▽絶海の孤島
●06/13 20:08
絶海の孤島
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空の続き
一
ﾊﾞｽの窓から見える景色は､結露で曇り世界をうっすらと隠していた｡化粧で真実を偽る､哀れな女のようだ｡
車窓から流れ行く景色を眺めながら､私はただ漠然と､逃げ切れないなと思った｡すべてのことから――
地球が丸いと知ったのはいつだろう｡世界で一番遠い場所が､自分の真後ろだと気付いたのはいつだろう｡
私は指で､曇ったｶﾞﾗｽに自由と書いた｡欲しくて欲しくて､でも絶対に手に入らない｡
地面に磔のﾎﾟｽﾄよりは自由｡大空を飛べる鳥よりは不自由｡
あの大樹よりは短命｡あの犬よりは長命｡
神様を指さして言いたい｡あなたは､この宇宙の誰よりも自由ですか？
いつも降りる停留所で､私は降りなかった｡同じ学校の子が私の方をちらっと見たが､無視した｡どうせ私のこ