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  1. 2024/05/15 20:16:37 古本買取・古書買取・販売/オンライン古書店しましまブックス含むアンテナおとなりページ

    653件
    2024年05月12日 歴史(日本史・世界史)の研究書買取致しました(横浜市泉区)
    5月 (2)

  2. 2024/05/14 21:57:57 日本の古本屋 / 古本まつりに行こう含むアンテナおとなりページ

    ミエル川口古本市(埼玉県)
    光が丘 夏の古本市
    期間:2024/06/19~2024/08/04
    場所:リブロ光が丘店 (練馬区光が丘5-1-1 リヴィン光が丘5階)  都営大江戸線光が丘駅A4出口より徒歩3分

  3. 2024/05/08 22:49:29 キッチンに入るな 含むアンテナおとなりページ

    2024/05/06
    (66)内田百閒『丘の橋』(1938)
    [前回…]
    旺文社文庫(1982)[このシリーズの目次]
    ■ 今回はフォークナーではなく百閒の文庫本について書くつもりだったんだけど、その前に、おととい気付いたこと:
    ・国立国会図書館デジタルコレクションで、『新輯 内田百閒全集』(福武書店、1986-1989)が読めるようになっている(=本登録すれば送信サービスで閲覧可能)
    リンク先がうまくつながっていなかったらトップから「新輯 内田百閒全集」で検索し、「書誌情報」にチェックを入れる、それで全33巻がずらっと並んで自分のPCで読めてしまう。4月30日に追加された26万点のなかの33冊みたい。びっくりというより茫然とした。
    (全集の目次はここで見られる:「研究余録 ~全集目次総覧~」の該当ページ)
    ■ で、わたしの読んでいる旺文社文庫はどうかというと、これも半分近くは読めるようになっている。
    →「旺文社文庫」を「著者・編者:内田百閒」で検索した結果
    (ただし、閲覧できるかどうか以前にどうやら登録されていないものが今の時点で4冊ある)
    ・『阿房列車』シリーズや『百鬼園随筆』『ノラや』のように、ほかの文庫でいまも出ている作品は公開されないと思うんだけど、今回の『丘の橋』は「読める」うちの1冊だった。
    → 内田百間 著『丘の橋』,旺文社,1982.3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12566688
    ・もとになった単行本もここにある。
    → 内田百間 著『丘の橋』,新潮社,昭13. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1261471
    ・上記『新輯 内田百閒全集』だと「丘の橋」は第8巻に収録されていた。本当に読める。
    → 『新輯内田百間全集』第8巻,福武書店,1987.8. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/12566826
    ありがたい出来事でも、ありがたさが大きすぎると調子が狂うのを実感した。なんだかぼんやりした気分で、本来書こうとしていた感想を続ける。
    ■ 百閒は雑誌や新聞に長短さまざまな随筆や創作を書き、それが単行本になるくらいの量までたまったら配列を工夫し1冊にまとめて出版する、そしてまた新聞や雑誌にあれこれの文章を書き…というやり方で本を作っていたようだ。
    そうやってできた文集をわりとそのまま文庫にしたのが旺文社文庫の百閒作品で、『丘の橋』には1937(昭和12)年の後半から翌1938(昭和13)年の前半までに発表されたものが入っていた。
    なかでもいちばんの目玉が「東京日記」なのは、これが1冊の最後に堂々と置かれていることから明らかだし、そんな構成を知らなくたって「東京日記」そのものを(岩波文庫なりちくま文庫なりデジタルコレクションなりで)読んだ人なら「そりゃそれが目玉だろうよ」とだれしも思うんじゃないだろうか。
    なので今回、「東京日記」についてはパスするが、『丘の橋』にはこの連作を東京駅の鐵道ホテルにこもって書いていた年末の2週間弱を回想する「鐵道館漫記」も入っていてよかった。裏話として面白い以上に「そもそも、人は「東京日記」をカン詰めになって書き下ろせるものなのか」と意外なような、何かを裏切られたような気持になる。
