のンテナ
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▽傘をひらいて、空を●11/12 20:40 2024-11-12きみはラリらずに生きていけるか二十代前半くらいまではいろんな経験が少ないから、何をやってもテンションが上がった。大学生のころなど、今にして思えば些細なことで脳内麻薬がばんばん出ていた。旅先の景色はいつも新鮮で、恋愛は比喩でなく「死んでもいい」ほどのもので、友情は永遠の輝きを宿していた。読む本にいちいち驚いたり泣いたり狼狽したり、そりゃあ忙しかった。ものを知らなかったから、世界を説明するための概念ひとつがどれだけ感動的だったことか。今はそうではない。旅行は飽きないように頻度を減らしているし、恋愛の高揚は平熱の愛情に着地して、友人関係なども平和なものである。本を読んでいても、しばしば「ああ、こういう系統ね」と思う。遭遇するたいていのできごとが予想どおりの結末に向かう。そんなだから、近ごろのわたしの心拍数の標準偏差はとっても小さい。「こうして人は大人になるのだ」と
▽内田樹の研究室●11/08 23:01 内田樹選集今日はこれから病院ですい臓がんの切除手術の日程打ち合わせである。手術が無事に終わったとしても、もう74歳であるから、相...2024-11-08 vendredi韓国の出版社企画で「無知の楽しさ」という本が出た。韓国の編集者や訳者の朴東燮先生からの質問に私が答えて一冊の本になったの...
▽視基aB●09/22 02:41 2024-09-20管理日記公共の空間に体格の良い男が寝間着姿でいると、警戒してしまう。場における適切さに頓着しないというワイルドの宣言に受け取れるし、予定になかった外出を余儀なくされての不機嫌さも漂う。このマンションの一階は、他の階より一室少なく、あいた一室分のスペースがエレベーターホールに充てられており、それなりに広い空間に、造花のスタンドと、本物の観葉植物がいくつか、アームチェアが二脚と小さく低いテーブルが一台、置いてある。タオル生地の短パン、同じ素材のシャツを着て、椅子に浅く腰掛け、テーブルの上にサンダル履きの足を投げ出した男からは、防犯カメラ越しの不鮮明な映像でも、不機嫌さが伝わってきた。いざとなったらすぐに暴力を行使するぞ、と意気込んでいるようにも見える。一階の掃除は終わっていたので、しばらくはホールに近づかないが、一時間に一度行う巡回では、エレベーターを使う。15階まで
▽ココロ社●07/07 11:59 2024-07-06夏のウグイスが精神的にやかましいという話ウグイスといえば、かわいらしい鳴き声で春の到来を告げる鳥であることはご存知のとおりである。ウグイス的にはべつに人間に春が来たことを知らせたくて鳴いてはいないのだが、人間はウグイスの鳴き声を聞いて春が来たと感じて、勝手にうれしい気持ちになるものである。かつてわたしは旅先でウグイスの鳴き声を聞いて、やっと春がきたと喜んだりしていたものだが、何回か鳴き声を聞いて春の到来を実感してから、その鳴き声は車の走行音などと同様、意識にのぼってこない音になっていた。ウグイスのことをよく知ることになった、というより、いやおうなく知ることになったのは、鳥のうるさい地域に引っ越してきてからのこと。まず、鳥のうるさい地域とはどこかというと、多摩ニュータウンである。それまで暮らしていた東中野や調布、武蔵小杉と比べて鳥がうるさいのは当然としても、わたしの
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