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激動の世界を読む
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Whose Cold War?
Sheila Fitzpatrick
‘The Kremlin’s Cold War Bid for Global Power.’ The subtitle of Sergey Radchenko’s book makes it sound like an aspirant bestseller from the height of America’s Red Scare. But don’t be misled by the spin or put off by the fact that you may already have a dozen books on the Cold War on your shelves. Both Radchenko’s and Vladislav Zubok’s new books...
In American understanding, the Cold War was an ideological confrontation between freedom and democracy, on the one hand, and totalitarianism, on the other – a ‘war’, which implied that ultimately there would be a winner. The Soviets, by contrast, did not describe the conflict as a ‘war’ and were generally more preoccupied with the goal of winning the US’s respect than of any outright victory.
Grimm Tales
Colin Burrow
The hyper-courtly Sir Thomas Wyatt wrote a verse satire in the mid-1530s that begins: ‘My mother’s maids, when they did sew and spin,/They sang sometime a song of the field mouse.’ Wyatt goes on to relate the song, which is pretty much the story of the town mouse and the country mouse as told by Horace in his Satires with some added shivers of late Henrician courtly...
The only rule of a tale is that everything gets used, even apparently superfluous details – though you’re allowed entirely superfluous ogres because ogres are cool. It’s a world of wishes and wonders, in which there are patterns and there are departures from patterns, but the pattern is finally all. But then the predictable gets overturned by the unpredictable. When you read ‘There once was a poor man who had four sons,’ you think: ‘No no no never; it has to be three.’ But sometimes there are four. Just because there are.
Read more of Grimm Tales
Colin Burrow
Read more of At CPAC
Antonia Hitchens
Mussolini to Meloni
Jan-Werner Müller
Italy is often thought of as a political laboratory, anticipating events in other countries: fascism in the 1920s; the showman-businessman turned politician in the 1990s; populism in the 2010s. Great significance has been attributed to the government of Giorgia Meloni, who became prime minister in 2022. For some, it signals the return of fascism in a novel form; for the majority of pundits...
Great significance has been attributed to the government of Giorgia Meloni, who became Italy’s prime minister in 2022. For some, it signals the return of fascism in a novel form; for the majority of pundits and, increasingly, politicians, it suggests that the far right can become more moderate when in power. Both views are misleading.
Read more of Mussolini to Meloni
Jan-Werner Müller
Krasznahorkai’s Antimatter
Ange Mlinko
When I first read László Krasznahorkai’s Seiobo There Below, published in Ottilie Mulzet’s English translation in 2013, I thought I had discovered a sutra of a cult I had been unconsciously following for most of my life, a cult I had dimly perceived through museums and libraries but that now I could see was mystically systematised. It had no name, as the white heron...
Donne’s triumphant ‘Death, thou shalt die’ has nothing on the apophatic reversals of László Krasznahorkai’s metaphysics, where art exposes the scrim between us and non-being.
Read more of Krasznahorkai’s Antimatter
Ange Mlinko
Richard II and Henry IV
Barbara Newman
What makes a ruler a tyrant? Is it justifiable to depose or even kill one? Medieval political theorists devoted anguished thought to these questions. In the 12th century, John of Salisbury urged tyrannicide as a political duty. ‘Whoever does not prosecute’ a tyrant, he wrote in his Policraticus, ‘transgresses against himself and against the whole body’ of the...
In 1399, Henry IV had deposed his cousin Richard II, who died in custody soon afterwards. Richard’s rule was so loathed that the army Henry amassed didn’t have to fight a single battle. Nevertheless, the shadow of usurpation and regicide haunted his short reign.
20 March 2025
Colin Burrow: Grimm Tales
Barbara Newman: Richard II an
土屋顕史さん
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具体的な内容は次のとおりです。
自殺や自傷行為を助長または推奨することを禁止するルールに違反しています
自殺や自傷行為を助長または推奨することはできません。ある人が自殺や自傷行為をする恐れがあるという報告を受け取った場合、その人に連絡してメンタルヘルスパートナーの連絡先情報などのリソースをお知らせするといった支援を行うことがあります。
あなたには力になってくれる人がいます。ひとりで悩まないでください。
土屋顕史
@hUfDIPfSm8swI41
鬱屈精神科医の春日先生はレンタカーを借りてガムテープかなんか厳重に目張りして練炭が一番楽で確実だと本に。睡眠薬のオプションがほしいところ。俺はレンタカーを借りて動かす事さえできないクズ。
これは確実な情報ではありません。本の感想です。断じて自殺教唆ではない。バカッター運営は配慮を
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「二十六歳の原点」
2025-03-11
過去から現在
・202503112015。半身浴しながら書いてみる。
・今日も自宅で作業。昨日読み始めた桑島秀樹『崇高の美学』を読了。ジョン・ラスキン『近代絵画論』を再び手にするきっかけとなった。具体的な事物を「凝視」し「記述」することを崇高に至る道筋として示す点に惹かれるものがある。山岳写真研究についての基礎教養としても必要な一冊だった。
・あいまに業務の書類づくりと資料探し。このような業務上の理由がなければ自分はもう「映像作家100人」を追いかけたりしないかもしれない。それでも新しい映像を見ることからしか考えられないこともある。あると信じて調査する。
・Amazonプライムで山中遥子監督『ナミビアの砂漠』を前半だけ見る。画面に映る知っている場所が遠く感じる。動き続ける身体を眩しく思う。
・実家に電話。今週後半に一度行く旨伝える。去年の諸々の出来事から約一年かと思う。電話を切り時刻は14:30を少し過ぎていた。14年前を思い出す。その時を境に時間に亀裂がうまれたように感じている。その向こう側を思う。14年は自分の生の約三分の一でもあった。時間に質量を想定するならばそれはどれほどか。
・写真にとらわれている限り、自分にとって親しい時制は過去なのか。あるいは過去と現在を二点としてとらえることがもう思考にフレームをつくってしまっている。それを顧みて。光景の記録という特性から自由になれば、写真も映像も現在と一つになる。それをボードリヤールは「インテグラルな(統合された)現実」と定義した。ネガフィルムのない世界を想定して。そしてそれは現在の現実。
・せめて4日くらいこのように完全に自宅で過ごせればかなり考えが進むのに、との思いを持ちながら、それはしばらく叶わない。
MRTR 2025-03-11 20:35 読者になる
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過去から現在
2025-03-01
2025-03-01
⚫︎『木乃伊の恋』(鈴木清順)。実は初めて観た。すごいなあ、というところと、うーん、というところがあった。
中心に、上田秋成『春雨物語』の「二世の縁」を置いて、前と後とを現代パートで挟んでいる。だがこの構図は、(脚本の田中陽造というより)おそらく原作である円地文子の小説「二世の縁 拾遺」から来ているようだ。
そもそも上田秋成の「二世の縁」が、強い仏教批判を含む話なのだが、『木乃伊の恋』では、それをさらにえげつなく、「性」への執着という要素を追加して中心に据え、批判というより仏教への侮辱というようなところまでいっているようなひどい話で、しかし、この徹底したひどさこそが本当は仏教的なのではないかとも思えてくる。とにかく、時代劇パートは、観ながら、ひっでえなあ、よくここまでやるなあと呆れつつ、そこが清々しいというか、これが鈴木清順の「地」なんだよなと思う。
ただし、現代パートでは、時代劇パートで好き放題やりすぎたのを回収するかのように、俗流精神分析的というか、70年代の性的メロドラマ的なところに落とし込んでいるみたいになっていて、うーん、となる。「性への執着」と言葉にすればどちらも同じようなことだが、その質がまったく異なっていて、噛み合っていないようにみえる。
(ただし、演出やモンタージュにかんしては、現代パートは無茶苦茶かっこい。)
⚫︎時代劇パートについて。ぼくは「幽霊」は好きだが「ゾンビ」の面白さが今ひとつわからないのだが、これを観て、ああ、ゾンビというのはこういうことなのか、と、少しわかったような気もする。ただしここにあるのは、性的なゾンビ、生臭ゾンビであり、さらには生殖するゾンビでさえある。ゾンビが、女性を求めて徘徊し、性交し、生殖する。ゾンビの子が生まれることによって、一般的な「生殖」というものまで脱意味化するというか、無価値化してしまう。干物であったゾンビが肉化すると、欲望を持つようになり、生殖を行う(乾いた死から湿った生・性へ)。すると、相手の女性の体から、たんなる邪な欲望の化身でしかない虚しい小さな仏が次から次へわらわら湧いて出てきては、ケラケラ笑って、すぐに土へと帰っていく(純粋な欲望の発現とその儚い消滅=乾いた砂・死へ)。生の欲動と死の本能とが循環する運動があるというより、出産の場面ではその二つが一体化して対消滅するかのようなゼロ地点が現れる。それを目の当たりにしてしまった主人公(男性)からは、性行為と生殖の権利が一生奪われる(失われる)ことになる。
だからおそらく、ここには「性への執着」があるのではなく、むしろ、「性に執着するゾンビ」を介した「性・生殖(エロス)の無意味化」があり、去勢(≒現世の対象化)があるのではないか。
⚫︎時代劇パートにおけるゾンビ「入定の定助(にゅうじょうのじょうすけ)」の性への執着は、あくまで機械的、自動的なものだが、現代パートでの性への執着は「老教授の執念」のような個人的なものになっている。
また、現代パートでは語り手(主体)が女性であり、この語り手が老教授の性の執着の対象であり、かつ、この女性もまた、亡き夫に対する性の執着を持っているという相互的な構図になっている。ここでは、それぞれに異なっている(そして、どちらも現実的には不可能である)性への執着・欲望が、その中間地点に「媒介的な幻」を生じさせる(その意味で、ゾンビではなく「幽霊」の話だ)。だから、本来なら決して交わらない、別方向を向いた欲望なのにもかかわらず、媒介的第三項によって(仮想的)コミュケーションが成立してしまうという、「いい話」だということもできる。女性は亡き夫との再会を果たし、老教授は死の直前に思いを果たす。これは、あくまで「人情」のレベルの話だ。
⚫︎人情を超えた、非-人情、あるいは無-人情の世界に踏み込んでいる時代劇パートと、あくまで人情の世界の枠内の話である現代パートとで、対になっているのだとは、言えるのかもしれない。
furuyatoshihiro 2025-03-01 00:00 読者になる
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2025-02-28
2025-02-28
⚫︎昨日の日記に、『夏目漱石 美術を見る目』(ホンダ・アキノ)という本を紹介している動画について書いた。夏目漱石の書いた「美術評」についての本だという。本を読んでいないので、動画で著者自身が語っているのを聞く限りで察せられるということだが、漱石の絵画に対する眼がとても鋭敏であったことがひしひしと感じられる。なかでも、小杉未醒(小杉放菴)という画家の「豆の秋」という絵について「奥行き」という言い方で書いていることが興味深かった。以下の画像は動画からのスクショ(オリジナルの作品は失われていて、モノクロ写真のみ現存しているという)。
・【高瀬毅のずばり!真相】『昭和史』と夏目漱石 ~“美術記者”漱石は何を視ていたのか~
