当たり役となったようだ。
登場時は、かなり痴呆めいた言動で、序幕だけの単なる端役なのかと勘違いした程だが、阿呆ながらも、訥々と自己主張する様子が、巳之助の素朴で正直な印象と重なり、味わいある役になっていた。
もっとも、初演が藤山寛美であったことを想像すると、この役はもっと違う造形であったであろう。寛美の場合は、阿呆を演じつつ、そこに鋭い人間批判を内包した、芯の太さがあったと思うが(観てないのであくまで想像だが)、巳之助の阿呆はまだ表層的。それにも拘わらず、主役の猿之助を食う程観客を沸かせていたのは、単に脚本の良さだけにとどまらない、巳之助の努力の成果である。
猿之助の正太郎も、幼馴染みへの友情も良く表現できており、これも巳之助同様、自身の持ち役の一つとなっていくのではないか。
亀鶴のみぐるみ三次が良い。顔の凄みといい、根暗な悪役をうまく演じた。
男女蔵が人の良い親分役、金的の与一。
一座の熱演に観客も反応、隣の男性客は最後泣いていた。本日昼夜通じて一番。
 
終演は押しに押し、25分延びた。

第二部 25分遅れで開演。
『博奕十王』
これも観たことない演目。今の猿翁の創作舞踊。
博奕打が死んで地獄に行くが、そこで閻魔大王と賭博し、閻魔大王の身ぐるみをはいだ上、天国へ行く。
松羽目物で『勧進帳』などをアレンジしている模様。博奕打に猿之助閻魔大王男女蔵。サイコロはフジテレビの『ごきげんよう』の「何がでるかな」みたい。
引っ込みで猿之助の六法。将来の弁慶の布石か。
『新口村』
愛之助、壱太郎、橘三郎。
愛之助の忠兵衛、何度も演じているのかと思ったら、初役とのこと。もう仁左衛門そっくりという評ではなく、愛之助として観ることができる。
壱太郎の梅川も初役。相変わらずクネクネナヨナヨしていて、仲居に見えてしまうのが良くない。しかし、この若さで義太夫狂言をしっかり演じているのは立派。
橘三郎の孫右衛門が初役かどうかは知らないが、幹部昇格早々の抜擢。しかし、義太夫味がなく、台詞に面白味がない。本来主役でもあるはずのこの役が脇役にしか見えないのは、まだ荷が重すぎるということか。
セットがいつもとは異なる印象。
『屋敷娘/石橋』
若手での舞踊。
「屋敷娘」は、米吉、梅丸、壱太郎。米吉はぽっちゃりとしていて若手女形としては今時珍しい。どこか梅幸を彷彿とさせる、貴重な体型。しかし、踊りは未熟そのもの。振りもまだ身についておらず、他人のを見ながら恐る恐る踊っていた。梅丸は、地味だが好印象。多少胸を反りすぎるが、多分教わったことを必至にやっているからだろう。壱太郎は、この中ではさすがに一日の長。やっぱりクネクネしてるが。
「石橋」は隼人、種之助、歌昇。この中では歌昇が抜群なのは言うまでもないが、種之助も案外良かった。隼人は全く踊りになってない。毛振りは、足元の安定感の違いがはっきりわかる。「石橋」なのに、石橋が出てこなかった。