▽Simply Dead ●03/31 11:44 『フロム・ザ・ダークサイド』ファースト・シーズン(1983~1985)『フロム・ザ・ダークサイド』ファースト・シーズン原題:Tales from the Darkside: First Season(1983~1985)ホラーの巨匠ジョージ・A・ロメロが製作総指揮をつとめたTVシリーズ。名作『ミステリーゾーン』や『アウター・リミッツ』に倣った各話完結スタイルで、ロメロが少年時代に多大な影響を受けたECコミックス風のテイストも色濃い。オムニバス映画『クリープショー』(1982)の延長線上にあるような怪奇味溢れるエピソードが展開し、『フロム・ザ・ダークサイド(以下、TFTD)』というタイトルどおり、人間の心の闇に迫ったストーリーが中心。ふとしたきっかけで超現実的な世界に足を踏み入れてしまう人間の悲喜劇や、教訓話めいたブラックコメディなど、内容も多彩だ。もちろん、あのロメロが手がけた作品なので、特殊メイクを駆使したエピソードも(決して数は多くないが)含まれており、ホラーファンのハートをくすぐる人気作となった。しかし、日本ではバラバラにビデオソフト化されたのみで、未公開エピソードも多い。以下、邦題があるものは各タイトルに併記した。ずいぶん前に第1シーズンの米国盤DVD3枚組を買って、長いこと放置していたが、いつぞやなんとなく見始めたら止まらなくなってしまった。1話あたり20分ほどでサクッと観られるので、ちょっと作業しながらポツポツ観るうちに、気づけば1シーズン完走していた。フィルム撮り・ビデオ納品が基本だったようなので、DVDの画質はそこそこ。▲パイロット・エピソード『トリック・オア・トリート』に登場する魔女。特殊メイクのクオリティに唸るDVDには、パイロット版エピソード『Trick or Treat(トリック・オア・トリート)』にだけ、ロメロの音声解説が収録されている。『ゾンビ』(1978)や『クリープショー』で組んだローレル・エンタテインメントのリチャード・P・ルービンスタイン、プロデューサーのジェリー・ゴロッドに「ホラーシリーズを新たに作らないか」と提案されたロメロは、作品のタイトルとコンセプトを決め、オープニング&エンディングのナレーションや、パイロット版のシナリオを執筆。シリーズを立ち上げるうえで、先鋭的でありながらTV放送できる内容にすること、インディーズ体制でドラマの予算内で製作できること、若いスタッフに任せることなどを意識したという。同時期に始まった『世にも不思議なアメージング・ストーリー』(1985~87)よりも遥かに低予算だったが、4シーズンも続いたのは「いいストーリーが揃っていたからだ」とロメロは明言する。初期シリーズのクオリティ・コントロールに大いに貢献したのが、ストーリーエディターに起用した「ヴィレッジ・ヴォイス」の記者トム・アレン(彼自身が脚本を執筆したエピソードもある)。もともと検閲嫌いで、何本かの劇場作品は映倫を通さずに公開したこともあるロメロだが、『TFTD』では放送コードを逸脱することなくダークで挑戦的な内容を実現できたという。とはいえ、全体的には正直ネタかぶりが多い気もする。▲トム・サヴィーニ監督回『インサイド・ザ・クローゼット』の撮影風景レーガン政権時代(1981~89)のアメリカで作られたドラマシリーズだけあって、いま観ると「カネと欲望」にまつわるエピソードが非常に多い。最初の5話ぐらいずっとそういう内容が続くので、ちょっと胃もたれするが、筋金入りの反資本主義者であるロメロらしいシリーズとも言えよう。だから、全話観たあとで再見したくなるロメロ作品は、意外と『URAMI/怨み』(2000)だったりする。というか『URAMI/怨み』自体が『TFTD』のエピソードっぽいのかもしれない。以下は第1シリーズの共通クレジット。オープニングとエンディングの不気味なムードたっぷりのナレーションは、ポール・スペラー(スぺレール)が担当。1950年代から活動するベテラン俳優・声優で、本作を含めナレーターの仕事も多い。■製作総指揮:リチャード・P・ルービンスタイン、ジョージ・A・ロメロ、ジェリー・ゴロッドナレーション:ポール・スペラータイトル音楽:ドナルド・ルービンスタイン&エリカ・リンゼイEpisode 0(Pilot)『Trick or Treat(トリック・オア・トリート)』(1983年10月29日放送)町の資産家ギデオン・ハックルズは悪名高い守銭奴。来客に出すコーヒー1杯にも領収書つきで代金を要求するような男だ。彼の年に一度の楽しみはハロウィンの夜、近所の子供たちを脅かすこと。彼らの親は軒並みハックルズに高利で金を借りており、返済に追われていた。