https://www.youtube.com/watch?v=oIgbE4Qy_iY
この画像を見る限りで思うのは、あまり洗練されていないナビ派という感じで、ゴーギャンからドニ、ボナール、そしてマティスへと展開していく流れの中にあるように見える。小杉未醒(小杉放菴)の絵を、ネットで検索してパッと見られる範囲で観てみても、一筋縄では行かない変で面白い画家だと思うが、しかし確実に、ポスト印象派以降の絵画の影響はあって、実際、1913年から翌年までヨーロッパに渡っているというから、ナビ派、あるいはプレナビ派的な絵は観ているのだろうと思う。
ナビ派的というのは、要するに遠近法的な奥行きを潰して平面的に絵を構成しているように見えるということだ。だから、漱石が小杉未醒の絵から見出している「奥行き」とは空間的なものではない。空間的な奥行きを押し潰してしまうことで、空間的な「解決のつかなさ」が画面に生じ、その空間的解決のなさの中に、漱石は「精神性」をみている。精神性と言ってしまうと精神論みたいになってしまうが、当時としてはそう言うしかなかったのだろう。三次元空間において解決のつかない感覚の中に、空間(三次元)よりも上位の次元のありようを見ている、ということだろう。
(ナビ派のことを「装飾的」だと言う人は、この部分が分かっていないのだと、ぼくはいつも思う。)
漱石がロンドン留学時代に、ターナーやジョン・エヴァレット・ミレーの「オフィーリア」を観ていることは知られているが、当時のロンドンでは、同時代のフランス絵画を観る機会はなかったのだろうか。漱石の熱心な読者ではないので、漱石がフランス絵画について何か書いているかどうかは知らない。
仮に、漱石が同時代のフランス絵画についてよく知らなかったのだとしても、小杉未醒の作品を通じて、同時代のフランス絵画の問題意識と図らずも(鋭敏にも)同調している、ということではないかと思う。夏目漱石とピエール・ボナールとは、どちらも1867年生まれだ。
furuyatoshihiro 2025-02-28 00:00 読者になる
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2025-02-27
2025-02-27
⚫︎デモクラシータイムスで取り上げられていた『夏目漱石 美術を見る眼』(ホンダ・アキノ)という本がとても面白そう。漱石の小説に美術作品がたくさん出てくるのは誰でも知っているが、漱石は朝日新聞に「文展」についてなどの「美術評」を書いてもいた、と。
下の動画で紹介されている漱石の美術評を、ぼくは概ね同意できるし、とても興味深く感じられた。「奥行き」という語の使い方などとても面白い。ただ、ぼくは、著者のホンダさんよりもかなり穿った見方というか、ちょっと違った視点から読むことになると思うけど。
・【高瀬毅のずばり!真相】『昭和史』と夏目漱石 ~“美術記者”漱石は何を視ていたのか~
https://www.youtube.com/watch?v=oIgbE4Qy_iY
www.heibonsha.co.jp
furuyatoshihiro 2025-02-27 00:00 読者になる
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2025-02-26
2025-02-26
⚫︎VECTIONの会議できくやさんに教えてもらった「市場規模マップ」というのがちょっと面白い。無関係な業種が、ただ「市場規模がほぼ同じ」というだけで並列的に四つ表示される。たとえば、「出版」と「トップバリュ(イオンのプライベートブランド)」の市場規模がほぼ同じだ、ということが分かる。まあ「ネタ」のようなものなのだけど、これを見ると何かが分かったような気になる。本来有料だが、無料で見られる部分もある。
・出版とトップバリュ
https://visualizing.info/article/16859.html
・占いサービスとカルビーポテトチップス
https://visualizing.info/article/16837.html
・プロレスとコンセプトカフェ
https://visualizing.info/article/16997.html
・アパレルと防衛
https://visualizing.info/article/16914.html
・グミとキャンピングカー
https://visualizing.info/article/16960.html
furuyatoshihiro 2025-02-26 00:00 読者になる
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2025-03-01
2025-02-28
2025-02-27
2025-02-26
2025 / 3
建築 (23)
俳句 (221)
36 14:50
39 03:06
40 10:58
28 05:43
40 12:32
23 19:07
60 10:47
2025-02-23
映画「サマニシヴィリ家の継母」
「ジョージア映画祭2025」
エルダル・シェンゲラヤ監督の映画「サマニシヴィリ家の継母」(1977年、87分、カラー、Blu-ray、日本語字幕、ジョージア語版)を観る。
《19世紀末の田園で、斜陽貴族の老父が再婚を決意する。真面目な息子にとって父の遺産が減ることは大問題だったが、彼は父の相手を探す旅に出る。心に染み入る悲喜劇。全ソ連映画祭グランプリ。》(パンフレットより)
妻に先立たれた父親が突然再婚したいと宣言する。息子は父親のためにと継母を探す旅に出るのだが、道中がハチャメチャな笑いをさそう。ラストはちょっぴりシリアスなのだが、それをふくめても楽しいコメディ映画だった。
kurisu2 2025-02-23 00:00 読者になる
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映画の終了後、トークゲストで、はらだたけひで氏が登壇されて、今回のジョージア映画祭について話される。ラナ・ゴゴべリゼ監督の母親、ヌツァ・ゴゴべリゼも監督でジョージアで最初の女性監督であったという。
ヌツァは、1930年代のスターリンの大粛清で流刑になった。父は粛清され処刑された。といったラナ・ゴゴべリゼ監督の厳しい時代をめぐる話やジョージア映画の魅力についても語られる。
ソ連邦時代(1921ー1991)に製作されたジョージア映画から、政治体制による厳しい抑圧下、ユーモアとアイロニーを交え、人間と社会の真実を捉えた独創的な作品を紹介。名匠エルダル・シェンゲラヤ監督、ラナ・ゴゴべリゼ監督の作品を中心に、ジョージア映画史に燦然と輝く名作を一挙上映する。(ジョージア映画祭2025パンフレットより)
映画「サマニシヴィリ家の継母」
2025年03月05日(水)
雨のち曇りの寒い一日。9時出社。9時に歯科医院に虫歯治療を予約していたが、寒気がするので電話し、今日の夕方に予約を変更してもらう。『再帰性と偶然性』は第2章「論理と偶然性」を読み終わり第3章「組織化された無機的なもの」へと進む。第2章では、ヘーゲルの論理学からノーバート・ウィーナーのサイバネテックスへの転換プロセスを、ライプニッツを経てゲーデルの〈不完全性定理〉へと展開する経緯として辿る中で、グレゴリー・ベイトソンの『精神の生態学』における自己のサイバネティックスを紹介している。17時に事務所を出て、表参道経由で青山歯科医院へ。17時半から左上奥歯の虫歯治療。15分程度で完了。続いて右下奥歯のレントゲン撮影と虫歯治療。後者の治療にはやや時間がかかり、麻酔なしで若干の痛みを伴う。18時半に終了。4月上旬のメンテナンス日時を予約し、19時に帰宅。20時からNHKで『ドキュメント72時間 完全版 密着!巨大病院の引っ越し』を観る。番組紹介「45分に拡大してのスペシャル版。沖縄の琉球大学病院が1月、新しい建物に全面移転。入院患者や医療機器などの引っ越しから、新病院のスタートまでの舞台裏に密着した。45分に拡大してのスペシャル版。巨大病院の引っ越しに密着。1月、沖縄にある琉球大学病院が全面移転。集中治療室の重症患者から小児科の子どもまで、入院患者85人を10キロ近く離れた新しい建物へ1日で運ぶ。長い間、命を見てきた病院の終わりと、より高度な治療ができる新しい病院の始まり。働く医療従事者や治療を続ける患者たちにはどんな思いが去来するのか。引っ越しから新病院のスタートまでの舞台裏を見つめた」。今年初めに見た番組の再放送だが、さらに細かな点まで描かれている。移転にはさまざまなドラマがあり、身につまされる。旧病院から見える朝日を、職員たちが〈ミライカナイ〉と呼んでいるのが記憶に残る。21時過ぎに前田記念工学振興財団からメールで、先日の最終選考会の議事陸が届く。研究助成に難波研究室出身者を加えられなかった点が悔やまれる。研究テーマが右往左往するのは問題である。
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2025-03-04
桜シフォンケーキ
森見登美彦氏はスターバックスの「桜シフォンケーキ」が好きである。
ふわふわして、良い香りである。
チョコンと上にのっている桜の花びらの塩漬けもいい。
満開の桜の咲く土手にすわって食べたら素敵だろうなあと登美彦氏は思う。しかし、肝心の桜の咲く季節になると、もうスターバックスでは桜シフォンケーキの販売を終了しているため、「お花見をしながら桜シフォンケーキを食べる」という理想的境地は実現できないのである。登美彦氏は毎年、桜シフォンケーキを食べながら満開の桜を想い、満開の桜を眺めながら桜シフォンケーキのことを想うのだ、運命的なすれ違いを続ける恋人たちのように……。
という、どうでもいいおはなしはともかくとして。
登美彦氏が現代語訳を担当した『竹取物語』(河出文庫古典新訳コレクション)が、3月6日発売である。
登美彦氏は竹林が好きであり、『美女と竹林』(光文社)という本を一冊書いているぐらいだが、よく考えてみれば、『有頂天家族』に登場する「弁天」も、『ペンギン・ハイウェイ』に登場する「お姉さん」も、かぐや姫の子孫のようなものである。それだけ登美彦氏は『竹取物語』に大きな影響を受けている。
おおまかなストーリーは誰もが知っていると思うが、あらためて本篇を読んでみるのはどうだろう。現代の読者にも楽しく読んでもらえるように工夫したつもりである。『竹取物語』本篇の現代語訳のほか、日本文学全集版のあとがき、登美彦氏の「講義」(というのもおこがましいが)、文庫版のあとがき、さらに大井田晴彦氏による解題も収録され、「物語の出で来はじめのおや」の小さな入門書に仕上がった。デザインも可愛く、お手頃価格の文庫本なので、手に取っていただければ幸いである。
Tomio 2025-03-04 12:24 読者になる
桜シフォンケーキ
2025 / 3
2025-02-26
生命進化は利他的か?
2025-02-25
ベートーベン弦楽四重奏曲、緩徐楽章リスト
2025-02-24
ウクライナ侵攻 まる3年
2025-02-20
★統計学を哲学する/大塚淳
2025-02-19
★他なる映画と 1(再読)〜『悲情城市』
2025-02-17
考えないに越したことはない理由
2025-02-14
アワビは年をとったほうが死ににくい
2025-02-12
圏論、統計学、哲学…
2025-02-06
物理学の枝と幹
2025-02-05
★阿修羅のごとく(是枝監督)
「悪の美学」――魅力的な悪役の作り方『荒木飛呂彦の新・漫画術』
「悪役が物語を面白くする。魅力的な悪役がいることは名作に欠かせない条件だ」―――累計発行部数で1億2千万部を超える『ジョジョの奇妙な冒険』の作者・荒木飛呂彦は、こう喝破する。
優れた知性やカリスマ、才能と意志の強さ、あるいは独自の哲学を持つ悪役は、単なる「倒されるべき存在」ではない。バットマンに対するジョーカー、ルークにとってのダースベイダーのように、主人公との対立構造をよりドラマティックに仕立て上げ、物語の魅力を大きく引き上げる肝と言える。
しかも、悪役は人である必要はない。荒木先生に言わせると、あらゆる物語は「主人公 vs. 悪役」の構造になっている。主人公の目的や望みを阻むものであれば、なんであれ「悪役」とすることができる。ドキュメンタリーなどでは、社会システムや法制度が「敵」になることだってありうる。
なぜ「悪役」か?
悪役とは、主人公がぶつかり、対峙し、乗り越えるべき困難を体現している存在であり、その障壁が巨大で強大であればあるほど、作品は面白くなる。そのためにも悪役は徹底的に「悪」で「強い」という設定にするのが基本になるという。
僕は『ジョーズ』(1975)が大好きなのですが、何度観ても「素晴らしい!」と思えるのは、海の王者としてのサメを凶悪な殺人兵器のように描き、その圧倒的な恐怖を「これでもか」とばかりに表現しているからだと思います。
確かに!信じられないほど巨大かつ凶暴で、人肉の味を覚えてしまったホオジロザメが、ひたすら怖かった。ただデカいだけではなく、用心深く狡猾で、人間が仕掛ける罠を見抜くほど頭がいい。
『ジョーズ』は、鮫のパニック映画というのでは不十分で、圧倒的に勝てない状況で悪意を持った怪物と対峙する恐怖を描いた物語といえる(最初に見た時、沈みゆくオルカ号のシーンで絶対に勝てないと絶望した)。最近なら『ゴジラ -1.0』で、その絶望を踏まえた上でさらに絶望を上書きする仕掛けになっている。
悪役は、単に強いだけでなく賢く狡猾でなければならない。必ず主人公とセットで考えて、主人公の一歩も二歩も先を行き、読者や観客を「どうやって勝つんだこんなヤツに……」と絶望させなければならない。
悪役が強くて賢く圧倒的であればあるほど、それを乗り越える主人公が輝く。絶望的な状況を逆転するカタルシスに読み手は歓喜する。物語を面白くする要素や仕掛けは多々あれど、「良い」悪役こそが人気の要だ―――『ジョジョ』に登場する強烈な悪役であるディオ・ブランド―や吉良吉影を生み出した荒木先生が言うと、説得力が増す。
ディオ・ブランド―の作り方
では、この「良い」悪役は、どうやったら作ることができるのか?『荒木飛呂彦の新・漫画術』は、悪役の作り方を中心に、面白い漫画やストーリーの秘密を開陳する。
本書を唯一無二にしているのは、ディオ・ブランド―や吉良吉影をどうやって作ったのかを、具体的かつ実践的に解説している点だ。「いわば企業秘密を公開するに等しい」と言われている理由はここにある。
まず、悪役は、主役とセットで考えろという。悪役を魅力的にするために、主人公をどういうキャラクターにするのかが軸になるという。『ジョジョ』第一部では、主人公はジョナサン・ジョースターになる。
そして、必ずしも「善と悪」を拮抗させる必要はないという。ディオのように強烈なキャラにすることもできたが、そうしてしまうと、読者との乖離ができてしまう。
だから、平凡な役回りで、ホームズにおけるワトスンのような「基準点」という位置にしたという。『ジョジョ』第四部の康一くんのような、読者と同じ常識を持っているキャラクターという「ゼロ地点」があるからこそ、そこに悪とのギャップの激しさが浮き彫りになるという。
そうした上で、主人公には絶対に勝てないような強さ、美しさ、カッコよさ、知性、才能を対比させていったという。作品には表現しない可能性があるが、家族関係や生い立ちも考えたという。
そうしたキャラのバックグランドを「身上調査書」としてまとめる。身上調査書とは、キャラの特徴をまとめたもので、名前や身長・体重、出身・経歴といった属性から、性格や生い立ち、将来の夢、何を恐れているのかといった思想的なものまで考える。いわばそのキャラクターの世界観を一貫したものにするペーパーだ。
当時の身上調査書は失われているらしいが、記憶で再現してもらったものがこれになる。
身上調査書を記入していくことで、ディオ・ブランド―の存在が浮かび上がっていくという。「性格」の欄を埋めていくと「嘘と虚飾」「支配」「排除」といった言葉が並んでいく。
要するにディオはパラサイトなんです。自分の本心を隠してジョースター家という貴族に寄生し、奪えるものを奪いながら、乗っ取っていく。そのときジョナサンが邪魔なので、排除しようとすわけです。そこから、ジョナサンとディオの戦いが始まっていきます。
ディオの悪役がハマっていくことで、「吸血鬼」のアイデアとつながっていったという。当時の『少年ジャンプ』に連載されていたのは、『ドラゴンボール』『キン肉マン』『シティハンター』といった名作&傑作揃いで、その中で自分の個性を出していくためには、ジャンプで誰もやっていないダークな世界につなげる存在が必要だと考えたそうだ。
当時の編集部は、時代を反映してか、もっと明るくイケイケの世界を描くようアドバイスがあったという。しかし、身上調査書のディオとのキャラとは合わないため、自分の意志を貫き、最終的に「吸血鬼」になった。もし、編集部の圧に負けていたら、おそらくジョジョはこれほどメジャーにはならなかっただろうし、本書も無かったと思うと感慨深い。
こんな風に、ディオ・ブランド―を始め、吉良吉影、ファニー・ヴァレンタイン大統領といったジョジョの歴代悪役の身上調査書を公開しながら、どのように悪役を作っていったかを解説する。
悪役の哲学
面白いと思ったのは、悪役を作るときは、その時代時代の価値観が反映されている点だ。
