Linus’s blanket
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▽飯ログ●09/11 03:29 フルーツビール
タブレットアクセサリー
レディーズファッション
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レディーズ小物
▽解自●12/26 03:45 〜底編〜
30 心の磨耗に支えられし現代社会
鬱積をぶちまけ続けたパラダイソから距離を置いていた、この5年余りの歳月、私から絶望感が奪われたわけではなかった。それは幸せという皮膜に巧妙に覆い隠され、さながら不気味な泡のごとく表層に至っては突き破ることのないようひたすらに制御されていた。リミッターが外れた今はどうか。思考はできる、世界は憎める。ただそれらを伝える際の文章を脳内で再構成する時、私の納得いくべき芸術性や指向性を持たらすことができなくなっている。余りにアウトプットを怠った己への罰であろう。私の価値というものは個人的な尺度で捉えると絶望を撒き散らし、そこから紡がれる文言により他者の幸福を多寡あれど減衰させること、その一点に尽きていた。色褪せる景色がないように、かろうじて誇れるべき己の能力すら風化した今、紡がれるべきものは何? 君たちは何?(賭博覇王伝 零)
私は原初に立ち返る。会社を、勤労を憎むというシンプルかつ明確な敵対思想に今でこそ立ち還る。鈴木先生というドラマの一節「今の学校教育は手のかからない生徒の心の摩耗の上に支えられている」を想起してみよ。これは学校教育というチンケな枠では収まらず、正社員を神格化した社獄というシステムそのものではないか。残業をしすぎれば無能扱い。評価に響き、業務上のミスしようものなら退職・減給を匂わせ、私の所属するIT業界という暗黒輪廻で申せば納期という言霊を持って社畜を縛り付ける。幸いなことに私に家族はいないけれど、もしも家庭まで持ち、転職できる能力がなければ逃げ道すら封殺され全てを奪われる。これを歪みと呼ばず何と呼ぼうか? 劣悪な環境下、健全な精神を持たぬ下郎共が辿り着く果てを私は知っている。鈍化し、停滞し、諦観するしかないのだ。
世界と対峙し、変革する意識も能力もない、薄っぺらな自己顕示欲と閉ざされた世界で切り刻まれた精神漏洩を続け
▽灰●09/08 05:09 ▼
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灰 ―HAI―
端緒としての象徴(なんでもないもの) ―8月30日―
福神漬けを添えたカレーなのか、カレーに添えられた福神漬けなのかわからなくなるほどに、彼女のカレーは真っ赤だった。福神漬けを作った人も決してこのような食べ方を推奨しないと思うのだけど、だからと言ってそれが法に触れるわけではない。犯罪的に醜悪な見た目になってしまったカレーは、しかしまだぎりぎり犯罪ではなかった。
「おいしいかい?」
「おいしいと思うのか?」彼女はなぜそんなことを聞くのかといわんばかりの顔をした。「学食のカレーをおいしく感じられるようになったらいよいよ終わりだという気がするな」
おいしくないのはカレーと福神漬けのどちらなのかを訊ねようとして思いとどまった。どうせ返答は両方に決まっている。決まっていることを省略しつづければ人類はきっと滅亡するに違いないけれど、何もかも省略されない世界でわずらわしさにわずらわされていきるよりはそっちの方がよっぽど幸せだろう。
「なにが終わる?」
「知ったことか」と彼女はスプーンに持ったカレーと福神漬けをほおばった。それは女の子らしくない食べ方だったけれど、不思議と下品にも無作法にも見えなかった。「なにかが終わるんだ。そして、何かが終わることはたいていは良くないことだ」
「それは偏りすぎている」
「だからどうした」
彼女は美しい瞳を攻撃的に細めて、向かいに座っている僕を見た。それはなんだかライオンがシマウマを見る目に似ていて、さらに赤ん坊が母親を見るような目にも似ていた。そういう反則的な矛盾を飲み込んでなお平然としている彼女には、福神漬けが似合う。
しばらく彼女は無言で食事を続けていた。辛いのが苦手なのか、頻繁に水を飲んでいる。もはやカレーを食べる合間に水を飲んでいる
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