ハックルズの家に招かれた子供たちが借用書を探し出すことができれば、借金は帳消しとなる。しかし、ハックルズは自宅を手の込んだお化け屋敷に改造していた。その年のハロウィンも子どもたちは絶叫しながら逃げていく。その姿にご満悦のハックルズだったが、そこに本物の魔女が訪れて……。ジョージ・A・ロメロが脚本を手がけたパイロット版。チャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』の怪奇版といった趣きで、資本主義を憎んでやまないロメロらしいブラックコメディでもある。ロメロ曰く、昔からコミックでもTVドラマでも短編には慣れ親しんでおり、『クリープショー』でも書き慣れていたので、長編とは勝手が違うという感覚もなかったとのこと。性格の悪い守銭奴がアナログ技術を駆使して作り上げたお化け屋敷は、まさに情熱の産物。才能を伸ばす方向を間違えた人間の悲喜劇とも受け取れる。そんな場所に我が子を送り込む親のほうも酷いと言えば酷いが、あくまで貧者に寄りそう描写のディテールがロメロらしい。特に、わざわざ玄関先に出てきて高笑いしていたハックルズが、飛び出してきた我が子を抱きすくめる父親の姿を見て、途端に不機嫌になって不適切な悪態をつく場面が印象的。クライマックスには本物の魔女や悪魔が現れ、ドアの向こうに真っ赤な地獄が出現。本シリーズで特殊メイクを担当したエド・フレンチが、TVドラマの予算内で相当がんばっている(悪魔役で出演も)。劇場作品では『サマーキャンプ・インフェルノ』(1983)や『クリープショー2/怨霊』(1987)など数多くの作品を手がけ、最近は『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』(2023)の特殊メイク班にも参加しているベテランである。なお、奥行きのある食道めいた地獄のセットは、撮影のスティーヴン・フィアーバーグがのちに手がけた『エルム街の悪夢4/ザ・ドリーム・マスター 最後の反撃』(1988)にもちょっと似ている。監督は言わずと知れた才人、ボブ・バラバン。DVDの音声解説でも、ロメロがその演出力に太鼓判を押している。俳優としての出演作に『アルタード・ステーツ/未知への挑戦』(1980)『2010年』(1984)などがあり、ロバート・アルトマン監督の『ゴスフォード・パーク』(2001)では製作・原案にも名を連ね、監督としても数々のTVドラマや長編『ペアレンツ』(1988)などを手がけている。ハリウッドでは数少ないインテリなので(?)、最近はウェス・アンダーソン作品に重宝されている。嬉々として子どもたちをいじめた挙げ句、地獄に堕ちる老人役のバーナード・ヒューズは『悪魔のシスター』(1973)や『トロン』(1982)にも出演した名優。『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』(1985)冒頭で馬に乗った警部を演じた名脇役エディ・ジョーンズが、借金苦に追いつめられた父親役を好演し、印象に残る。■製作:デヴィッド・E・ヴォーゲル/監督:ボブ・バラバン/脚本:ジョージ・A・ロメロ/撮影:スティーヴン・フィアーバーグ/特殊メイクデザイン:エド・フレンチ/出演:バーナード・ヒューズ、エディ・ジョーンズ、パトリック・ウィルコックス、ノウル・ジョンソン、I・M・ホブソン、マックス・ライトEpisode 1『The New Man(ザ・ニュー・マン)』(1984年9月30日放送)勤勉な中年サラリーマンのアランは酒を飲まない真面目な男。あるとき、職場に彼の息子だと名乗る少年ジェリーが現れる。だが、アランにとってはまったく見知らぬ赤の他人だった。ところがジェリーはいつの間にかアランの自宅に居座り、ほかの家族も「ジェリーのこと忘れたの?」と不審な目で見る始末。幼い少年に「出ていけ!」と怒鳴り散らすアランは逆に異常者扱いされ、妻は「ひょっとして、またお酒を飲み始めたの!?」と震え上がる……。シリーズ化にGOサインが出たあとの記念すべき第1話。一度は抑えつけていた自己破壊的な欲望と衝動が、意外な来訪者によってよみがえってしまい、人生を崩壊させる男の不条理劇。特撮や特殊メイクはなく、低予算でもできるモダンホラードラマのお手本的な一編。主人公がアルコール依存症だった過去が家族にとってもトラウマになっており(特に経済的困窮において)、「もうあの頃みたいな生活はイヤ!」と、ものすごい拒否感をぶつけられる場面がリアル。ただ、アルコール依存症を自業自得めいた悪癖としてしか描いていないのは、まだ前時代的ともいえる。監督のフランク・デ・パルマは主にTV界で活動した職人監督。