    《[…] 電車は毎朝四時になると、一分の間違ひもなく、ボウと云ふ警笛を鳴らして、がたんがたん走り出す。ベツドから降りて、カーテンを開け、ブラインドを上げて覗いて見たが、二三度さうして見たけれど、人の乗つてゐるところは一度も見えなかつた。ただ明かるい窓を列[つら]ねて、大概三台続きで、空つぽの電車がよそよそしくどこかへ走つて行つた。うつらうつら眠つてゐて、その音を夢うつつの間に聞く時も、明かるい空つぽの窓がちらちらと目の前を通り過ぎる様な気がした。》「鐵道館漫記」pp.74-75
    ■ 1937年の7月に日本が戦争を始めてからは、百閒の書くものにも戦争や軍隊に関係する話題が入ってくる。こういうリアルタイム性というか時事性は、テーマ別のアンソロジーだと見えにくくなっている気がする。
    たとえば「蒙禿少尉の出征」で描かれるのは法政大学で教えていた時代の教え子だったひとりが出征するにあたって家を訪ねてきた日のことと、その元教え子に会うために部隊を訪ねていった日のことで、それぞれ7月の末と8月の頭である。
    《「これつきり向うへ行つてしまふのか」
    「いや、もう一遍ぐらゐ伺へるでせう。これから一寸[ちよつと]家へ廻つて、それから買物をして」何となく軍人らしい格好で腕時計を見てゐたが、「兎に角[とにかく]、隊へ帰つてから連絡します。左様なら」と云つたかと思ふと、起[た]ち上がつて挙手の礼をした。》p.17
    《そちらの天幕でお待ち下さいと云はれたけれど、その天幕の中は人が一ぱいだから、門の脇にある大きな桜の樹の下に起つて、汗を拭いてゐた。時時[ときどき]原の向うから熱い風が吹いて来て、煮えた様になつてゐる草の根もとから砂を巻き上げた。》p.18
    ほかにも「留学生」は《今の様な時勢で支那人の噂をするのも気が引ける様だが》(p.28)と書き出され、高等学校(旧制)のときに同じ教室にいた中国人留学生ふたりの話と、法政大学で中国人のクラスに日本語を教えたときの話が綴られる。まとめるならどちらも「うまく付き合えなかった自分(たち)」を苦みとともにふりかえるようで、わたしみたいな生半可な読者には意外に感じられる読み味だった。
    そして「軍歌の悲哀」。百閒は1889(明治22)年生まれだから、日清戦争の始まった1894年にはまだ小学校に入っていない。それでも、
    《[…] 勝つた後の勇ましい気持は、その後学校に上がる様になつてから教はつた軍歌によつて、子供心に一生涯の感激となつて残るものを植ゑえつけられた。》p.20
    前に読んだ『鶴』(1935)には子供時代の思い出をまとめた「郷夢散録」というのが入っており、そこでは幼時におぼえた軍歌の歌詞が何曲ぶんもえんえん引用されていた。
    《戦争の行はれてゐる間の事は何も知らなかつた、すんだ後で、続続と出来た軍歌を学校で教はり、節をつけた歌によつて、日清戦争を自分の記憶であると、自分で思ひ違へる程に知つたのである。》「郷夢散録」、『鶴』(旺文社文庫)pp.186-187 *下線は引用者、以下同じ。
    自分のものではない記憶を自分のものであるかのように取り違える事態は、ほかの『鶴』収録作でも何度か起きていた。ともあれ、軍歌や大人から聞かせられた物語を通して子供時代が日清戦争に結びついている、百閒はそういう人だった。
    では10年後、十代半ばでの日露戦争はどうかといえば、「のちに「旅順入城式」を書いている」に尽きると思うのだけど、もうひとつ印象に残るフレーズがあった。『続百鬼園随筆』(1934)に入っていた「鶏蘇佛」である。
    これはもともと百閒が百閒になる前の20歳ごろ、高等学校の校友会誌に載せた作品で、中学時代からの友人で夭逝した友達・堀野を追悼する文章だった。冒頭で、岡山の町を大騒ぎして練り歩く群集のなかに内田青年も堀野もいた。
    《二萬人の気のふれた連中が、押し合ひ、へし合ひして、大道に下りて行く。ぶわ、ぶわ、ちんがらがつた、と楽隊が鳴つた。咽喉[のど]を搾つて萬歳と絶叫する。砂が火事跡の煙の様な色をして、濛濛[もうもう]と立ち騰[のぼ]つた。気のふれた二萬人は、此[この]砂を吸ひ込んで、益[ますます]陽気になり、そら、遼陽とられて気の毒ぢや、と歌つた。川崎君と僕も此[この]連中の中にゐた。其時[そのとき]偕楽園で堀野に会ひ、それから、三人が離れぬ様に気をつけながら、砂を吸つて、遼陽とられて気の毒ぢや、と歌つて行つた。》「鶏蘇佛」、『続百鬼園随筆』(旺文社文庫)p.111 *太字は引用者。以下同じ。
