▽FINE DAYS REPUBLIC - It’s about life - ●06/26 01:28 2025-06-23キャンパス灯の失敗昼間なのに、校庭跡の一本杉が内側から光っていた。透けた葉脈はミントグリーン、幹には琥珀色の縁取り。影が細くのび、風に合わせてビュンと伸縮するたび、砂埃がステージライトの粒子みたいに踊る。「……やっべ、点きっぱじゃん」伊吹慎也はスマホをかざし、露出が暴れる画面と格闘した。自作ソーラー街灯の点灯テスト――はずだったが、光量は想定値の3倍。いや4倍? 隣でポニーテールを揺らす詩子が、酸素チューブ越しに空を見上げた。「見て。影が心電図みたい」伸びた影は歩道を超え、駐車スペースの白線をまたぐ。突風が止むと、黒い線は縮んで杉の根元へ戻り、次の瞬間ふたたび解き放たれる。 詩子が胸ポケットからミントラムネを取り出し、一粒投げた。カランと音を立て、影の上に落ちる。真っ黒のライン上で白いラムネは不自然に明るく、まるで影が星を吐き出したみたいだった。「影