例えば、吉良吉影のデザインには、バブル経済が終わり、「アゲアゲのキャラクターはちょっと違う」という感覚が反映されている。ディオのような最強のカリスマといった、ある意味分かりやすい敵とは一線を画し、日常の中に潜んでいるヤバい悪を目指したという。
これは、猟奇的殺人鬼レクター博士が登場する『羊たちの沈黙』(1991年)や、コリン・ウィルソン『殺人百科』のシリアルキラーが該当する。どこにでもいる普通で目立たずに生きながらも、残虐な罪を犯す存在こそが、時代に相応しい悪役になる。
そして、ジョジョに限らず、その作品が生まれた時代ならではの、カルチャー的な「悪」に目を向けよという。
本書で紹介されているのは、大英帝国の時代を生きたアガサ・クリスティーやコナン・ドイルの作品になる。注意深く読むと、謎やトリックの話を書いているように見えて、その背後には帝国主義が生み出した闇が存在しているという。
それは、ひたすら利益追求を目指すイギリス商人の強欲さだったり、彼らに蹂躙された新大陸の呪いだったりする。そういう時代の影のようなものまでも描くことができるのであれば悪のキャラクターに深みが出てくるという。
このように、悪役には「悪とは何か」という問いに対する、作者の哲学が反映されているというのだ。正しさに相対する悪をとことん考えることによって、「良い」悪役を生み出す―――これが、悪役の作り方の基本になるという。
この考え方は面白い。私は作品を享受する側だが、悪役を通じて作品の価値観のベースラインを伺い知ることはある。
一般に、正義というものは、普遍的な価値観として語られることが多く、一貫性を求められるために画一的で変化に乏しく、いわゆる「お約束」になりがちだ。
一方、「悪」というものは、その時代や社会の価値観に応じて形を変え、個性的な存在として描かれることが多い。怪物的な存在だったり、退廃的で道徳的な側面がクローズアップされたり、あるいは、社会的な格差や構造そのものを「悪」とすることだってできる。
悪には、その時代時代において抑圧された欲望を体現する自由がある。昔は「家父長制」から「ジェンダー優位」「多様性の尊重」まで、それぞれの時代の「お約束」を守らなければならない正義とは異なり、「悪」は計算高く変化し、社会の不条理を衝くことができる。
例えば、「女が自由に生きること」が抑圧されていた19世紀では、若い女を誘惑する吸血鬼は、伝統的な家父長制を揺るがす「悪」として機能していた。あるいは、消費社会において飼い馴らされた男性性を暴力で破壊する『ファイト・クラブ』のタイラー・ダーデンは、「良い」悪役と言えるだろう。
正義という秩序の外側に悪を相対させ、その葛藤が物語を動かす。立ち位置の象徴が、主人公と悪役であり、両者の乖離が激しく、悪が絶対的であるほど、その時代に生きる私たちは、物語を面白く感じるのかもしれない。
2025.03.03
欧州からの米軍撤退の可能性
ドナルド・トランプが再びアメリカ合衆国の大統領に就任して以来、特に、2月28日のトランプ米大統領とゼレンスキー宇大統領の口論による関係の齟齬の後、欧州指導者たちは神経を尖らせている。Fox Newsが3月2日に報じたように(参照)、バイデン政権下でロシアのウクライナ侵攻(2022年)に対応して増派された約2万人の米軍が撤退する可能性が浮上し、NATOの安全保障体制がかつてない試練に直面している。
現在の米軍駐留数は、Center for Strategic and International Studies(CSIS)のデータによれば7.5万~10.5万人と変動しており、この2万人の撤退は全体の20%近くを占める規模である。欧州の指導者たちは、トランプの「米国第一主義」やロシアへの友好的な姿勢を警戒し、彼が予測不能な形で軍事プレゼンスを縮小するのではないかと恐れている。
この問題は単なるトランプ個人の気まぐれや政治的レトリックに留まるものではない。米国の戦略的優先順位がインド太平洋、とりわけ中国対抗へと移行する中で、欧州の防衛依存が見直されつつあるからだ。さらに、トランプがウクライナ戦争を巡って、プーチン露大統領と一定の合意を結べば、欧州からの米軍撤退のハードルはさらに下がる。と同時に、ロシアに隣接する東欧諸国では不安が急上昇するだろうし、その反動としてNATOの結束と欧州の軍事的な自立が喫緊の課題として浮上する。
米軍の欧州撤退の影響
トランプ政権が米軍の欧州駐留を縮小すれば、NATOと欧州諸国に多大な影響が及ぶ。
欧州での防衛力の即時的空白とNATOの脆弱性が問われる。冷戦期の1950~60年代、米軍は欧州に約50万人を駐留させ、ソ連への抑止力を担っていた。冷戦終結時の1990年には約35万人、2000年代初頭には10万人強に減少したとCSISが示すように、駐留規模は歴史的に縮小傾向にある。2022年のウクライナ危機でバイデンが増派した2万人は、この流れの中での一時的な例外だったにすぎない。Fox Newsに登場するNATO外交官は、これが撤退すれば「平常への回帰」と述べるが、問題は欧州の準備不足である。
NATO諸国はそれなりに軍備増強を進めているものの、即応性のある戦力を短期間で整えるのは困難である。例えば、ドイツは国防費をGDPの2%超に引き上げる方針を2022年に発表したが、2025年時点でも実戦部隊の配備や装備の更新は遅れている。この空白は、ロシアが東欧で軍事的圧力を強める格好の機会となる。
NATO内部の結束揺らぎと欧州の自己負担配分の軋轢も問題となる。第一期のトランプ政権は2018年と2020年の在任中、ドイツからの米軍撤退を計画し、NATO加盟国に防衛費増額を強く求めた。先のFox Newsが報じるように、彼の副大統領JD・ヴァンスは2025年2月のミュンヘン安全保障会議で、欧州指導者に「言論の自由などの共有価値観からの逸脱」を批判し、トランプの対欧州冷淡姿勢を補強した。これに対し欧州側は「アメリカ依存からの脱却」を模索しているが、現実は厳しい。
元NATO当局者カミーユ・グランはWashington Postで、「欧州の準備不足を解消するには時間がかかる」と警告しており、フランスはEU独自の防衛戦略を主張し、ドイツも軍事投資を増やすとしているが、NATO28カ国の足並みは揃っていない。トランプが「貿易不均衡への不満」を理由に撤退を強行すれば、NATO内の負担配分を巡る軋轢がさらに深まる。
ロシア隣接国では不安がさらに増大する。ロシアのプーチン大統領は西側の分裂を戦略的に利用してきた。Fox Newsも、欧州指導者がトランプの「モスクワ寄り姿勢」を懸念し、ロシアがNATOの弱体化を歓迎すると報じている。特に、バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)やポーランドなど、ロシアに隣接する国々は危機感を強めている。これらの国々は、米軍の駐留が抑止力の要と認識しており、撤退は即座に安全保障の不安定化を招く。しかし、トランプがプーチンと何らかの合意(例えば、ウクライナ戦争の妥協や経済的取引)を結べば、彼の米軍撤退意欲はさらに高まる。これは、2016年選挙での「ロシアとの関係改善」発言や、2024年選挙戦での対話重視の姿勢とも符合する。しかし、その代償として、東欧諸国はロシアの軍事的威圧やハイブリッド戦争(サイバー攻撃や情報操作)の標的となりかねない。
トランプの撤退は現実
トランプの軍縮方針を単なる政治的パフォーマンスと見做す論評もあるかもしれないが、その背景は、トランプ個人の外交スタイルに加え、米国の戦略的再配置が絡み合っている。
まずインド太平洋シフトという長期的傾向がある。米国の軍事戦略は冷戦後、インド太平洋へのシフトを加速させてきた。オバマ、トランプ、バイデンと、歴代政権は中国の台頭を最大の脅威と位置づけ、ヨーロッパへの関与を相対的に後退させてきた。Fox Newsも、両党の大統領が10年以上にわたり「欧州は自力で安全保障を担え」と警告してきたと指摘する。
トランプ政権下では、この傾向がより顕著になるだけとも言える。2025年時点で、インド太平洋での中国軍事力(特に海軍拡張)に対抗するため、米軍資源の再配分が急務とされている。欧州からの米軍撤退は、この文脈で合理的な選択と映る。問題はタイミングだ。欧州が自立する準備が整う前に撤退が実行されれば、防衛の空白が生じる。
トランプの行動に加えて予測不能性とプーチンとの関係も予測しにくい。元英国外交官ナイジェル・グールド=デービースはFox Newsで、「トランプの気まぐれな性格」を懸念し、「アメリカの防衛への信頼がどれだけ持てるのか」と疑問を投げかけるが、トランプは過去にも貿易問題(ドイツとの自動車貿易赤字など)を安全保障政策に結びつけ、突発的な決定を下してきた。しかも彼は大統領選中、「プーチンと話せばウクライナ問題は解決する」と繰り返し、対話を重視する姿勢を示してきたが、仮に両者が合意に至れば、トランプは「ロシアの脅威は誇張されている」と主張し、撤退を正当化する可能性がある。
今後の展開とヨーロッパの課題
米軍撤退が現実化した場合、ヨーロッパとNATOにはいつくかのシナリオが待ち受けている。
まず、段階的米軍撤退とNATOの混乱である。トランプが即時全面撤退を避けたとしても、数年内に2万人の削減が実行される可能性は高いので、NATOはこれに対応し、緊急の軍事再編を迫られる。だが、加盟国間の意見対立(例えば、フランスのEU優先主義と東欧のNATO依存)が障害となる。
これは、欧州自立強化に向ける時間との戦いでもある。フランスやドイツが主導し、EU独自の防衛体制構築が加速する。結果「米国頼みの安全保障からの脱却」が進むだろうが、2025年時点では、圧倒的な戦力不足は否めない。即応部隊の整備や共同演習の強化には、最低でも3~5年を要する。
東欧の不安定化とロシアの機会主義の問題が浮上する。ロシアに隣接する国々は、米軍撤退後もNATOの支援を強く求め続けるだろう。トランプとプーチンの合意が現実となれば、ロシアはウクライナ戦争の戦術を変更し、東欧での影響力拡大を狙うかもしれない。バルト三国へのサイバー攻撃や、ポーランド国境での軍事挑発が次に現実的な脅威となる。
2025.03.03 | 固定リンク
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2025年03月02日
リアルポリティクスの陥穽
先日のワシントンにおけるウクライナと米国の両首脳の会談決裂は、多くの人々を失望させるものであった。事前に伝えられていた協定内容が、意外にウクライナに有利なものであるらしいことに、内心半信半疑に期待していただけに、私と同様に感じた人も多いと思う。結果から見れば、この決裂はいくつなの情報筋からの説明にあるように、トランプとヴァンスが事前に仕組んでいた罠であった可能性もしてくる。トランプは、大統領選挙キャンペーン中から、自分にはウクライナ戦争を直ちに停止させる力があると宣伝してきた手前、彼の支持者に対して何らかの成果を短期に示す必要があったのだろう。少なくとも、中間選挙前には、目に見える成果を呈示するとこがなければ、中間選挙に大敗する可能性が高い。そんなわけで、トランプにも、懸念すべき弱点があり、ウクライナとそれを支援するヨーロッパ諸国に対して、ある程度納得させ得る妥協案を提出する必要があったのかもしれない。実際にはウクライナにとって明らかに有利な条件であっても、そしてトランプの当初の恐喝的な停戦条件から大幅に後退したものであっても、とにもかくにも停戦を実現しさえすれば、トランプとしては、知性の低い彼の支持者に対して、自分がゼレンスキーに無理やり停戦を押し付けたディールの勝利者であると、納得せせることもできると読んでいたのかもしれない。
あるいは、自己の利益しか考えないリアリスト政治家として、はじめからウクライナの鉱物資源に目をつけて、フランスなどに油揚げをさらわれる前に、資源開発の先鞭をつけて戦後処理の際に自国の有利になるように運ぼうと考えていたのかもしれない(私としては、トランプがそんな長期的ヴィジョンによって行動する人間とは思われないので、この可能性は少ないと思っている)。
いずれにしても、専門家でもない我々に現在知り得ることは少ないし、それも不確かである。そんな不確かな問題に口をはさむことは愚かであるかもしれない。とはいえ、たとえ不確実な情報に基づいてであっても、断固とした判断が必要な場合がある。戦争に加担したり、反対したりすることは、そのような判断が求められる場合の一つであろう。私が例えば「絶対平和主義」のような原理主義的な立場に共感できないのは、それが困難な政治的決断を回避しているからである。
侵略者と被侵略者を均並みに扱うことによって、世界秩序に対する顕著な撹乱をもたらすとか、自由と民主主義に対するアメリカ政治の重要な伝統をかなぐり捨てることによって(もっともそれさえしばしば偽善的建前に堕することはあったのだが)、国際社会からの共感と信用を根本から損なうという大きな国益損失をもたらしたとか、多くの識者が指摘していることにはおおむね賛成するが、ここでは少し違う角度からこの会談の決裂の歴史的意義を考えてみたい。
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easter1916 at 22:24|Permalink│Comments(0)│ │時局
リアルポリティクスの陥穽
2025年03月
時局 (108)
2025年2月28日 (金)
踊共二『非暴力主義の誕生』
動物学を学んだエルンスト•ユンガーは、渡り鳥の観察や、野禽や昆虫の出没で、「世界」の変化を感じ取りましたが、都会の近辺に住む私にも、変わりつつあるものの兆しは見えるようです。ゴミの集積場に積まれるゴミ袋の量が以前に比べて少ない。スーパーのレジの行列の進み方が早い。見切り品のパンや野菜に人々が常に何人か足を止めている。人の住まいにも変化は感じ取れて、近くの6室あるアパートは一室しか埋まっていない。登下校する児童の数も減ったようだ。というより、近所の猫の姿が見えない。一人暮らしの猫好きの老人が救急車で運ばれて、猫たちが引き取られていった。一方、猫の保護施設からクラウドファンデングの報せが届いて、中には100万円も寄付している人がいる。ルーミーやサーディも、この施設のおかげで私たちと出会えたので、貧者の一灯ではないが、私たちも身の丈に合った寄付をしました。
折しも、ロシアのウクライナ侵攻がついに終わりを迎えそうです。世界史的出来事は、だいたい4年で終わるという私の持論が当たりそうなのも悲しいが、この戦争で、いったい何人の人が死に、どれだけの家が壊されたのでしょうか。神学者のロナウド•P•サイダーは、紛争地域に10万人の非暴力主義者を送り込めば、数千人は死ぬだろうが、紛争を終結させる可能性はある、と言っています。というのも、ロシアやウクライナの兵士たちの中には少なからず、戦闘意欲がなく、徴兵されて仕方なく参加した兵士もいるわけで、彼らの心には「敵を愛せ」「暴力は無意味だ」という非暴力主義者の訴えが必ずや届くだろうと思われるからです。
以上のことは、今年の1月に出た踊共二の『非暴力主義の誕生ー武器を捨てた宗教改革』(岩波新書)で示唆されていたもので、この本が2月の読書でもっとも心に残った本でした。ところで、2月は私なりに苦しかった。血液検査とMRI、それに診察と、2回の病院通いで疲れました。検査結果はまずまず良好だが、最近外出が一苦労で、家に帰ると眠くなって、ほとんど何もできません。本を読み始めると同時に寝落ちしてしまいます。
さて、『非暴力主義の誕生』ですが、今時の新書は、最初の20ページ読めば、後はその繰り返しに過ぎないのが多いので、立ち読みで十分なのですが、この本は全く違います。途中、説明が細か過ぎてやや疲れるが、最後のページまで著者の熱意が漲っています。著者は、はじめ、16世紀のドイツの農民戦争や、スイスの再洗礼派の運動などを研究していたのですが、非暴力主義者たちについてはそれほどの知識はなかった。ところが、アメリカで、メノナイトやアーミッシュの人たちの生き方に接して強い興味を持ち、さらに日本に最初にやってきたメノナイトの宣教師バックウォルター夫妻のことを知るに及んで、この本を書くまでになったということです。
話は1945年8月に遡ります。当時、広島女学院の院長だった松本卓夫(1898~1996)は、原爆投下によって生徒352人、教師18名を失いました。松本の妻もその時亡くなっています。爆心地に近かったからか、多くの生徒の遺体が黒焦げになり、あるいは川に浮かんでいました。松本は、生存者を救出しよう、遺体を回収しようと「狂人のように」駆けずり回りました。松本自身も原爆症に苦しみ、かつての留学先のアメリカで治療をうける傍ら、講演や募金活動に力を尽くしました。
1948年、インディアナ州のメノナイトの私立大学ゴーシェン•カレッジでの講演は聴衆に強い印象を残しました。というのも、松本は原爆体験を語る中で、アメリカ人を責めるのでなく、「日本人の罪業を赦してほしい」と語り、日本社会と日本のキリスト教の再建のために宣教師を派遣してほしいと訴えたのです。それを聞いた学生の一人、ラルフ•バックウォルターは後の回想録の中で「わたしたちは泣きそうでした。赦してほしいのはわたしたちの方だったのです!」と記しています。ラルフは戦争中、兵役を拒否して収容所に入れられ、ダムの工事現場や精神病院で働かされていたのです。後に結婚するジュネヴィエーヴも同じ講演を聴いていたのですが、二人は日本行きを熱望し、1949年、夫婦は宣教師として横浜港に降り立ちます。一年間、東京で日本語を学んだ後、北海道に赴き、釧路を拠点に道内各地を伝道し、メノナイトの教会を建て、多くの日本人に影響を与えました。非暴力を訴える彼に対して、ある日本人が、「あなたも戦争中はドイツ人や日本人を殺したんだろう」と言うと、彼は「いえ、私は戦争に行きませんでした。収容所にいたのです」と答えるのでした。彼の詩集『バイバイ、おじちゃん』には、見知らぬ女の子から「外人」でなく「おじちゃん」と呼ばれたときの嬉しさが書かれています。当時、外国人の宣教師には自家用車が与えられていたのですが、彼は地域の人と同じく自転車に乗って、メノナイトに相応しい日本での質素な生活を30年続けました。
