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odd_hatchの読書ノート
●11/23 03:17
2024-11-22フョードル・ドストエフスキー「白痴 下」(新潮文庫)第4編1-7 女好き、神がかり、金儲けの欲望を持たない天使人間が結婚することになり、世界が混乱する。ドストエフスキー2ムイシュキンは誰とでも同じように接し、同じ距離を保って会話し、誰かに肩入れすることがない。特定の誰かの利益のためには動かない。金には淡白なので、他人の要望があればその通りに受け入れる。資本主義や権威主義社会でそれをやると不利益になるようなことができる。善悪の彼岸にいて、欲望から解放され、人生の目的を持たず、他人の自由を全面的に承認し、他人の未来を心配してばかりなのだ。みなが彼を「純情、善良(イヴォルギン将軍評)」「子供、誠意(イポリート評)」とみなすのはそれが理由。なるほどそういう人間は天使とみなすしかない。1 ・・・ ワルワーラの家には兄のガブリーラと父のイヴォルギン将軍がいて口げんかをしてい

ひとでなしの猫
●11/22 20:11
『古代オリエント集』 杉勇 ほか 訳 (筑摩世界文学大系)「イナンナは一番高い天から冥界へと思いを向けた。」「イナンナは天を投げ捨て、大地を投げ捨てた。彼女は冥界へ下っていく。」(五味亨 訳 「イナンナの冥界下り」 より)『古代オリエント集』杉勇 ほか 訳筑摩世界文學大系 1筑摩書房1978年4月30日 初版第1刷発行1990年2月25日 初版第10刷発行669p 索引xviii 別丁口絵(モノクロ)4p菊判 丸背バクラム装上製本 貼函 函カバー定価5,150円(本体5,000円)付録(8p):吉田敦彦「古代オリエント文学とギリシァ神話」/著訳者紹介/編集後記/参考文献(編集部 編)/古代オリエント要図/図版(モノクロ)2点本書「凡例」より:「本巻には古代オリエントの神話、伝説、叙事詩、讃歌、碑文、教訓などの文学作品七十一篇を翻訳収録する。」「作品ごとに訳

出版・読書メモランダム
●11/21 17:30
2024-11-21古本夜話 番外編その四の3 前田出版社と『トップ』かつて伊達得夫の『詩人たち―ユリイカ抄』を読んで、ふたつのエピソードがずっと記憶に残っていた。それらは冒頭に置かれた「『余は発見せり』」の中で、原口統三遺稿集『二十歳のエチュード』の初版がユリイカではなく、昭和二十二年六月に「M出版社」から初版五千部で出され、たちまち売り切れたが、その暮に出版社が倒産してしまったこと、伊達が原口の遺稿の出版のことで、一高の寮を訪ね、中村稔と出会い、それがきっかけとなって、中村が書いた探偵小説をカストリ雑誌に売りこみ、中村がいくばくかの原稿料を稼いだことだった。(ユリイカ)このふたつのエピソードから、伊達がユリイカを始める前は別の出版社にいて、カストリ雑誌にも関係していた事実を知った。そしてほどなくして、古本屋の棚で『二十歳のエチュード』初版を見つけ、「M出版社」が前田出版社だとわ

奇妙な世界の片隅で
●11/17 20:50
とある少女の人生  エドワード・ケアリー『おちび』エドワード・ケアリーの長篇『おちび』(東京創元社)は、後にマダム・タッソーとして有名になる少女マリーの生涯を描く作品です。1761年、アルザスに生まれた少女マリーは、父の死後、母親と共に風変わりな蝋彫刻家クルティウスのもとで世話になることになります。母も亡くなり、クルティウスの弟子兼召使となったマリーは、知り合いの作家メルシエを頼って、クルティウスと共にパリに出ることになります。二人はピコー未亡人の家に下宿することになりますが、クルティウスの才能を見た未亡人は彼の才能を使ってのし上がろうと考えます。マリーを疎む未亡人は、マリーを完全な使用人としてのみ扱うようになりますが、未亡人の息子エドモンとマリーは互いに仄かな愛情を抱くようになっていました…。蝋人形館を作ったことで有名なマダム・タッソーの生涯を想像力豊かに描いた作品です。貧しい

須雅屋の古本暗黒世界
●11/15 20:14
◎『北方ジャーナル』2024年12号発売中。http://hoppojournal.sapolog.com/e503989.html〇スガの連載「よいどれブンガク夜話」第179夜は澁澤幸子『澁澤龍彥の少年世界』――「兄は実生活ではほとんどバカと言っていい部分があった」であります。北鎌倉への新築移転、矢川澄子との離婚、独身時代に編集を担当した雑誌『血と薔薇』、それから実生活での徹底した「無能の人」(そこがまたカッコイイ!)ぶりについて、ちょこっと書いてます。連載エッセイ「古本屋女房の古本的日常」第131回は「結局怖いのは現実です」であります。このところ頻発し、札幌の豊平区でも発生した「闇バイト」強盗から、ひと昔、ふた昔前のバイオレンス小説を想い起し、小説にあるから現実にやってみようとした事件、それもミステリの王道である密室物と現実の事件についての関係について、ほんのほんのちょこっ

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