▽池田信夫 blog ●01/18 01:10 2025年01月17日18:07本仏教は量子力学のパラドックスを解けるか廣松渉は仏教について聞かれると「印哲はサボっていたので苦手だ」といっていたが、この対談を読むと、大乗仏典を読んでくわしく仏教を勉強していたことがわかる。彼の事的世界観はウィトゲンシュタインの「世界は事の総体であって物の総体ではない」という言葉から来たものだが、物の実在を否定する仏教の<空>の哲学に近い。西洋哲学が「有の哲学」だとすれば、仏教は「無の哲学」だが、<空>という概念は有と無の区別も認めない。実体概念を否定する廣松の関係主義は、仏教の<縁起>である。その応用問題として本書で論じているのは、観測問題などの量子力学のパラドックスである。これは昔から指摘されていたが、ベルの不等式は成立しないことが実験で証明され、パラドックスではなくなった。宇宙には局所的な因果関係を超えて伝わる遠隔作用があり、今ではそれを実