非暴力主義の誕生の契機は、1517年のルターの「95ヶ条の論題」の発表に始まります。これは、非暴力を根底とした古代の教父たちに回帰しようとするものでしたが、4世紀にキリスト教が公認されると、ローマはキリスト教徒たちを帝国の軍隊に組み込もうとします。キリスト教が俗の権力を使用することは中世にわたって続いたのですが、ルターもまた例外でなく、有名なルター派の二重権力説に見られるように、非暴力は、ルターにもツヴィングリにもあえて顧みられることはなかったのです。
このようなプロテスタント諸派の「堕落」に対して、宗教改革を徹底すべく集まった人々がいました。それが「再洗礼派」で、彼らは聖書的根拠のない幼児洗礼を否定して、信念を持った成年の洗礼を主張しました。1525年、チューリッヒの同志の家で、彼らは互いに洗礼を授け合って、ここに歴史的ともいえる再洗礼派が誕生しました(今年でちょうど500年です!)。
信仰のみ、というルターに対して、再洗礼派はエラスムスと同様に自由意志を尊重しました。それは「もし、信仰があっても、行いがなければ何の役に立つのか」という新約聖書ヤコブ書に拠っているのです。それゆえ、再洗礼派は道徳を強調し、守らない信徒には戒告や破門も行いました。彼らの信条で、何より特徴的なのは暴力の否定です。しかし、スイスは自立して国を守る精神が徹底していて、国民は武器を所有し、自らの力で家と国を守らねばなりません。よって、決して戦わない再洗礼派は、義務を遂行しない卑怯者とみなされ迫害されました。追放、禁錮はまだよいとして、再洗礼派の処刑も普通に行われていたのです。
再洗礼派は、迫害を逃れて、ドイツの各地へ、果てはオランダまで移住していきました。ばらばらになりつつあった再洗礼派を再結集し、堅固な信仰を持つ集団に作り上げたのは北オランダの元カトリック司祭、メノー•シモンズ(1496~1561)です。この派はリーダーの名前からメノナイトと呼ばれました。メノナイトはオランダで安定した生活を築き、しばしばスイスの再洗礼派への援助を行い、彼らの亡命の手助けをしました。
17世紀後半に、スイスのベルンの仕立工、ヤーコプ•アマン(1644ごろ~1730)が、メノナイトの規律の緩みを正すべく、さらに厳格な信徒集団を立ち上げました。これも創始者の名からアーミッシュと呼ばれましたが、これが再洗礼派のいわば最終形態で、規則が厳格ゆえに、集団で生活せざるを得ず、メノナイトが社会に開かれて積極的に伝道するのに対して、アーミッシュは一切伝道せず、教会も持たず、閉鎖的なところが特徴です。
メノナイトもアーミッシュも兵役を拒否し、軍服を着るのさえ拒否して、近代に至っても大陸では迫害されました。彼らが新天地を求めてアメリカに渡ったのは至極当然のことでしょう。1683年、最初のメノナイトの集団がペンシルヴァニアにやってきました。ペンシルヴァニアには、イギリスから渡ったクエーカー教徒が存在していたのですが、ともに非暴力を標榜していたため、軋轢なく溶け込めたのです。メノナイトは、ペンシルヴァニアで勢力を増し、1717年に移民として来たミルトン•ハーシーは、労働者の住宅や公共施設を備えた理想的なコミュニティを作り、そこでミルクチョコレートの工場を建てて大成功を収めました。
一方、アーミッシュの集団移住は1737年、ロッテルダムを発ち、多くの病死者を出しながら三ヶ月かけてフィラデルフィアに到着したのが最初でした。19世紀になると、ナポレオン戦争がきっかけで、ヨーロッパに徴兵制が敷かれ、多くのアーミッシュやメノナイトが海を渡ってアメリカに来るようになりました。しかし、アメリカも天国ではなく、独立戦争そして南北戦争が始まると、兵役拒否者は敵前逃亡と同じほどの非難と迫害を受けるようになります。フランスやアメリカのような人間の平等に重きが置かれる社会では、兵役の義務を逃れようとする人間は卑怯者として過酷な取り扱いを受けるのです。
ここで、良心的兵役拒否者(コンシェンシャス•オブジェクター/CO)について書きましょう。COとは、信念や宗教によって兵役を拒否する人間のことで、それは数百年に及ぶ歴史を持っています。いや、再洗礼派の歴史とはCOの歴史といっても良いのです。宗教に理解のある君主の国では、寛容な政策がとられたが、たいていは、拘禁されたり、高額な特別税を取られたりします。その過酷さは、その戦争が過酷であればあるほど厳しさを増します。20世紀に入って、英国はじめ各国がCOについての特別法(代替業務など)を制定するようになり、CO について世界的合意が得られたかに思え
劉慈欣『三体』三部作
2025-02-23
Reading Kafka's Die Verwandlung, Part I.
Miscellanea
[ここ数年、毎年2月の末は、私が昨年一年間に読んだ文献で感銘を受けたものを紹介していましたが、今年はその原稿が用意できておらず、来月以降のいつかに紹介させていただくか、あるいは場合によっては今年はその紹介を取りやめて、パスさせてもらうかもしれません。どうかご了承ください。]
ドイツ語原文
ドイツ語文法事項
逐語訳
既刊邦訳
白水社注釈版
同学社注釈版
新潮版
岩波版
白水社版
光文社版
角川版
感想
これまで Wittgenstein の Philosophische Untersuchungen の一部をドイツ語原文で読んで来ました。それもしばらく続きましたので、今日は趣向を変えて Franz Kafka の Die Verwandlung の冒頭、第一段落を原文で読んでみたいと思います。いわゆる『変身』の最初の部分ですね。
2024年は Kafka 没後100年ということもあり、関連書籍がいくつか刊行されました。そこで「『変身』の原文を少し読んでみようかな」と思ったわけです。
ということで、以下ではドイツ語の原文を挙げ、その文法事項を私のほうで解説し、私訳として逐語訳を付け、いくつかの邦訳を引用して比較してみようと思います *1 。
原文は次を利用させていただきます。
・Franz Kafka Die Verwandlung, Kurt Wolff Verlag, 1917, The Project Gutenberg eBook of Die Verwandlung, <https://www.gutenberg.org/cache/epub/22367/pg22367-images.html>.
では、さっそく最初の段落を引いてみましょう。
ドイツ語原文
ALS Gregor Samsa eines Morgens aus unruhigen Träumen erwachte, fand er sich in seinem Bett zu einem ungeheueren Ungeziefer verwandelt. Er lag auf seinem panzerartig harten Rücken und sah, wenn er den Kopf ein wenig hob, seinen gewölbten, braunen, von bogenförmigen Versteifungen geteilten Bauch, auf dessen Höhe sich die Bettdecke, zum gänzlichen Niedergleiten bereit, kaum noch erhalten konnte. Seine vielen, im Vergleich zu seinem sonstigen Umfang kläglich dünnen Beine flimmerten ihm hilflos vor den Augen.
ドイツ語文法事項
まず、私のほうで文法事項を解説し、そのあと、以下に記す注釈書を参照しました。注釈書を執筆された先生方に感謝申し上げます。
ALS: 全部大文字になっているのは様式美上の都合からであって、深い意味はありません。文の意味内容には関係ありません。さて、読み進める上での頭の働かせ方について述べます。話の始まりである文頭で Als と来れば、大方は副文を構成する接続詞としての als であり、前置詞である可能性は低いと考えられます。従って今回のような場合の als は接続詞であろうと予測しつつ、そうであるならば、このあとに主語である名詞と、枠構造を成す動詞が副文末に来るだろうと期待しながら読み進めて行きます。するとさっそく als のあとに名詞 Gregor Samsa が来ていて、これが主語だろうと想定し、読み進めた結果、副文末で動詞 erwachte を見付けて、以上の推測が正しかったことを確認し、それから次の主文へと読み進めて行きます。ただし読み進める中で、以上の推測に合わない表現が出て来たならば、その推測を変更して違う解釈を考えなければなりません。
eines Morgens: この語句は2格になっています。これはいわゆる「副詞的2格」で、「ある朝の」ではなく「ある朝に」というように、副詞として訳します。
fand er sich ... zu ... verwandelt: 4格 + 形容詞 + finden で「(4格) が (形容詞) であることに気が付く」。ここでは「自分 (sich) が変身 (verwandelt) していることに気が付く」。
lag auf seinem panzerartig harten Rücken: auf dem Rücken liegen で「仰向けに寝る」。「腹ばいに寝る」は auf dem Bauch liegen。
ein wenig: 肯定的に「少しは〜する」のニュアンス。ただの wenig だけだと否定的に「あまり〜しない」のニュアンス。
seinen gewölbten, braunen, von bogenförmigen Versteifungen geteilten Bauch: seinen から geteilten までが Bauch を修飾しています。お腹の有り様を形容しているわけです。von bogenförmigen Versteifungen geteilten は特に「冠飾句」と呼ばれます。単発の形容詞が名詞を修飾しているのではなく、前置詞句など、複数の語句が名詞を複雑に修飾していることが冠飾句の特徴です。ここでの読み進め方を述べておきます。この前に sah が出て来ていました。これは他動詞ですからこのあと目的語の4格名詞が出て来ることを予想しながら読みます。しかしその前にコンマ (,) があって wenn が来てますので、wenn が副文の挿入文を成す接続詞だろうと予測し、枠構造を作る動詞 hob とコンマ(,) を見付けてこの予測の正しさを確認します。そして「目的語の4格名詞はまだかな?」と考えながら seinen を見ますと、これは所有冠詞で男性4格か複数3格のどちらかであり、しかし sah に対する目的語は普通男性4格であろうから、この seinen はたぶん男性4格で、そのうちこれに対応する男性名詞が出て来るはずだと期待するのですが、このあとの gewölbten も braunen も、明らかに形容詞であり、「まだかな?」と思っているとコンマのあとに前置詞 von が出て来て「おや?」と思うわけですが、とするとこの前置詞に対する名詞がまず最初に出て来るはずで、すると大文字から始まる単語 Versteifungen が来たので、たとえこの語の意味がわからずとも、これが von に対する名詞だと気が付きます。そしてそのあとに geteilten という形容詞化していると思われる過去分詞を目にした途端、「von は「〜によって」の意味で、〜によって teilen されたのだな」と想像が付きます。そうしたあとで、またしても大文字の単語 Brauch が出て来てここで文が終わっているので、これが探していた sah の4格目的語だとわかります。そしてさきほどの gewölbten も braunen も Brauch にかかっており、また von から geteilten までについても、これは冠飾句で Brauch にかかると考えられて、ここまでの分析に何も矛盾はないことから、以上の読みが正しいことを確認して、一つの文を読み終えます。長い説明でしたが、ドイツ語を第二、第三外国語等として読んでいる時は、普通誰もが、自覚的にまたは無自覚に、今説明したロジックを働かせながら読んでいると思います。今のような考え方を瞬時に無自覚に働かせることができればできるほど、ドイツ語の読解がより上達して行くわけですね。なかなか難しく、長い道のりですが。
auf dessen Höhe: dessen は関係代名詞男性2格。先行詞は Bauch。文字通りにに訳すと「そのお腹の高さの上に」。ここの読み方を示します。dessen は関係代名詞の男性2格か中性2格です。直前に男性名詞 Bauch があったので、dessen は男性2格で、先行詞はこの Bauch だろうと見当を付けます。そして dessen はうしろの Höhe にかかり、auf dessen Höhe でひとまとまりの副詞的語句を成します。そうならば Höhe のあとに関係文を構成する主語と、文末に枠構造を成す動詞が来るはずだ、と予測します。すると早々に名詞 die Bettdecke が来ているのでこれが主語だろうと考え、読み進めて行くと zum ... bereit が来ますが、これは明らかに挿入句ですから、これを越えて読み進めると最後のピリオド (.) の前に助動詞とそれが従える動詞の不定形 erhalten konnte が来ているので、これが求めていた枠構造を成す動詞句だと判断できます。(そして主語 die Bettdecke の前にあった sich は erhalten の取る再帰代名詞だとわかります。)
sich die Bettdecke, ... erhalten konnte: sich4 + erhalten で
雨上がりかどうかは分らないが、いずれにしてもパリの夜は光の反射が美しい。コロヴィン1861-1939はロシアの画家、パリが大好きでたくさん描いた
守先生3月のご予定
暮らしを「コントロール」する。容易に達成できることも多い
生活マニア
ていねいな暮らしというのが、からかいのニュアンスをわずかに持っていた日々があり、それが今もそうなのかはわからないが、なんとなく「暮らし」というものに対して距離を置いた。「そ、そんなことないし」という、子供の頃に勉強が好きそうなそぶりを見せるとバカに…
Re:11colors
思ったことについて
子が、まだ見たことがないはずなのに「トトロ!」と言った
最近のこと(2025/2/11~2/16)
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ビールとタコスしかないのか
先週の土曜。この日もシティカレッジでの授業のあとにハビエルとランチをした。タコスが食べたいというぼくの要望で近くのメキシカンを物色し、メキシコ人の彼にTaqueria Zorroという店に決めてもらった。タコスの盛りが一際迫力のある、とても良い店だった。牛のタコ…
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「話しやすい相手」というのが分かるようになってきた
取材で心掛けてる事。
有料 みんなが手にして読む取材モノ。 何も考えずに、取材を受けてるわけではなくって 事前に質問はいただきます 話してる内に盛り上がった内容があれば、そこを深掘りされたりします continueの取材なんかはそんなの。 「あー、それ面白いですね。聞いた事なかった。もーち…
「図書館を育てることは共同体を育てることに他ならない」
一橋図書館を育ててみた(前編)
ある人は言った。 大学図書館は育てるものだ。 僕が現在所属している一橋大学をはじめ、多くの大学図書館では、学生が図書購入申し込みを行うことができる。 もしあなたが大学生なら、そうして図書館に本を入れることで、図書館を育てることができるだろう。 図書館に…
#EBF6F7
Diary
あのときはバスケ選手を撮るなんて夢にも思わなかった
カメラ修行日記①
カメラを持つことでバスケの試合を自分の目で見なくなるのは嫌だな〜と思ってカメラを持っていくのは避けていた。スマホで雰囲気だけわかる写真だけ撮ろうと思っていた。 でもある日、選手間近で撮った写真を見て「やっぱり自分のメモリだけに残る自分で撮った選手の写…
dragoncry
趣味
並んだ餃子がフリルみたい。こういう襟の服を持っていた
日記:初めて餃子を作った
スーパーをうろうろした末に精肉コーナーに辿り着き、ひき肉を眺めていたらすぐそばに春巻きの皮が置いてあることに気が付いた。春巻きっていいよね、と思ったものの、春巻きを巻く技術とそもそもの調理方法がよくわからないことに思い至り(あの料理は焼くのか揚げる…
はとまめ日記
プレゼン冒頭を現地語で。リスペクトする姿勢を見せられた?
