▽king-biscuit works ●05/14 17:07 生身の上演による口演であることが芸能としての講談の前提にあり、まただからこそ速記ベースの講談本は、好んで読まれ得る文体を書き言葉の表現として新たに獲得していました。話し言葉をそのまま書き言葉に引き写した、読み手にとっても実際そう思える、感じられるようになっていた文体は、「読む」に際してそれまでの書き言葉と違った生身の親しさ、日々の暮らしの中であたりまえに抱いている水準と地続きの意識や感覚を生起するようになっていた。むろん、それまでの書き言葉を読むことの習熟度の違いによる個人差などはあったでしょうが、それでも時代の赴く先として、速記による講談本の文体が引き出したであろう読み手の側の日常との地続き感は、それまでの「読む」に伴っていた、読み手側の〈いま・ここ〉感覚との距離感や疎外感とは異なる身近さ、親しさを、日々の生身の生きるまるごとのリズムやテンポとも同調しながら喚起してゆきます。「それは、