    これが1904(明治37)年の9月ごろのはずで、それから丸1年くらい続いた戦争について触れた部分はこのあと一切なかったけれども、いま調べたら「旅順入城式」の初出は1925(大正14)年だった。戦争が終わってから(勝って終わってから)ぴったり20年後にあの短篇――苦しそうに行軍する兵隊を記録した活動写真を見ているうちに涙がこぼれ、いつのまにか自分もいっしょに行軍している――を書いた百閒の内側と外側のいきさつについては、きっと山ほど研究が積み上がっているのだと思う。
    《兵隊の顔はどれもこれも皆悲しさうであつた。私はその一場面を見ただけで、二十年前に歌ひ忘れた軍歌の節を思ひ出す様な気がした。
    旅順を取り巻く山山の姿が、幾つもの峰を連らねて、青色に写し出された時、私は自分の昔の記憶を展[ひら]いて見るやうな不思議な悲哀を感じ出した。何と云ふ悲しい山の姿だらう。峰を覆[おほ]ふ空には光がなくて、山のうしろは薄暗かつた。あの一番暗い空の下に旅順口があるのだと思つた。》「旅順入城式」、『冥途・旅順入城式』(旺文社文庫)p.230
    ついでにだいぶ前、『凸凹道』(1935)の感想で書いたことをくり返すと、そこに収めた「鶴の二声」で百閒は『鶴』の自作解説めいたことをしてこう書いている。
    《かうして朝から晩まで作文に専念してゐると、一篇毎[ごと]に上達して行くのが自分で解るやうな気がする。[…] 通つて来た後を振り返つて見ると大変に上達してゐる事を自認するのである。のみならず「鶴」になつて、自分の歩いてゐる道の方角が大分はつきりして来た様な気持もする。矢張り小生の道はすべて旅順口に通じてゐる様である。「鶴」も旅順に通ふ道の一つであつて、比較的に道幅も広く、日なたである「旅順入城式」に通つた嶮路ではなささうだが、「鶴」の道を行けば同じ所に出られるらしく、旅順口を取巻く山山がもう向うに雲の様な姿で現はれかけた様に自分で思つてゐる。もう一息か二息で、文章上の種とか材料とかが無くなつて来れば、行程はいよいよ捗[はかど]るものと考へる。》「鶴の二声」、『凸凹道』(旺文社文庫)pp.191-192
    これってどういうことなのか、百閒に詳しい人に教えてもらいたいところだ。
    ■「遼陽とられて気の毒ぢや」の「鶏蘇佛」は20歳ごろの作品だとさっき書いた。それよりさらに数年前、文芸雑誌「文章世界」に投稿して掲載された数篇も同じ『続百鬼園随筆』に旧稿として入っていた。そのひとつが「乞食」といって、家に来た母子連れの乞食に食べ物をやったときの写生文だった。
    これも前に『北溟』(1937)の感想で書いたことのくり返しなのだけど、ずっとあと、百閒はプロの文筆家になってからも折にふれ乞食について書いているのがわたしは気になっている。
    今回の『丘の橋』にもまたそんな文章があった。「浮世風呂」という題で、近所の路上で生活している“拾ひ屋”の親子の話である(百閒は拾ひ屋と乞食を区別しているようであんまり区別していない)。ごみ車のなかに布団を敷いて寝起きする夫婦と子供ふたりの家族が石油罐[かん]を竃[かまど]代わりにして煮炊きするような暮らしぶりを、百閒はよく見ている。
    《「あんなの、可笑[おか]しいわねえ」と姉が云ふと、弟の方も可愛らしい声で、
    「可笑しいねえ」と云つた途端に、車の中で、後の布団の上にどんと仰向けに倒れて、足をばたばた動かした。
    すると姉の方もそれに連れて、同じ様に後に倒れ、足をばたばたやつて「可笑しかつたわねえ」と云ふ声が聞こえた。いつまでもやつてゐると見えて、通り過ぎた後で、一寸[ちよつと]振り返つた時、ごみ車の縁から小さな足が出たり隠れたりした。》p.68
    ある日、百閒は銭湯に出かけて行って人參[にんじん]湯に入った。小さめの浴槽でいっしょだったのは1人だけで、その男が風呂から上がり、服を着るのを見るとどうやら乞食である。
    《狭い人參湯の中に、乞食と一緒に漬かつてゐたかと思ふと、変な気もしたが、お互に裸で出会へば乞食も何もあつたものではない。運わるく一緒に出て来て、著物を著ると