インドネシアで、インドネシア語で、あいさつをしてきましたよ!
すらまっしあん。インドネシアから戻りました。ええところでした。ヤギの頭の煮込み(Kepala Kambing の Tongseng)がおいしかったです。 higureyasan.hatenablog.jp この話です。頑張りました。結果から言うと、成功だったと思います。 やってみてよかった点と、すっ…
日暮れ、道遠し
ことば
家からフックまで。生活がよくなる11品
2024年買ってよかったモノ
2025年もはや1ヶ月半が過ぎましたが、買ってよかったモノブログはいつ書いてもいいんだよ、という気持ちでしたためます。 家(含むおそうじ浴槽・マルゲリータ) こたつ布団(ベルメゾン) コンロ下収納(ベルメゾン) 水切りバー(KEYUCA) メガネ2本(メガネのパリミ…
ごった煮イマジネーション
普通の人の一生が、8ページでさらりと通り過ぎていく
いがらしみきお『人間一生図巻』
実家に帰ると父母の昔話をつとめて聞くようにしている…ということは前にも書いた。知っている人の意外な面が現れたり、今とは違った価値観や社会のありようが描かれて、面白いからである。 商売の成功話のようなものは定番の講談を聞くようなものだ。 夕食や昼食を食べ…
紙屋研究所
マンガ
藝大は「家にいるときの俺みたいな像」も完璧に仕上げてくる
25/2/15 美大芸大の卒展巡りにハマったから良かった作品を紹介するぜ
卒展巡りが面白い 武蔵野美術大学 月光の怪盗 平成37年 東京藝術大学 シンプルに上手い山か海 スタレの新キャラみたいなやつ 家にいるときの俺みたいな像 宝塚大学 Unityのシェーダー改善 会社ロゴ制作 アークナイツの新キャラみたいなやつ 卒展巡りが面白い 1月末頃か…
LWのサイゼリヤ
いつもは日帰りで遊びに来る鎌倉に1泊旅行。"酔狂な休日"
ざべすの酔狂記(ファイナル)
おはよう! ざべすよ! ついに日曜日到来です。みなさん、一週間どうでしたか? ざべすは鎌倉旅行のことを思い返していました。 前回のあらすじ ざべす一行は、いつもなら日帰りで遊びに来る鎌倉に一泊するという、酔狂な休日を過ごしました。 poolame.hatenablog.co…
プール雨
ざべすのご機嫌ななめ上日記
1年生のために、磁石とテプラで朝のTodoリストを作った
床削って巻き寿司
2/1(土) ポケモンカードやろう、とRに起こされる。お互いルールをよく理解していないまま、なんとなく確認し合いながら対戦を進めてみた結果勝利。対戦が終わった頃に妻とAが起きてきたので皆で朝食。 家の鍵の電池が切れそうなので、子供にドライバーを渡して電池を…
石記
料理
「生きている王」の廟で視界いっぱいの青に囲まれる
2024年ウズベキスタン旅行 8日目 : サマルカンド観光
2024年ウズベキスタン旅行8日目(2024-05-03)の記録です。 この日はサマルカンド観光1日目! サマルカンドと言えば青の建築物が有名で実際シャーヒ・ズィンダ廟はその期待を裏切らないものでしたが、他にも一見地味ながらも魅力的なスポットもありました。 この日見たも…
世界史ときどき語学のち旅
旅行記
ピクセルアートのADV。「逆転裁判」が好きな人にお勧め!
2025/2/16の雑記 「都市伝説解体センター」をクリア(ネタバレ
2/13にリリースされたADVゲーム「都市伝説解体センター」をクリアしました。 umdc.shueisha-games.com 感想の後半にはネタバレも含みますのでご注意ください。 このゲームに注目したきっかけはIndie Worldで映像を観たからだったと思います。ドット絵で動く絵が印象的…
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今年に入ってエスプレッソが飲みたい病気にかかってしまい、エスプレッソマシンの購入を検討しています。 しかし、でかい(物理)買い物なので慎重に考えていてなかなか決めきれず、いったんエスプレッソ欲を満たすためにマキネッタをやることにしました。 BIALETTI(ビア…
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【連載53】サイボウズ社Sakitoさんが語るエンジニアコミュニティ活動で得た成功体験
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葉物野菜が高いから根菜でおつまみ「にんにくみそジャーマンポテト」半熟ゆで卵がいい仕事しすぎ
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JBS
2025-02-14
■
다이나믹 듀오(Dynamicduo), 거미(GUMMY) - 'Take Care' M/V
www.youtube.com
개코(Gaeko) - Gaejaksil Project Live 🎤 with Ikbbo 🎸
www.youtube.com
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rokaz 2025-02-14 15:34 読者になる
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文フリ京都へ。初対面でもブログで人となりを知っている!
2025年1月のこと
2025年のあなたを表す漢字は「踏(ふ-む)」 キャリアパス的に「ステップを踏む」という良い意味と、人に意見したりして「地雷を踏む」という悪い意味があります。 と人に予言された。 毎年一年の総括として発表される今年のあなたを表す漢字。2022年は「染(そ-める)」、…
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2025年01月
最後の「追記」 (2025/01/23)
「雑日記」の終わりに
2025年2月8日(土)
連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見 第22回
原爆・ピンナップ・フィルムノワール
──『ギルダ』とリタ・ヘイワース
〈予約受付中〉
https://kobe-eiga.net/programs/2036/
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2025 著作権. 不許複製
2024年振り返り ますますAIが生活に組み込まれてきた 驚きのNotebookML
世界各地で戦争が起き、その模様がテレビ画面を通じてお茶の間に入ってくる日々が続いている。
どうにも落ち着かない感じがするが、今年を振り返ってみると、昨年との大きな違いはAIが私たちの生活にしっかりと組み込まれたことではないだろうか。
「生成AI」(Generative AI)(機械学習モデルによって、コンテンツを生成する技術)や「ChatGPT」(生成Aの代表的なサービスの一つ。大規模言語モデル=LLM=を活用し、テキストデータを生成)はすっかりお馴染みの言葉となった。かねてから使ってきた言葉である「AI」(Artitficial Intelligence)も、「人口知能」と訳すことなく、単に「AI」というだけで、意味が通じる。
次第に生活に組み込まれ
皆さんも、もうすでにだいぶ生成AIを使っていることと思う。
振り返ってみると、そのはるか前の段階として、「履歴情報を使いながら、利用者が選択しそうなアイテムをリストアップする」作業が行われていたことを発見したのは、アマゾンを利用していて、「おすすめリスト」を見た時ではなかったかと思う。
当時は、「よく私が好きなものがわかるなあ」と感心したものだった。「便利だな」とさえ思った。
次の段階として、メールを打つときに「文章やスペルのサジェスチョンが出る」ことを体験した。当初は「うるさいよ」と思ったものだが、今は「助かるよ」に変わった。
筆者がChatGPTをよく使うようになったのは、今年である。きっかけは体調を崩して横たわっていた時だ。自分の体に何が起きているかを知りたくなり、ずばり質問ができるChatGPTに聞いてみた。人間との会話のような答えになるので、「お大事に」と書かれると、慰められた。ほかにもいろいろ聞くようになった。
秋になって、家族が病気になった。病院からの手紙は専門の医療用語でいっぱいだ。ChatGPTでしらみつぶしのように言葉を調べていった。なぜそうなるのか、どうすればいいのかも書かれてあった。
ChatGPTは単に言葉の意味のみではなく、「相談」もできる。例えば「友人関係で悩んでいる。こういうことをされたが、どうしたらいいのか」などにも、それなりの回答が送られている。
同じく今年から、筆者は翻訳サービスの「DeepL」を使うことになった。大量の文書をもとに原稿を書く必要があり、時間的余裕がなかったので、とても評判が良いこのサービスを使ってみたのである。それ以来、長い文章、訳しにくい文章はこのサービスに頼む。適切な訳ではないと思うこともたびたびあるが、PDFをそのまま画面にドラッグするだけで英語から日本語に翻訳されるのは、非常に便利だ。
問題は、「頭を使わなくなった」ことである。これは一体、何を意味するのだろうか。
さて、普段の情報収集でもAI関係の話題を集めていくうちに、いくつか、「ここまで来たのか!」と思わせるテクノロジーがあることがわかってきた。日本でも一部報道されているが、少しここで挙げてみたい。
AIエージェント
私はポッドキャストをよく聞くのだが、「今後、恐れるべきAIは何か?」というトピックを扱った番組があった。AI開発を専門とする英企業「DeepMind」(グーグル傘下に入ったので、今はGoogle DeepMind)によるポッドキャストである。その中で紹介されていたのが、次世代のツールとしての「AIエージェント」だった。
例えば、スマートフォンを開くと、画面にはたくさんのアプリがある。何らかのタスクを実行しようとするとき、それぞれのアプリを開くことになる。しかし、AIエージェントに任せれば、アプリを作動させて利用者がやりたいことを実行してくれる。
もう少し詳しい説明としては、ウェブサイト「GIGAZINE」によると、米大学教授がAIエージェントを「特定の環境について多くのことを学習し、人間からの簡単なプロンプトがいくつか入力されるだけで、その環境内で問題を解決したり、特定のタスクを実行したりできる技術ツール」と定義しているという。
初期のAIエージェントはすでに稼働している(例:ロボット掃除機)ものの、さらに進んだ形で、利用者に代わってタスクを実行するものになってゆく。
「AIエージェントがやってくる(The AI agents are coming)」という記事(フィナンシャル・タイムズ紙、12月11日付)によると、Anthropicというスタートアップ企業がデモでやってみせたのは、PCの利用者の行動を再現するサービス「Computer Use」。誰かがコンピューターを使って、いろいろなサイトから情報を見つけ、それをもとにデジタル書類を埋めてゆく――この作業をコンピューターが独自で行う。つまるところ、オフィスの事務員がすることをそっくりそのままやって見せたのである。
まだ開発中のデモだったが、これがさらに進めば、相当な数の事務員の仕事が危うくなる「かも」しれない。ロボット掃除機のようなことを事務作業に当てはめた形だ。
来年は、さらに進化しそうだ。
ポッドキャストを自動的に作るNotebookML
別のポッドキャストを聞いていて、「え?」と非常に驚いたのが「文章から、ポッドキャスト番組を作る」サービスだ。グーグルのNotebookMLである。
作成されたポッドキャストは二人組のキャスターがしゃべりあう形で、合いの手も入る。言葉に詰まったり、笑ったりも。
筆者も早速、試してみた。
英国の核兵器についての下院の文書をダウンロードし、そのPDFをNotebookMLにドラッグして読み込ませてみた。数分待つと・・・確かに、二人組のポッドキャストができた。今は英語版のみだそうだ。
文章を読むよりも、音声で聞いた方がわかりやすく、かつ、「二人の会話」の形だともっと聞きやすい。
・・・となると、「文章を読む」という頭脳の能力までゆくゆくは弱体化していくのだろうか?
