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不未之奇のアンテナ
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偽日記@はてな
●02/10 14:25
2025-01-312025-01-31⚫︎『屍人荘の殺人』(今村昌弘)を読んだ(1月28日の日記を参照されたい)。うーん。面白くないことはないのだが、謎解きの部分を読むと、やや引いてしまうというか、空虚な気持ちになる。設定も面白いし(『がっこうぐらし』みたいだ)、一つ一つ事件が起きていく過程や、状況が煮詰まっていく展開もとても面白い。そして、「謎」が筋の通った形で解かれていくのも、ああ、なるほどと感心させられる。ただし、起きていることの面白さ(フィクションとしての充実)に比べて、「謎」が軽すぎるというか、見合っていないという感じがどうしてもある。トリックが安易だとか、途中でネタが割れてしまうとか、そういうことではない。それらは充分に練られていると思う。ただ、なんと言ったらいいのか。ミステリは、基本として「人間を描く」ものではない。登場人物は、識別可能な記号であり、識別可能な特徴と同一性が確保されていさえすれば、とりあえずは良い。下の写真はこの本にある登場人物一覧なのだが、ここにそれが端的に表現されている。フィクション上の重要なプレーヤーである(探偵やワトソン役以外の)女性たちの特徴が、「進藤の恋人」「神経質な性格」「男勝りな性格」「大人しい性格」「ギャル風の外見」と、あまりにざっくり書かれている。これを見て、すごいなと笑ってしまった。「進藤の恋人」というのは人物の関係性の説明だから人物紹介として普通だが、それ以外は、「青」「青」「緑」と言っているのとほとんど変わらない。でもとりあえずこれでいい。人物を掘り下げるのが目的ではない。読まれるべきなのは(楽しまれるのは)、設定や、事件の特異性や、事柄の進行の面白さなのだから。だから、事件が進行している間は面白く読める。そして、探偵やワトソン役(語り手)の人物像には、流石にそれなりの捻りや屈折や工夫があって、まあまあ味わい深いし、それが小説のトーンを形作ってもいる。しかし謎解きとなると…。ハウダニット。事件はどのように構成されているのか。これを解いていく過程や、その謎に対する「解」はについては、まあ面白く読めた。フーダニット。誰がやったのか。これは、論理的に消去法で導かれる。このロジックも納得できる。しかし、すべての人物が等しく平板なので、別に「意外な犯人」ということでもない。この人が犯人で驚いた、という感じ

内田樹
●02/10 09:00
『武道的思考』韓国語版序文みなさん、こんにちは。内田樹です。  これは『武道的思考』という僕の書き物の韓国語版です。原著は2010年に出たので、...2025-02-09 dimanche

田島老師の御ブログ
●02/10 08:31
2025年02月09日ホメロスの海へ昨年さる出版社から、哲学的エセーをまとめて出版する企画が持ち上がった。私のショート・エセーがさまざまの方向に発散する傾向を持つことを危惧した編集の方は、そこに何かまとまりをつけるために、総括的序論を置くように提案された。なるほどと思ってすぐに書き下したのが「ホメロスの海へ」という小論である。私としてはホメロスをもって、私の哲学的エセーのみならず、私の哲学的人生のすべてを総括するつもりで書いたのであるが、編集の方はそれをさらなる散乱の一つと受け取られたのであろう。それ以後数か月を経ても音沙汰がないところを見ると、あきれてさじを投げたようである。しかし、エセーという形式が、完結した学知を装うことなく、未完のトルソーを提示するものである限り、その完成は読者にゆだねられるべきものではなかろうか? それは、芸術作品が鑑賞者をまって、あるいは批評家たちの論争をもって完成するようなもの、そもそも完成などについて語り得るならの話であるが。そういうわけで、当初の出版計画そのものが水泡に帰したと見なして、ここにその全文を公開することにした。この年になると、残された時間を考えて、これをもって私の遺書としたいという気もしてくるが、何度も自分の墓碑銘を書き換えたスタンダールのように、この先たびたび書き換えることも大いにありそうなことではある。そもそも我々物書きは、その市場価もろくにわからずに、己れの作品の価値を過大に評価しがちである。誕生した作品を祝うため、香料を携えて駆けつける三人の博士などで門前市をなすとか、「三顧の礼」を踏んで編集者や出版社が引きも切らず列をなすとか、途方もない幻想を抱くことになる。そういうわけで、売れないものを書いてしまう己れの独善を棚に上げて、未来のhappy fewに期待することにもあいなるわけである。それは瓶に詰めて海に流された名宛なき手紙のようなものであろうか? あるいはかつて、浜辺に打ち上げられたそのような手紙を手に取った経験こそが、物書きへと駆り立てたのであろうか? いずれにせよ、うらさびれたこの浜辺こそは、祝福されるべき「ボヘミアの海岸」に違いない。続きを読むeaster1916 at 03:06|Permalink│Comments(0)│ │哲学ノートホメロスの海へ2025年02月哲学ノート (