  4. 2024/04/01 03:19:27 退屈男と本と街含むアンテナおとなりページ

    < April 2024 >
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  5. 2024/03/31 18:09:18 晩鮭亭日常含むアンテナおとなりページ

    2024-03-29
    ふらり、観光地。
    2024.3.28.(木)
    ゆっくりと目覚める。久しぶりによく寝られた。
    シャワーを浴びて、着替え、朝食をとりにホテルを出る。四条烏丸近辺に泊まった時には毎回前田珈琲本店でモーニングを頼むことにしている。今回も同じ。職場に向かう人々の流れに混じってのんびり店まで歩くのは京都に泊まった朝の喜びとなっている。
    朝食を終えてホテルに戻り、支度を整えてチェックアウト。昨日の買い物ですでにボストンバッグは肩に食い込む重さとなっている。まずはこちらをロッカーに預けないことには動き回れない。京都駅のロッカーはまだ午前中ということもあり、すんなりと空きが見つけられた。
    身軽になって地下鉄に乗る。昨日、たまたまネットで善行堂の話題を見ていた時に、今日まで村田画廊で林哲夫さんの2人展をやっていることを知った。この偶然を逃してはならじと松ヶ崎駅で下車して画廊へ。住宅街の中にある落ち着いた雰囲気の画廊。ご夫婦でやっていらっしゃるようで、気軽に声を掛けてくれる。書いた住所が横浜だったので驚いたようだった。お茶とお菓子が出てきて驚く。アットホームな場所で好きな画家の絵を見て心安らぐ。その中でパリの書店を描いた水彩画がこんなに安く買っては申し訳ないという値段で出ていたので迷わず購入する。すでに林さんの油彩のパリの書店の絵を持っているため、同じシリーズが増えて嬉しい。そういえば善行堂にも林さんが描いた小津安二郎のポートレイトが置いてあったことを思い出す。あれもいい味わいの絵だったなあ。善行堂でも林さんの絵は買えるのだった(以前にリクエストして坂口安吾のポートレイトを善行堂経由で購入したことがある)。最終日ということで林さんと会えるかなと思っていたが、午後から来るとのことなので、よろしくお伝えくださいと伝言を頼んで画廊を後にする。
    天気予報アプリは午後3時過ぎから雨と告げているので、先を急ぐ。地下鉄丸太町駅で下車し、京都御所の横を歩いて鴨川近くにある誠光社へ。すでに数人のお客さんがいた。この書店も来るたびに必ず客の姿がある人気店だ。店頭の面陳棚に橋本倫史さんの新刊が置いてあった。地元でも買えるがこの本は観光地・京都で買うべきだろう。
    -橋本倫史「観光地ぶらり」(太田出版)
    橋本さんの本は著者自身が撮った写真がカバーに使われることが多く、この本も同じ。そしてそれらが皆いい写真なのだ。橋本作品では個人的に「東京の古本屋」(本の雑誌社)が好きで、自分で読むだけでは飽き足らず、神保町のPassageで借りている貸し棚でもこれまで4冊売っており、今5冊目が並んでいる状態だ。
    会計をしにレジに行くとレジ前でオリジナルブレンドのコーヒー豆が売っており、六曜社由来の豆であると書かれていたので一緒に買う。家で飲むのが楽しみだ。
    時間は正午を過ぎ、昼食をとるために京都市役所方面へ歩いて移動。京都という街が好きなのは、大通りと大通りを繋ぐ小さな通りを歩いていても、不意に小さな書店や古書店と出会うところ。東京の都心ではこうはいかない。いつの間にか寺町通に出ていたらしく、不意に目の前に三月書房の姿が見えて思わず「あっ」と声が出た。三月書房が週休7日となってからどれくらい経ったのだっけ。戸が閉まっているだけで、店も看板も以前のままだ。今でも京都に行くことを考える時にスケジュールに三月書房を入れそうになってしまう。それくらいこの店に行けなくなったことは大きな損失なのだ。編集工房ノアの PR誌『海鳴り』をもらうのはこの店で編集工房ノアの本を買う時と決めていた。今は善行堂が自分にとっての『海鳴り』の窓口となっている。