(AIテクノロジーの話、続きます。)
2024-12-22
再び、東大駒場の講義から稀代の名著が誕生
今回は、三枝洋一『数論幾何入門』森北出版を紹介したい。この本は一言で言えば、保型形式と楕円曲線についての入門書なのだが、とんでもなくわかりやすく書かれている。まえがきによれば、「東京大学教養学部前期課程の全学自由研究ゼミナールで大学1・2年生を対象に行った講義をもとにしたもの」ということだ。このような講義から生まれた奇跡の名著に、久賀道郎『ガロアの夢~群論と微分方程式』ちくま学芸文庫がある。この本に匹敵する本はもう出てこないだろうと思っていたが、なんと、再来したのだね。
その前に、例によって、ぼくが市民講座で行う講義の宣伝をしておきたい。
早稲田エクステンションセンター 中野校
世界は数でできている~無理数から理解する株からカオス理論まで
全3回 2015年 02/07, 02/14, 02/21 (すべて金曜日) 15:05~16:35
(講義概要)
皆さんは、ルート2(2の平方根)やπ(円周率)やe(ネピア定数)などの無理数をご存じでしょう。しかし同時に、これらの無理数は私たちの生活とは無縁なものと思っておられるでしょう。この講義では、これらの無理数が実は、現実世界をつかさどっていることを解説します。例えば、株価は日々、乱高下します。その動きはでたらめのように見えますが、ある程度法則があり、そこに無理数が関わっています。また、火事や機械の故障などの突発的なできごとにも法則があり、ここにも無理数が出現します。このように、無理数は世界を読みとくカギになるのです。最後には、カオス理論という数学の先端理論にも足を延ばします。
詳しくは、以下のURLで見てほしい。
世界は数でできている | 小島 寛之 | [公開講座] 早稲田大学エクステンションセンター
さて、三枝洋一『数論幾何入門』にもどろう。
数論幾何入門
作者:三枝 洋一
森北出版
Amazon
この本がなぜ名著なのかというと、「非常に難しい専門の数学を、めちゃめちゃわかりやすく解説している」からだ。それは、久賀道郎『ガロアの夢~群論と微分方程式』にも共通することである。なぜ、「めちゃめちゃわかりやすい」解説になったかというと、東大の1年生を対象とした講義であり、前提知識が限られるからだ。1年生だから当然、解析学や線形代数は習っていない。知っているのは高校数学だけだ。その縛りの中で「非常に難しい専門の数学」を解説しようとするなら、自ずと工夫をしなくてはならない。大抵の東大の教員は、そんな親切心は持ち合わせていないから、受講生の前提知識など気にせず未習得の知識をばんばん使って講義をしてしまうだろう。東大の一部には、高校生のときに既に大学数学をマスターしている強者がいるからそれでもついてこれる。でも、とても稀にだが、自ら高校数学までに縛りをかけて高度な講義にチャレンジしようという教員が出てくる。これが、久賀先生であり三枝先生だというわけなのだ。そして、このような「縛りをかけた工夫」は名著を生み出すことになる。
ぼくが、三枝『数論幾何入門』を手にしたきっかけは、現在ぼくが執筆している本において、保型形式と楕円曲線の解説が不可避だからだった。それでこれらに関するたくさんの本を読んだが、どれもわかった気にさせてもらえなかった。とりわけ、ぼくにとって最も重要なとという楕円曲線(モジュラー曲線のひとつでもある)の方程式を知りたいのに、それがわかりやすく書かれているものが(ウエブにアップロードされている論文以外には)全くなかったのだ。本書はまさにピンポイントでこの方程式を初等的に導いてくれている。これはぼくにとって、幸運な巡り会いだった。
本書は、まえがきに「高校までで学ぶ内容を超えた予備知識は極力仮定しないように務めている」と宣言している通り、大学数学の知識がなくても読めるようになっている。とは言っても、仮定していないだけで、大学数学で習うことと同レベルの数学を展開しているので、「スラスラ読めちゃう」たぐいの本ではないのでそこはご注意を。
ぼくがこの本で感心するのは、どこかの専門書には書かれている定理であっても、著者の(たぶん)オリジナルな証明が随所に提示されていることだ。例えば、「上半平面(虚部が正である複素数の作る複素平面の上半分)に作用するモジュラー群(整数が成分の2×2行列で行列式が1であるものの作る乗法群)が、2つの要素から生成される」という定理は、いろんな本に書かれているが、本書ではユークリッドの互除法を使って証明している。ぼくはこの証明は初めてみた。
もう導入部からして驚きである。数論幾何というのは整数論に幾何学的な方法からアプローチする分野だが、その最も簡単な例として、「ピタゴラス数」へのアプローチを紹介する。
ピタゴラス数というのは、を満たす自然数の組のことだ。やなど無限に存在する。それらをすべて求める手法として、円周上の有理点に帰着させる方法が有名である。まず、をと変形する。これは、有理点が円の周上にあることを意味する。したがって、ピタゴラス数を求める問題は、原点を中心とし半径1の円周上の有理点をすべて決定する問題に帰着される。この問題には、次のような見事な解法がある。円周上の点を通り、傾きが有理数の直線を作る。それはである。これと円の交点を求める。円の方程式に直線の方程式を代入すれば、となるが、1つの解がとわかっていることから、方程式がと簡単に変形できてしまう。したがって、以外の交点として、が求められる。逆に、円周上に有理点Pがあれば、点と結んでその傾きは有理数だから、これを傾きとすればPを生み出すことができる。したがって、円周上の(以外の)有理点すべてがこの方法で見つけられる。ひいては、すべてのピタゴラス数がこの方法で見つかることになる。実際、有理数をと置けば、となるから、ピタゴラス数の(既約な)パラメーター表示が与えられる。ピタゴラス数が無限にあることもこれからわかる。
以上のことは、多くの数学書に書いてある。本書の真骨頂はこれからだ。本書は、この解法を有限体に拡張する。有限体とは素数に対する集合に余り算の四則計算を導入した体のことだ(での合同式の計算と言ってもよい)。このにおいて、方程式の解の個数を求めるのである。の要素に対するは平面を成しているわけではないので、これは円の方程式ではない。けれども、あたかも円のように扱い、アプローチする。それを著者は「あたかも幾何学的実体を持っているかのように扱える」みたいな感じに表現している。
そして、何をするかというと、「平方剰余の第1補完法則」を証明するのである。「平方剰余の第1補完法則」というのは、のにおける解の個数が、で分類できるという法則だ。どうやってこれを導くかというと、の分母がであるのがポイントとなる。つまり、有理数の世界ではこれが0になるは存在しないから問題にならなかったが、の世界では存在するから、これをちゃんと処理しないとならない。なるはいわゆる値の定義できない「極」になる。したがって、極の個数が方程式の解の個数に関与することになり、そこに注目することで「平方剰余の第1補完法則」が証明されるのである。こんな証明はぼくの持っているどの整数論の本にも書かれていなかった。見当違いかもしれないが、リーマン面の理論では極の存在からリーマン面の性質がいろいろわかる。「幾何学的な実体を捉えるには特異な点に注目する」ということの意味は、この「平方剰余の第1補完法則」の証明に端的に現れているのかな、などと妄想した。ちなみに、本書ではさらに、同じ分析方法で「平方剰余の第2補完法則」も導いている。
今回は、三枝『数論幾何入門』の冒頭のところだけ紹介したが、本書の本領は、最初のほうに述べたとの方程式を導くことと、これらと保型形式との関係を明らかにするところにある。その説明が、ぼくが持っているどの本よりもクリアカットに書かれているのがすばらしいのだ。
実はぼくも、駒場に通っていた頃、このような1年生向けの数学ゼミナールの第1回に勇んで出席したことがあった。担当教員が開口一番、「数学セミナーなんか読んで数学がわかった気になっている人は来ないでください」みたいなことを述べた。ぼくはこの発言にめっちゃ憤った。数セミが愛読書だったからだ。ぼくは即座に退室した。出て行ったのはぼく一人だったと思う。そのセミナーではセール『数論講義』を教科書にしたのだと記憶している。だから退室して良かった、結果オーライだったと今では思う。もし意地になって出席して、セール『数論講義』を輪読したら、難しすぎて、きっと数学の道を諦めたと思う。そういうところでぼくにはツキがあるのだ。
最後にいつものように販促をしたい。久賀道郎『ガロアの夢~群論と微分方程式』については、拙著『完全版 天才ガロアの発想力』技術評論社で解説をしている。久賀先生の本よりもさらにかみ砕いているので、久賀先生の本にチャレンジする前に拙著を読んでおくと、面白い本がさらに面白くなること請け合いである。
ガロアの夢 ――群論と微分方程式 (ちくま学芸文庫 ク-36-1)
作者:久賀 道郎
筑摩書房
Amazon
【完全版】天才ガロアの発想力 ―対称性と群が明かす方程式の秘密― (知の扉シリーズ)
作者:小島 寛之
技術評論社
Amazon
hiroyukikojima 2024-12-22 01:13 読者になる
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再び、東大駒場の講義から稀代の名著が誕生
2024 / 12
2024年 12月
2024年 12月 13日
さえずり 12122024
何もしなければドキュメンタリーになると考えるのは現代の作家が陥りがちな錯誤である。放っておくと映画はすべてをつくりものに見せてしまう。ロメール、カサヴェテス、キアロスタミ。映画は徹底した作為の果てにのみドキュメンタリーへと到達する。「映画はドラマ、アクシデントではない」(小津)。
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# by mgcollector | 2024-12-13 00:03 | 雑感
ブログの引っ越しを考える
2024 / 11
2024年 11月 18日
注目新刊既刊:武田崇元/横山茂雄『霊的最前線に立て!』国書刊行会、ほか
★注目新刊書および既刊書を列記します。
『死の瞬間――人はなぜ好奇心を抱くのか』春日武彦(著)、朝日新書、2024年11月、本体900円、新書判並製232頁、ISBN978-4-02-295287-5
『編集宣言――エディトリアル・マニフェスト』松岡正剛(著)、工作舎、2024年10月、本体1,600円、四六判変型上製152頁、ISBN978-4-87502-569-6
『霊的最前線に立て!――オカルト・アンダーグラウンド全史』武田崇元/横山茂雄(著)、国書刊行会、2024年10月、本体3,600円、A5判上製462頁、ISBN978-4-336-07638-0
『Outlying――僻遠の文化史』武邑光裕(著)、rn press、2024年10月、本体3,600円、四六判並製452頁、ISBN978-4-910422-19-0
『美術の物語 ポケット版』エルンスト・H・ゴンブリッチ(著)、天野衛/大西広/奥野皐/桐山宣雄/長谷川宏(訳)、河出書房新社、2024年10月、刊行記念特価本体3,990円(2025年1月末まで、かつ、初回生産分限定)、46変形判上製1048頁、ISBN978-4-309-25746-4
『シュレーディンガー詩集――恋する物理学者』エルヴィン・シュレーディンガー(著)、宮岡絵美(訳・編)、書肆侃侃房、2024年9月、本体1,900円、四六判並製96頁、ISBN978-4-86385-637-0
『口に関するアンケート』背筋(著)、ポプラ社、2024年9月、本体550円、A6変型判並製63頁、ISBN978-4-591-18225-3
★『死の瞬間』は、精神科医の春日武彦(かすが・たけひこ, 1951-)さんが様々なフィクションやドキュメント、映画やコミックを含む作品群を引き合いに「死」を論じたもの。「死ぬ瞬間」「「永遠」は気味が悪い」「見知らぬ世界」「取り返しがつかない」「死体の件」「死と悪趣味」の6章立て。「本書でわたしは、ヒトが「死」に好奇心を寄せるその有りようを図鑑のように挙げ、論じてみたい。そのようなことをする背景には、死には三つの大きな要素が絡んでいると思っているからである」。春日さんはその三つの要素を〈グロテスク〉〈呪詛〉〈根源的な不快感〉とまとめておられます。
★『Outlying』は、メディア美学者の武邑光裕(たけむら・みつひろ, 1954-)さんによる初めての自伝。本文が序盤、中盤、終盤と違う色で刷られており、銀色の表紙とあいまって存在感が抜群です。装丁は藤田裕美さんによるもの。中盤中ほどにはカラーの図版頁もあります。特別付録として宇川直宏(DOMMUNE)さんと若林恵(黒鳥社)さんの対談「サイケデリックの行方」という投げ込み小冊子(24頁)が付いています。
★「マンハッタンに廃墟の住処がなくなろうとする80年代後半に至るまでの、ほぼ10年間にわたるNYでの経験から、そこから90年代以降のサンフランシスコ、そして京都、東京、札幌を挟み、ベルリンとヨーロッパへと向かうことになる私の約40年以上に及ぶ旅の記憶を紡いでいこうと思う。〔…〕インターネットの普及後、コミュニケーションの利便性は圧倒的に変化したが、自身が世界で出会う人物との遭遇は、e-メールやSNSで済まされるものではない。世界が縮小し、出会うべき人との距離が短縮されたとしても、リアルな出会いと対話の記憶を超えることはない。〔…〕この旅のほぼすべてを開示することで、僻遠の異界との関わりをめざす人々に、何らかの刺激を届けられれば幸いである」(序章、19頁)。
★同書の刊行記念に、著者と若林恵さんによるトークイベントが来たる11月29日(金)、青山BC本店にて行われます。詳細はリンク先をご覧ください。版元の株式会社rn press(アールエヌ・プレス)は、2021年に設立。書店への卸は、直取引かトランスビュー経由とのことです。代表の野口理恵(のぐち・りえ, 1981-)さんは複数の出版社を経て独立した編集者であり著述家。自社から今年5月に『私が私らしく死ぬために』という実用エッセイを上梓されています。「何か「学び」に関する本をずっと作りたいと思っていました。それならば第一弾は「死に方かな」と思い、死をいろいろな角度から取り上げることにしました。死を想うことで、強くなると信じて」(まえがきより)。出発点がすごい。
★『編集宣言』は、8月12日に逝去された松岡正剛(まつおか・せいごう, 1944-2024)さんが工作舎の月報「土星紀」で連載されていた「エディトリアル・マニフェスト」(1979年8月号~1981年12月号)を中心に、『遊』誌時代の「編集」をめぐるエッセイ2本「遊学する編集」「「別の仕事」との関係から」と、工作舎編集長の米澤敬さんによる「編集者あとがき」が収められています。このあとがきでは米澤さんの前口上に続いて松岡さんによる「遊線放送局」第一回が抄録されています。