こまっしゃくれた闖入者ジェリー役のクリス・ヘバートは、『スターファイター』(1984)『スペースインベーダー』(1986)などにも出演した子役俳優。ミック・ギャリス監督のTVムービー『ファズバケットの贈りもの』(1986)では主演を務めている。■製作:T・J・カストロノヴァ/監督:フランク・デ・パルマ/原作短編:バーバラ・オーウェンズ/脚本:マーク・デュランド/撮影:カレン・グロスマン/出演:ヴィック・テイバック、クリス・ヘバート、ケリー・ジーン・ピーターズEpisode 2『I'll Give You a Million(百万ドルの賭)』(1984年10月7日放送)大富豪のウィリアムズ氏は、長年一緒にゲームに興じてきた商売仲間で友人のジャックと、ある賭けをする。それは己の魂を100万ドルで差し出せるか? という申し出だった……。裕福で暇を持て余した老人同士が人生をかけたギャンブルに挑むという『大逆転』(1983)ライクな物語。クライマックスには案の定、悪魔が登場する。ふてぶてしく負けず嫌いの老富豪を演じるのは、尊大なヒゲオヤジ役がよく似合う名優キーナン・ウィン。『博士の異常な愛情』(1964)の軍人役もそうだが、常識や既成概念から決して外れない尊大で狭量なおじさん(おじいさん)役のイメージが強く、ゆえに本作はハマり役。原案・監督のジョン・ハリソンは、ジョゼフ・ピラートーやトム・サヴィーニが出演した低予算ホラー『Effects』(1979)の音楽・出演・制作部からキャリアをはじめ、『クリープショー』(1982)『死霊のえじき』(1985)では助監督と音楽を担当した、ロメロ組の常連スタッフ。『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』(2007)の製作総指揮にも名を連ねている。『TFTD』では全4シーズン通して各話監督をつとめた末、劇場版『フロム・ザ・ダークサイド/3つの闇の物語』(1990)で長編監督デビューも果たした。その後、映画・TVで幅広く活躍し、2000年の『デューン/砂の惑星』ドラマシリーズ版では監督・脚本を兼任。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の新劇場版にも製作総指揮としてクレジットされていた。ドラマ版『クリープショー』(2019~)でもエピソード監督をつとめており、ロメロ組としての矜持を守っている。■製作:T・J・カストロノヴァ/原案・監督:ジョン・ハリソン/脚本:マーク・デュランド、デヴィッド・スピール/撮影:カレン・グロスマン/出演:キーナン・ウィン、ジョージ・O・ペトリー、ブラッド・フィッシャーEpisode 3『Pain Killer』(1984年10月14日放送)中年
▽○と□ ●01/26 06:00 Not Found We are sorry, but, the blog or user you are looking for can not be found. Checkout some of the blogs in our showcase. Powered by Typepad Top
▽m@stervision ●06/04 03:56 m@stervision さん m@stervision has left the building. title index archives 2007 - 2008 | archives 2006 | Pink Movies 2006 | archives 2005 | Pink Movies 2005 articles : コラム | コラム2 | 俳優の生年別リスト | 日本国憲法 前文 This site was (c) 1999-2008 by m@stervision. Thank you.
▽勝手邦題 ●06/21 03:10 藤井浩 さん twitter 『勝手邦題bot』 試験運用中 更新途絶のままでナニやってるんだとお叱りを受けそうですが、このたび『勝手邦題bot』なるものを立ち上げてみました。これは当『勝手邦題』がこれまでにいただいた投稿作品を、一定間隔でランダムにつぶやくものです。 現時点(2010年6月21日)では、とりあえず「the Hall of Fame」収録分からさらにチョイスした約1000作品をデータ化しております。ご興味のある方はぜひフォローしていただければ幸いです。 なお、投稿をいただいた方でご自分の作品をtwitterに流してほしくないという方がいらっしゃいましたら、お手数ですがメールなどにてその旨をお教えください。リストから除外させていただきます。(20100621)