    三月書房前を通り、スマート珈琲店へ。ここでスマートランチでもと思ったが、案の定店前に列ができている。諦めて新京極通へ移動し、スタンドへ行ってみる。カウンターの端の席に空きがあったので滑り込む。正午過ぎだというのに樽酒やサワーが飛び交う店内でスタンドランチを頼む。ここは観光客よりも地元民の割合が高いと感じさせてくれる店。会話の多くが地元の言葉であるのがそれを教えてくれる。隣のおじさんが50年ぶりに食べるというハムカツを「うまい。うまい。」と繰り返す。小学生の時にハムカツを食べている友達から端っこを分けてもらて以来のハムカツらしい。確かにハムカツはそんなに頻繁に食べるものではないが、50年間まったく出会わないというほどレアな食べ物だとも思われない。日本に住んでいて50年ハムカツと出会わない人生というのがなんだか不思議な気がしてしまう。
    関東も夕方から雨の予報が出ており、本を抱えて雨に降られるのは避けたいので、3時の新幹線で帰ることにする。四条烏丸の進々堂で食後のコーヒーを飲んで時間調整をして、京都駅へ。
    この頃からくしゃみと鼻水が止まらなくなる。花粉症の薬は飲んでいるのだが、この2日野外で花粉を浴び続けた影響が出たらしい。新幹線では読書を諦めて目をつぶり、身を背もたれに預けてイヤフォンでラジオのタイムフリー録音を聴きながら帰る。
    定年退職したら、京都で1年、ロンドンで1年暮らしてみたいとよく冗談めかして言っている。しかし、暮らしてしまったら現在の京都が持っている非日常感は失われてしまうだろう。昼の本屋巡りも夜の京都散歩も僕にとっては日常を忘れさせてくれるこれ以上ないアイテムであり、この2日のために1年ストレスにまみれて働いているようなものだ。それを考えると京都はふらりと行く観光地のままにしておくのがいいのかもしれない。
    なんとか雨が降る前に家へたどり着いた。
    vanjacketei 2024-03-29 22:09 読者になる
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    2024-03-29
    Japaneseman in 京都。
    2024年3月27日(水)
    今日と明日の2日間休みをとって京都へ行く。
    午前9時の新幹線に乗る。窓際の席を選んだが、隣は空席だったので気兼ねなくトイレにも立てるので快適。
    車内の読書用に持ってきたのは森見登美彦「シャーロック・ホームズの凱旋」(中央公論新社)。舞台がヴィクトリア朝京都という設定となれば、今日の読書に丁度いい。ホームズ、ワトソン、モリアーティ、レストレード警部となじみの名前が何故か京都の地名の中で生き、行動している不思議。ホームズの下宿は寺町通221Bにある。
    昼前に京都駅着。買った本を持ち帰る用の大きなボストンバックを駅のロッカーに預ける。インバウンドで溢れる駅のロッカーは使用済みの赤いライトで覆われており、諦めかけた時に一番下の小さなサイズがひとつだけ緑に光っているのを見つける。滑り込みセーフ。
    電車を乗り継いで、一乗寺駅へ。目指すは恵文社一乗寺店。だが、その前に腹ごしらえと恵文社の並びの食事処へ入る。海鮮料理が売りの店のようだが、魚より肉派のこちらとしてはランチメニューから豚カツ定食を選ぶ。運ばれてきた豚カツの横には煮魚ののった小皿が添えてあった。そこまで魚推しの店なのだなと驚く。
    隣の席ではお婆さん2人が、京都の池から連れさられた鴨の話題を繰り返ししている。「誰が何のために連れてったのかな」「かわいそうやね」というリフレーンを聴きながらスランプに悩む京都のホームズの出番なのではと思う。
    腹を整えてから、恵文社へ。平日の昼間だというのに店内は10人近い客で賑わっていた。自分と変わらない年代の男性も数人いたが、お客さんがみんなオシャレな服装なのにちょっとたじろぐ。店の内装や本の展示を眺めながら、ここはモノとしての本の魅力を来る者に感じさせてくれる場所だなと改めて思う。だからこそ、オシャレ空間が得意ではない自分が京都に来るたびに足を運んでしまうのだろう。
    -櫻庭由紀子「落語速記はいかに文学を変えたか」(淡交社)
    -毛塚了一郎「音盤紀行 ①②」(KADOKAWA)