★1979年の「エディトリアル・マニフェスト」第1回から引用します。「編集は闘争でもあった。/そこで、「編集」を「エディトリアル・ワーク」と言い換えておくことにする」(18頁)。「いわゆる“編集者”が著者と版元の間を守る芸者を演ずる時代は終わった。H芸〔編集芸〕からE闘争〔エディトリアル闘争〕へ」(19頁)。この言葉から45年経過した今も、編集は闘争であり続けています。真実と嘘が見極め難い時代に、編集は諸刃の剣としていよいよ危うい段階に入りつつあります。「ただ私が何を言いたかったのか、そのことを手短かにまとめておくことにする。「君たちはようするに何をしているのかね?」「いや、別のことをしているのさ!」」(136頁)。こうした「別のこと」の可能性について自問したいと思います。
★『霊的最前線に立て!』は、八幡書店社主の武田崇元(たけだ・すうげん, 1950-)さんと、英文学者で作家の横山茂雄(よこやま・しげお, 1954-)さんの対談本。目次は書名のリンク先をご覧ください。附録として『復刊 地球ロマン』と『迷宮』の2誌の総目次を併録。400頁を超える大著ですが、巻末には人名索引があるので、興味があるところから拾い読みで始めることもできます。武田さんと横山さんが出会ったのは70年代半ばとのこと。日本のオカルト・ムーヴメントを振り返りつつ、お二人の自伝的側面もある一冊です。先述した松岡正剛さんとの関わりでは第5章「横山茂雄の遍歴」に「松岡正剛と工作舎の近辺」(156~160頁)という興味深いパートがあります。横山さんは工作舎に出入りし、大学院生時代にバラード『残虐行為展覧会』(法水金太郎名義、工作舎、1980年、現在品切)を上梓しています。
★『美術の物語 ポケット版』は、オーストリアに生まれ英国で活躍した美術史家エルンスト・H・ゴンブリッチ(Sir Ernst Hans Josef Gombrich, 1909-2001)のベストセラー『The Story of Art』(Phaidon, 1950/…/1995)の訳書で、日本での出版事業から撤退したファイドンが2011年に刊行したポケット版の再刊となります。ファイドンのポケット版は単行本版よりも古書市場で高額希少本となっていたため、今回の再刊を待望していた読者は多かったことでしょう。「累計800万部突破、35ヶ国で翻訳、世界一読まれている美術史の本」(帯文より)。日本ではまず、友部直訳『美術の歩み』(上下巻、美術出版社、1972年、改訂新版1983年、改訂3版1992年)が出版され、その後、ファイドンより現行訳(単行本版2007年、ポケット版2011年)が出て、それを河出書房新社が再刊(単行本版2019年、ポケット版2024年)した、という流れです。奥付には「本書は2011年10月にファイドン株式会社より刊行された同タイトルの本を一部修正のうえ、新装したものです」とあります。序文が差し替えになり(出版者リチャード・シュラッグマンの文章からゴンブリッチの孫レオニー・ゴンブリッチの文章に。長谷川宏訳)、いくつかの誤植訂正を行った、と版元さんから聞きました。
★「Web河出」2024年8月14日付特設ページ「【800万部超!世界で一番読まれている美術の名著】『美術の物語』、幻の「ポケット版」が、装いを新たに今秋発売決定!」によれば、本体3,990円は刊行記念特価で「2025年1月末まで、かつ、初回生産分限定」とのことでした。現在版元在庫はなしで重版中ですから、書店店頭で並んでいる在庫のみが特価なのだろうと思います。重版(マレーシアで印刷製本)では通常価格の本体4,990円になるはずです。版元さんの公式Xでも、11月12日付のポストで「【お詫び】世界一売れている美術の本の画期的なコンパクト版『美術の物語 ポケット版』。遂に全ネット書店で完売です。もう1,000円安い特価で買えるのは、いま店頭にある分だけです。想定より1年くらい早かったので河出の在庫はゼロです…。迷っている方、今のうちに書店にお出かけを!!!」と告知されています。
★『シュレーディンガー詩集』は、オーストリア出身の理論物理学者エルヴィン・シュレーディンガー(Erwin Rudolf Josef Alexander Schrödinger, 1887-1961)の唯一の詩集『Gedichte』(1949年)を初めて訳したものです。恋愛を歌った作品が多いことに驚きを覚えます。彼が自身
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2024年 09月 23日
フラナリー・オコナー『フラナリー・オコナー全短編』
先日、出張の車中で『サヴァナの王国』という新潮文庫の新刊を読んでいたところ、思いがけない名前に出会った。2022年に原著が発表され、ゴールド・ダガー賞を受賞したこの小説自体もアメリカの暗黒の歴史が色濃く刻まれたジョージア州サヴァナと呼ばれる地域をめぐるかなりきつい暗黒小説であったが、その中で登場人物がフラナリー・オコナー、サヴァナで生まれ、短編の名手として知られながら40年ほどで短い生涯を終えた女性作家に何度か言及しているのだ。
うちの女性たちはフラナリーを読もうとしない。サヴァナが舞台だから、去年「精霊の宿る宮」を読ませてみたけれど、やっぱり反応は芳しくなかった。だって、モルガナ、登場人物がみんなグロテスクなんだものって、彼女たちは言うの。みじめったらしいって。
そういえば最近復刊された彼女の短編集を確か求めていたはずであったと書棚から取り出してみる。「精霊の宿る宮」も含まれている。かくして長い迂路を介して私は初めてこの作家の短編を通読することとなった。なるほど、かなりグロテスクな内容だ。
昭和の時代に発表された小説を読む時(本書が最初に訳出されたのは2003年)、本書の巻末にある次のようなエクスキューズが記されていることはもはや通例といってもよい。
本文の人種、身分、身体障害、精神障害に関する表現には、今日の人権感覚に照らして不適切と思われるものがあるが、時代背景は作品の価値、作者の意図などを考え原文を尊重した訳文とした。
本書においてはまさにこれらの人権的にネガティヴな感情が主題化されている。「全短編」と題されたちくま文庫版のうち、上巻には彼女の最初の短編集「善人はなかなかいない」と初期作品6篇が収録されている。「善人はなかなかいない」の原著は1955年、彼女が30歳の時に発表されている。オコナーは難病に苦しみ、39歳で早世したとのことであるが、大学に修士論文として提出されたという初期作品と彼女が注目を浴びるきっかけとなった短編集の間に大きな開きはなく、早い時期から完成された文体と独特の世界観を持った作家であることがわかる。
このレヴューではまず冒頭に収められた表題作「善人はなかなかいない」という短編について全編を要約する。このとんでもない短編を一読する時、短編集に通底するグロテスクさが理解できるだろうと考えるからだ。
「おばあちゃんはフロリダへ行きたくなかった」という一文で始まるこの短編はこんな内容だ。登場人物はおばあちゃんと息子のベイリー、その妻(小説の中では母親と呼ばれ、名前は記されていない)、ジョン・ウェズリーとジューン・スターという8歳と彼より年少の行儀が悪く、口汚い兄妹。さらにもう一人、生まれたばかりの赤ん坊。冒頭の文章が暗示するとおり、彼らは車でジョージアからフロリダに向かう。旅行の目的は特に記されていないから物見遊山であろうか。おばあちゃんはフロリダには監獄を脱走した「はみだし者」を名乗る一群の男たちが向かっているから、行き先をテネシーに変更しようと新聞を片手に懇願するが、孫たちは汚い言葉でそれに応じ、結局一家は早朝に車に同乗してフロリダに向かう。おばあちゃんは連れていくと知られれば車に乗せてもらえない猫を籠に入れてひそかに車内に持ち込む。五人は途中のモーテルで食事をする。大人たちは最近では善人はなかなかいないと愚痴をぶつけ合い、子どもたちはこましゃくれた言葉でモーテルのおかみさんをののしる。再び出発した一行はおばあちゃんが昔訪ねたことのある「秘密の壁板」がある大農園屋敷に立ち寄ろうとするが、途中で籠から飛び出た猫が運転中のベイリーに飛び乗ったため車が横転する事故にいたる。怪我を負って助けを求める家族の前に現れたのはなんと監獄から脱走した「はみだし者」たちであった。自分たちの正体が見破られたと知った男たちは、最初にベイリーを、続いて妻と子どもたちを森へと連れ去っては銃撃する。イエス様が彼らを救ってくれるかという問答をした後で、男は残されたおばあちゃんにも弾丸を打ち込む。
この要約だけでも、なんともグロテスクで救いのない、暴力的な短編であることが理解されよう。この短編にはオコナーの小説を通底するいくつかの主題がすでに明らかである。まずはアメリカ南部、ジョージア州というトポスだ。私はアメリカの地理や歴史に詳しいわけではないが、最初に触れた「サヴァナの王国」を通読した印象として、この地がアメリカの奴隷制度の拠点であり、おそらくはこの短編集が執筆された当時においても黒人差別が苛烈であったことが理解される。(キング牧師らによる公民権運動が起こったのはまさに本書の原著が発表された同じ時代である)後述するとおり、本書には「黒いやつら」と表記される黒人への差別意識が一貫している。一方でこの短編集には、先の「おばあちゃん」と「はみだし者」の対話が暗示するとおり、カトリック教徒としてのオコナーの位置も明らかである。つまりアメリカ南部に生きるカトリック教徒が抱きうる世界観が反映されており、それは収録された作品のいずれからも明らかなとおり、きわめて矛盾に満ち、苛烈な認識であったはずだ。奴隷制度に由来する黒人差別という現実をカトリックの教義といかに両立させるかという問題はアメリカ南部に生活する作家にとっては真剣な課題ではなかっただろうか。いくつかの短編に「分をわきまえた黒いやつ」という言葉が登場するが、自分たちに従属している限り存在を認めるという、まことに白人にとって都合のよい、差別的な認識が当時、この地域に共有されていたことが理解される。かかる気風を反映しているためであろうか、オコナーの短編は多くがざらついた、救いのない読後感を残す。
印象に残ったいくつかの作品について短くコメントしておこう。まず「人造黒人」は老人と少年、ミスタ・ヘッドとネルソンのアトランタ旅行を主題としている。朝5時過ぎに電車に乗ってアトランタに向かう二人にとってアトランタはほぼ未知の都市であり、そこでは「黒いやつら」との邂逅を含めて想像もできなかった事件が連続する。道に迷い、小さないさかいの後、老人は都会の路頭でトラブルに巻き込まれた少年が自分の身内であることをひとたびは否定する。(私の見立てではこれはペテロによるキリストの否認の反復だ)夜になってなんとか帰宅するや、老人は一種の宗教的改心を自覚し、少年は「アトランタに行けてよかったが、二度と行かない」と独白するのであった。見知らぬ土地での困惑と恐怖、不信がないまぜになった短編の背景にはニグロフォビアとでも呼ぶのであろうか、黒人への恐怖感が透けてみえる。あるいは「田舎の善人」は狩猟事故によって片足に義足をつけた娘とその母のぎすぎした関係、そこに闖入する聖書を押し売りする青年の物語であり、娘はジョイという名を「音のきたない」ハルガへと改名して母への抵抗を示す、理解や優しさとはかけ離れた最後の場面にいたるまで緊張感がみなぎる掌編である。さらにこの短編集中で最も長い「強制追放者」はナチス・ドイツによってヨーロッパから追放された人々の通称をタイトルとして、ガイザックという亡命ポーランド人が登場する。カトリックの神父を介して亡命したガイザックはおそらくはアメリカ南部のミセス・マッキンタイアの農場で働くこととなる。そこにはすでにショートレイ夫妻という貧農と黒人たちも働いていた。トラクターをはじめとする農耕機械の運転に秀で、熱心に働くガイザックは最初、ミセス・マッキンタイアに気に入られるが、農場主と亡命者、貧農、黒人という戦時下のアメリカ南部の縮図のごとき関係性は次第にきしみ始めて、悲劇的な結末を迎える。
ここに収められた短編はいずれも人種、障害、階級といった問題をめぐる差別や分断を主題としている。オコナーは時に独特のユーモアを交えながらも、それらを私たちの前に投げ出すだけであり、解決や和解、奇跡を示すことはない。例えば人種問題に関して「床屋」という初期短編においては人種差別に反論しようとする男の喜劇的な努力が活写されている。しかしながら作者は決して教条的に人種差別反対を叫ぶのではなく、黒人に対する恐怖と差別が瀰漫する50年代のアメリカ南部の社会を切り取って示す。私はここで描かれた情景に今までも何人ものアメリカの作家を通して馴染んできた気がする。黒人や貧農をめぐる暴力の連鎖はフォークナーからコーマック・マッカーシーにいたる骨太の作家たちが常に主題としてきたところであり、あるいは本書の時代背景から私は直ちにこのブログでもレヴューしたカーソン・マッカラーズ(今、確認したところマッカラーズもまたジョージア州生まれである)の「啞のギリシャ人」が登場する傑作を連想した。オコナーが短編の名手と呼ばれるゆえんはO・ヘンリー賞を四回受賞したことにあるらしいが、都会的で基本的に善意に満ちた人間関係が描写されるヘンリーと土俗的で悪意に満ちたオコナーの短編はむしろ正反対の特質を宿している。それはニューヨークとサヴァナ、洗練された北部と土俗的な南部の差に還元されるのだろうか。どの短編であったか、「風と共に去りぬ」のプレミアム上映会に招待されるエピソードがあったが、瞥見される差別性のゆえに今日では上映されることが少ないこの映画と本書のテイストもまたよく似ている。(黒人であれば分をわきまえろ)先にこのブログでポール・オースターについて論じたが、現在においてもアメリカにはオースターに代表される知的で抽象的、前衛的な小説家たちと例えばコーマック・マッカーシーのごときごつごつとした手触りの一筋縄では
2024-09-19
Xiaomi TV A Pro 43 2025を購入した
最初の感想は 「ちっさ!」というものだったのですが・・・・
買い替えの経緯なども含めて一応説明させていただくと
今までは アイ・オー・データのいわゆる「モニター」と呼ばれるディスプレイを使っていましたが 今回購入したのは チューナーレスのスマートテレビに属するものです。
何が違うのかというと PCの映像を映すための専用のディスプレイに対して、ディスプレイ単体で映像などを楽しむための装置との違いではあります。
ただ、HDMIの入力があって 外部からの入力においても表示する機能があるので変わらないと言えば変わらないとも言えなくはありません。
細かいスペックの話は 私ではなく専門の技術的なことを追求している人にお任せして私の視点ということでレビューを上げていきたいと思います。
まず、買い替えのきっかけなのですが 何よりも「安い!」ということが大きいわけです。どれぐらい安いかというと 最新の43インチ スマートテレビが29,800円という価格についてどう思われるでしょうか?