古本屋ツアー・イン・ジャパン
●02/09 20:28
2025年02月09日2/9「十五時の犬」で内田善美を。午前のうちにい家内に新たに出来ていた不要古本山を特大ダンボールに詰め込み、ガラゴロガラゴロ西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ……もうこれで買取依頼は五度目くらいだろうか……。午前十一時の開店をちょっと待ってから店内に運び込み、小野氏に託す。その間に「フォニャルフ」にバババッと補充する。交渉成立後、持参した「猟奇の果」にお願いしてパラフィンを掛けてもらう。よし、これで幾ら読んでも大丈夫だぞ!その後はたまたま上京してお店を訪れていた古書山たかし氏と、お店を出てからしばらく同道。名古屋古本屋事情に花を咲かせる。氏と別れ家に戻り、昼食を摂った後、再び外出する。テクテク歩いて昨日も訪れた高円寺「西部古書会館」(2008/07/27参照)の『杉並書友会』二日目を覗く。あまり補充はされていないようだななどと感じつつ、朝日新聞社「チベット放浪/藤原新也」日本ブリタニカ「遊びの百科全書[人形からくり]/立川昭二編」(つい昨日泡坂妻夫の「乱れからくり」を読み終わった身としては、物語中に登場するからくり人形やからくり師が出て来て興奮していs舞う)国書刊行会世界幻想文学大系15「創造者/L・ボルへス」歳月社「幻想と怪奇 特集:幽霊屋敷」を計1250円で購入する。古本を携え会館を後にして、『あづま通り』へ。よおっ!「古書十五時の犬」(2011/11/22参照)がやってる!と喜び店内に入り込み、狭苦しい通路を丁寧にすべて回り尽くす。そして帳場手前横の棚に、横向きに突っ込まれていた新書館「聖パンプキンの呪文/内田善美」に目を付けてしまう……値段はちょっと安めの四千円……幸い懐には古本を売って出来たお金が入っている。そして昨日、ヤフオクで狙っていた獲物が悲しくも高値更新され、夢破れてしまっていた。そこに使う予定だったお金を、こちらにつぎ込めばいいじゃないか……などという手前勝手な論理が脳内に横行し、あっさりと購入してしまう。ウフフフフフフ、まさか「十五時の犬」で内田善美を買う日が来るなんてね。そんな風にほくそ笑みながら『あづま通り』を北上し、途中の中古レコード屋「ヨーロピアン・パパ」(2019/08/14参照)で、河出書房新社「別冊文藝 総特集 大瀧詠一」を五百円で購入してから帰宅する。【関連する記事】2/8高円寺

小谷野敦ブログ
●02/09 11:42
2025-02-08百川敬仁氏のこと百川敬仁氏(1947-)が死去したらしい。まだ正確にいつのことか分からないが、昨年か一昨年くらいだろう。私は1990年6月に修士論文を補正した『八犬伝綺想』を刊行して、8月にはカナダのヴァンクーヴァーにあるブリティッシュ・コロンビア大学へ留学したのだが、その翌年ほどなくだったか、日本文学協会という左翼的な学会が出している『日本文学』という月刊学術雑誌の近世特集に寄稿するよう百川氏から依頼されたような気がする。もちろんメールなどない当時だから手紙だったのか。それで書いたのが「江戸の二重王権」という『八犬伝』論で、すると91年の暮れに一時帰国した際、高田衛に呼ばれているというので、私と百川氏と、やはり寄稿した櫻井進氏とで、雑司ヶ谷の日文協事務所へ行ったのだが、風間誠史という、当時高校教師で、今は相模女子大の理事長になっている人が「高田側」の人物としていて、「今度の論文は面白かったです」などと言っていた。その時百川さんは色々話したが、「なんでそんなに暗いんですか」などと言われていた。百川氏は旧姓を桑野といい、東大国文科から大学院をへて東大助手となり、国文学研究資料館から明治大学教授になっていたが、夫人が長く病気だったらしい。87年に『内なる宣長』、90年に『物語としての異界』という論文集を出していて、あとから思えばポストモダン風の、文藝評論じみた書き方をする人だった。櫻井という人も当時『江戸の無意識』というバリバリのポモ新書を出しており、名古屋大助教授だったが、どういうわけかその後南山大教授になり、交通事故で死んでしまった。92年夏に私は日本へ帰ってきた。カナダではアメリカ人教員のポリコレな振る舞いと合わず、博士論文執筆資格もとれずに帰国したのだが、当時東大本郷で百川氏が非常勤で教えていたのでそこへ会いに行ったら、「俵万智なんてのは天皇制です」というような話をしていた。終わってから教壇へ数人の学生が寄ってきて、女子学生が、そうですよ俵万智なんて、天皇制ですよと言っているのを、直感で適当なことを言っているなと思った。その時私は無精ひげを生やしていたので、百川氏は私に気がつかず、少ししてから「あっ、小谷野さん!」と気づいてくれた。それから本郷の正門前の喫茶店の二階で話していたら、あとから上がってきた30代の男性に会釈して、「長島

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