    -木村衣有子「私的コーヒーAto Z」(はるあきクラブ)
    櫻庭本は、落語速記と近代文学の関係への興味から。その昔、三遊亭圓朝の作品(速記本)を読んでいるという知人に向けて書いた文章で、三遊亭圓朝の速記本が近代文学の言文一致に与えた影響について言及したことがあり、その時からこの問題に関心を持つようになった。
    「音盤紀行」は“レコードにまつわる時代も国もさまざまなオムニバス作品集”と帯にある漫画。こんな漫画があるとは知らなかった。ジャズのアナログレコードブームが再来している自分にとってストライクな作品。
    木村衣有子さんの本(冊子)は、出たことは知っていたが、置かれる店が限定されているためこれまで手に入らなかった。恵文社一乗寺店は木村さんがバイトをしていた店。買うならここしかないという感じ。
    店を出て、線路を渡って萩書房へ。しばらく来ていなかったので店がまだあるのか心配だったが、無事営業していた。せっかくだから何か買って帰りたいと思って棚を眺めていると小林信彦の「虚栄の市」と「冬の神話」(ともに角川文庫)が置いてあるのを見つける。金子國義のカバーが見事なこれらの文庫は絶版のままになっており、他の文庫に移ることもなく現在に至っている。そのため結構な値段がついていることも小林信彦ファンなら周知の事実だ。「虚栄の市」を手に取るとやはりそれなりの値段がついている(もっと高い金額がついていることの方が多い)。「冬の神話」を手に取るとその3分の1程度の値段(講談社文芸文庫の新刊の値段くらい)だったのでこれに決める。「虚栄の市」は電子書籍になっていてKindleでも読めるのだが、何故か「冬の神話」は電子書籍化されていない。その意味でもこの文庫の価値は高いと感じる。それにしても金子國義のカバー絵は魅力的だな。
    叡山電車で出町柳まで戻り、17番の市バスで銀閣寺道のバス停で降りる。通りの向こう側に善行堂が見えた。善行堂の中には数人のお客さんがいて、善行さんが熱心に話をしている。話がひと段落つくのを見計らって挨拶をする。今回の京都行きの目的の一つが善行堂で1万円買い物をするということであった。それというのも、以前に自宅で処分に困っていたジャズのアナログレコードを善行堂に送って買い取ってもらった金額が1万円で、その代金は今度善行堂に行った時にその金額分の本を無料でもらうことで支払に換えるという提案をこちらからして善行さんが受け入れてくれたのだ。早速、1万円を目指して棚から本を抜いていく。昭和のテレビ番組「がっちり買いまショウ」(値段のついていない商品を選び、合計が設定された金額であればその商品をもらえるという番組)のようだなと思う。結果は1万6千円と6千円オーバー。番組なら商品没収となるが、こちらは6千円払えば商品は全て手に入るので安心だ(本の買い過ぎは心配だけどね)。
    -長谷川郁夫「編集者 漱石」(新潮社)
    -『SIESTE』(午睡書架)第1号・第2号
    など(他多数)を購入。『SIESTE』は“シュルレアリスムや異端文学”への関心を形にした小冊子とのこと。画家の林哲夫さんも執筆している。
    いつものように善行さんと2時間以上おしゃべりをしてしまう。善行堂を堪能して店の前のバス停から17番の市バスで京都駅まで戻る。
    ロッカーからボストンバッグを取り出し、そこに本日の収穫を入れて地下鉄で四条烏丸へ。いつもの東横インはどこも満杯。ネットで検索して許容範囲の値段のビジネスホテルの最後の1室とやらを押さえたのが、相鉄系の真新しいホテル。それでも東横インの倍の値段になった。移動の便のいい四条烏丸でこの値段ならよしとするしかない。フロントやエレベーターで顔を合わせるのは外国からの旅行者ばかりだ。
    重い荷物は部屋に置いて、ホテルを出て夕食を食べにいく。錦市場、寺町通もインバウンドで埋め尽くされている。そこらの店は行列上等という有様なので、何度か利用したことのある京都市役所近くの柳庵という蕎麦屋に行ってみると「休業」の張り紙が。ここのうどんの出汁の味が好きだったのに残念だ。
    これは観光客が行かなそうな店を選ぶしかないと京都出身のグレゴリ青山さんの本で京都市民のソウルフード(?)であると知っ

