▽池田信夫 blog ●05/12 14:29 2025年05月11日21:00本子供は「刺激の貧困」の中でどうやって急速に言葉を覚えるのか20世紀の哲学や人文科学の潮流を言語論的転回と呼んだのはローティだが、その言語中心主義の頂点がチョムスキーの生成文法だった。そこでは言語の本質は人類に共通の普遍文法で、それを発見することが言語学の使命だったが、それから70年たっても普遍文法は見つからない。子供の言語習得については刺激の貧困と呼ばれる問題があり、子供が親の貧困な語彙を聞くだけで短期間に話せるようになるのは、脳内にあらかじめ普遍文法をもっているからだというのがチョムスキーの仮説だった。しかしトマセロはこの仮説を多くの実験結果をもとにして全面的に否定する。子供の刺激は貧困ではない。与えられる音声や映像の刺激は膨大で、子供はそこから家族の顔や習慣などを覚えていく。言葉もそういう習慣の一つである。それは体系的な普遍文法を応用するので