  6. 2024/03/28 11:24:57 古本ソムリエの日記含むアンテナおとなりページ

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  11. 2024/03/26 13:38:09 日々のあわ.。o○含むアンテナおとなりページ

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  16. 2020/09/18 05:18:33 幻 想 の 断 片 含むアンテナおとなりページ

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  17. 2020/09/10 14:32:07 ぴゅうぴゅう含むアンテナおとなりページ

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    2020-09-09 17:52:42
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    2020-09-10 09:51:00
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    ドコモ口座を悪用した不正送金についてまとめてみた
    piyolog
    2020-09-08 05:44:31
    自民党総裁選 候補者の演説まとめ
    Chikirinの日記
    2020-09-08 17:18:11
    ファトス・コンゴリ『敗残者』
    西東京日記 IN はてな
    2020-09-09 23:05:17
    痛いもんは痛い
    ナゲブログ
    2020-09-08 23:57:39
    こんにちは、ナゲです。 前回書いた『やめなきゃなんでもいい』という記事、色々な方に読んでもらい大変嬉しく思いま…
    2020年8月の劇場(備忘録)
    stage note archive
    2020-09-08 20:00:13
    お友達とツイッターでやりとりしてたときに、「感染症対策としてこんなこともしてる、って話を具体的に出してもらう…
    hitode909の日記
    2020-09-10 14:09:49
    からっしゃいませ(担々麺屋)が閉店して困っていた。京都店は閉店、小倉店は復活したようなので、いつか福岡まで行く…

  18. 2019/12/13 22:27:06 やまねこ書店 - やまねこの日記含むアンテナおとなりページ

    403 Forbidden
    openresty

  19. 2017/05/03 20:44:15 まっしろな気持ち含むアンテナおとなりページ

    ましろの読書レビュー。気の向くままに紡いでおります。

  20. 2016/10/27 10:56:13 対抗文化専門古書 気流舎 含むアンテナおとなりページ

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    気流舎
    ちいさなロフト、 こくのある珈琲、 人生を変えるほどの本。気流舎は、東京下北沢にある 四坪の古本カフェ・バーです。
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  21. 2012/01/28 17:36:42 古書肆マルドロール含むアンテナおとなりページ

    古書肆マルドロール
    2011年12月24日よりHPをリニューアルし、
    下記アドレスへ移行しました。
    http://maldoror.web.fc2.com
    引き続きよろしくお願い申し上げます。