この価格であれば 十分に欲しいから買ってみたと言える価格なのです。
勿論Smart TVなので AndroidTVの機能を持っていての話ですが これに関しては多くのテレビ同様にSmartPhoneなどではローエンドでもこんな性能のもうないよねと言えるレベルの機能しかないのですが、意図的に解像度を落とした表示など(文字とか大きいですよね)でそれなりに速度感を改善してとりあえず使えるようにはしてある程度なので過度な期待はダメですが Youtubeをみたり 動画配信サイトを見るには最低限の性能は持っているという種類のものです。
そして NHKの加入料を払わなくていいということで話題になった チューナーのついていない構成にはなっています。
勿論、チューナー分のコストが下がるという意味もあるわけですが チューナを付けることで各国個別の製品を作り分けるという部分で量産効果が薄れることの方が大きな要因と思われるので まあ良しとしましょう。
テレビも見たいという人は選んではダメなものなのですが 最近は無料のTverなどでいろんな番組が見られるので必須というわけではない人も少なからずいますので・・・・
今まで使っていたモニターなのですが これは10年を超える前のものですがちゃんと4Kも表示されるものなのですが 最近グラフィックカードを変えたからか 4Kで60Hzのリフレッシュレートでは動画再生時などにまれに点滅するとかの状況となり どうも電線とかコネクターの劣化が始まってそうな状態なのです。
勿論 リフレッシュレートを30とかに固定すればいいのですが 流石にそこまで遅いとPC用のディスプレイとしてはカーソルが流れたりして使い勝手が悪いので 何かきっかけがあればと思っていたところでの発売記念大特価だったので飛びついたわけです。
最初の感想は冒頭通りで 49→43だったこともありますがベゼルがSmartPhoneとかと同様細いくなっているので しっかりベゼルのあった世代のディスプレイと比べると迫力が違うわけです(笑
で、セットアップなのですが 最低限必要なのは単4電池2本となります。
「モニター」は専用品なので 設定ボタンと、上下の選択ボタン、キャンセルボタンぐらいの4ボタンぐらいで設定するようにできているのですが これは「テレビ」なので 電源を入れてネットワークをつないでGoogleのアカウントを登録してAndroidTVを起動してからがスタートです。
それも、上下と決定ボタンだけで操作するリモコンで・・・正直あまり好きな作業ではないのでQRコードを表示してSmartPhoneで設定するのが速いでしょう。
設定すれば一般的なAndroidTVとして起動します。
そこの設定で入力設定でHDMI1につないでいるPCを設定すればようやくPCモニターとして使えます。
10年選手のモニターと比べると まず画面が明るいです。
これはちょっと期待値以上だったのですが 文字などのにじみが少ないことに評価がぐっと上がります。
どうしても、動画中心に設定されている「テレビ」としての機能を主目的にすると 各ドットの粒状感が気になったりすることがあるのでちょっとボヤっとした設定にしてきれいに見せているディスプレイもあるのですがこれはどちらかというとくっきり系でした。
グラフィックカードはDisplayPort出力なので変換ケーブルを入れて4K60Hzもちゃんと認識しました。
で、なのですが 遅いです・・・・・なんというか画面が流れます。
あれっと思ってよくよくWEBのあちこちを見てみると どうも「テレビ」としての機能を優先してそういう設定になっているようです。
一旦 ディスプレイの方で入力信号を加工して表示しているようなのです。
前述の粒状感ではないですが 長く表示することで滑らかに見せるような設定になっているようです。これはPC用のモニターとしてはあまりいい傾向ではないので モードの変更で対応します。「ゲーム」というモードが遅延が最も少ない設定のようなのでそちらに変更してようやく準備完了です。
あとはスピーカーがなんとなく音が軽いので 今まで使っていたサウンドバーを HDMI2に ARC接続(ディスプレイの電源を入れたら サウンドバーの電源も入るし ボリュームもディスプレイのリモコンで操作できるようになります)で接続しました。
薄くて軽くて、べセルレスなので没入感も高いPCモニターの出来上がりというわけです。
唯一、欠点ともいえるのが 一般的なPC用のモニターは外部入力しかないので PCの画面出力が停止したら(省エネ設定で 画面出力が消える設定です)モニターもスリープに入るのですが このディスプレイはいつまで立ってもHDMI信号なしを表示し続けます。
設定がないわけではないのですが リモコン操作がないと勝手にスリープに入ったりと使い勝手が悪かったので作業が終わったら明示的にディスプレイの電源をリモコンできる必要があるのはめんどくさいとも言えなくはありませんがそれぐらいで 一度設定すると前回切断した時の接続先を覚えていてそこから起動するので(たまに AndroidTVに戻りますが)そんなに大きな問題とはならないわけです。
前述通り、このディスプレイは外部から入った信号をモニター側で加工し表示する機能が色々ついています。多機能な表示はその機能なわけです。
例えば、安価なプロジェクターなどがそうなのですが 「4Kプロジェクター」と書いてあってもネイティブHDとか書いてあって どっちなんだと言えば 実際の出力はHD画質(1280x720の720Pと言われる解像度)で4Kの映像入力を 内部のCPUで加工してHD解像度まで落として表示しているに過ぎないわけです。
他にも壁に投影するのに平行に置けないと 台形に画面が歪むのですが それをソフト的に直せたりする機能がついていたりするわけですが これも 光学的にやっているのではなく入力信号を逆台形に変形させた信号へと加工し表示することで ゆがみがない画面に表示していますが実際は4K→HDにしたのと同様解像度を下げて表示している場所があるというやり方です。
このようにCPUが入力した画像を自由に変形できるようになると より濃淡を強調したりとか HD画質の入力の映像を 4Kにアップスケーリングして表示したりと色々な機能を付けることができるようになります。
色合いを強調した場合 このディスプレイの場合デフォルト設定の場合の遅延はこの加工にかかる時間分入力したものを表示するのに遅れが発生し、その機能をできるだけ削ったモードにするとその遅延がなくなるということになっているわけです。
逆に言うと CPUの性能(もちろん周辺も含めてですが)を上げていくと当然ですがその遅れが少なくなってゆき もっとできる機能が増えていくわけです。
例えば、SmartPhoneのカメラのようにビューティ機能を付ければ画面に映る人の顔の 目が強調されたり 顎が細く映ったりということも可能になりますし 邪魔の背景を消したりも可能になるわけです。
例えば 嫌いなタレントを登録すればその人の登場シーンからはいなくなるような加工もきっと可能にはなるでしょう。AIですし・・・・
このSmartTVはコスト重視でしょぼいCPUに少ないメモリーでどこまで出来るを追求した商品で おそらくほとんどの人が満足できるレベルに仕上がっています。
これで十分ともいえるできなわけですが 逆に光学的にはぼちぼちでもCPUの性能を上げてゆくともっと良いものができてもおかしくないという時代に入ったんだなと思ってしまうわけです。なんせビューティ機能のないSmartPhoneがもう殆どないのと同様にです。
もう一つ、テレビは1度買ったら一生とは言いませんが15年や20年使うこともよくある家電ですが このSmartTVの場合 おそらく5~6年でAndroidTVのサポート期限が切れて脆弱性のあるデバイスになるでしょう。
しかし、AndroidTVの機能で入力を切り替えている以上動かさずに使えないわけで 脆弱性のあるデバイスとしてそれぐらいの時期に買い替えが必要なデバイスとなったわけです。
この機能を付けるだけで、買い替え需要を促進できるという意味ではメーカーにとってもよい機能だと言えなくもないわけです。少なくとも モニターなら私のように機能不全や不足が始まらない限り買い替えなくてもいいわけで
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2024-07-22
メモ
◇ アナ・メンディエタはどこ?
https://whereis-projectinjapan.studio.site/
◇ New York Timesが選ぶ21世紀の100冊の邦訳リスト - YAMDAS現更新履歴
https://yamdas.hatenablog.com/entry/20240716/best-books-21st-century
◇ テクノ封建制の時代へようこそ──クラウド農奴と現代の封建領主たち | WIRED.jp
https://wired.jp/article/sz-yanis-varoufakis-technofeudalism-interview/
◇ メディア効果論 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E5%8A%B9%E6%9E%9C%E8%AB%96
◇ 先有傾向(せんゆうけいこう)とは? 意味や使い方 - コトバンク
https://kotento.com/2023/04/08/klapper/https://kotobank.jp/word/%E5%85%88%E6%9C%89%E5%82%BE%E5%90%91-1354620
◇ 皮下注射モデル - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9A%AE%E4%B8%8B%E6%B3%A8%E5%B0%84%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB
◇ メディア効果論 | 社会心理学
https://kagaku-jiten.com/social-psychology/society/media-effect-theory.html
◇ ネガティブ・ケイパビリティ - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%AC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%82%A4%E3%83%91%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3
◇ ソール・バス - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%90%E3%82%B9
◇ 県美の「名画」 偽物かも… ジャン・メッツァンジェ 自転車乗り 天才贋作師、ネットに酷似作品 徳島 /徳島 | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20240718/ddl/k36/040/299000c
◇「まさかコレが…」学芸員も驚いた!高知県立美術館所蔵の1800万円絵画「少女と白鳥」に贋作疑惑 « 高知のニュース - 高知さんさんテレビ
https://www.sunsuntv.co.jp/news/2024/07/2748051
◇ ドイツの天才贋作師、美術界をだまして億万長者に - CNN.co.jp
https://www.cnn.co.jp/style/arts/35201471.html
◇ The Awful Truth with Michael Moore s02e05 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=lYhBtt2mpjM
◇ Ficus for Congress - The Awful Truth with Michael Moore (part 1 of 3) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=wqa_bhwA-1E
◇ Asian Avant-Garde Film Festival at M+
https://aagff.mplus.org.hk/
◇ Kazuyuki Takezaki: Before Spring - 47 Canal
https://47canal.us/exhibitions/before-spring
◇〈hirvi Acousmonium live 2024〉を終えて ~アクースモニウムについての走り書き~|よろすず
https://note.com/yorosz/n/na81cb348b36d
◇ ネストール・アルメンドロス - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AD%E3%82%B9
◇ 太田三郎 (芸術家) - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E7%94%B0%E4%B8%89%E9%83%8E_(%E8%8A%B8%E8%A1%93%E5%AE%B6)
◇ Danny Lyon's Photography Is a Great Lesson for the Trump Era
https://www.vulture.com/2017/02/danny-lyons-photography-is-a-great-lesson-for-the-trump-era.html
◇「サイボーグ宣言」ダナ・J・ハラウェイ – artscape
https://artscape.jp/artword/5972/
◇ 1140夜 『猿と女とサイボーグ』 ダナ・ハラウェイ − 松岡正剛の千夜千冊
https://1000ya.isis.ne.jp/1140.html
◇ Small File Media Festival – The Cinematheque | Simon Fraser University
https://smallfile.ca/
◇ Gastr del Sol – We Have Dozens of Titles – centralregionblog
https://centralregionblog.wordpress.com/2024/05/30/gastr-del-sol-we-have-dozens-of-titles/
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「世界に向けた言葉」
2023年6月12日
posted by 藤谷 治
最終信(藤谷治から仲俣暁生へ)
仲俣暁生様
仲俣さんの手紙を受け取って、僕はこの三十通以上ある往復書簡のところどころを拾い読みしてみました。
この数年間に私たちに起こった最大の「事件」は、いうまでもなく我々自身の老いですが、歳をとった人間になじみ深い、あの「数年前など、ついこのあいだ」という感覚が、この手紙のやり取りに感じられなかったのは、興味深いことでした。2018年は充分に遠い昔の出来事で、当時の自分を懐かしくすら感じました。
環境の変化ということもあるでしょう。この期間に私たちは教師になりましたし、肉親との別れも経験しました。そういう話は、この書簡のやり取りの中ではほとんど語られることはありませんでしたが、私たちの言葉の背後に、そういった変化が裏打ちされていたのを、今読み返すと感じます。
しかしそれだけがこの書簡の始まりを「昔」のように感じる理由では、無論ありません。
仲俣さんが書いておられる通り、数年前と今との間には、「長期間にわたる世界規模のパンデミック」ばかりでなく、ヨーロッパでの戦争があります。私たちはまさに「世界戦争の鳥羽口に立って」いる。五月の広島サミットが、僕には連合軍の団結式のように見えました。
これもまた仲俣さんがどこかで書いていましたが、今年亡くなった大江健三郎が晩年まで語っていた「核の恐怖」を、僕は時代遅れの取り越し苦労のように思っていたものでしたが、今やそれは(いくらなんでも、そこまで……)と思いつつ、しかし二年前までの空想ではなくなって、それこそヒロシマでサミットが行われることの国際世論的な効果が見込まれる程度には、恐怖しなければならない事態に至っています。
自分の生きている今現在を、歴史的な転換点だと思うことには慎重な僕ですが、事態がこうまで動いてしまえば、何かが始まっていると認めるほかありません。もう以前の世界には戻れないところまで、物事は進み始めていると思います。
ツヴァイクのそれとは違う形で、私たちは知らないうちに「昨日の世界」を綴っていたのかもしれません。今ここにあるのも「昨日の世界」なのかもしれません。現在の僕はこれまでになく――1995年よりも、2011年よりも、2020年よりも――世界に対して恐怖を感じています。
ところがどういうわけか、僕は文学に対しては、あるいは広く「表現」に対しては、いささかの悲観もしていないのです。我ながらこれは奇妙なことです。今年に入って僕はどこからも仕事の依頼を受けておらず、生計を考えればどうあっても悲観しなければならないはずの立場なのですから。
それでも文学に対し悲観がありません。仲俣さんの言う「言葉をもちいて表現を行う者にとって、逆境は必ずしも絶望とイコールではない」ということは、もちろんあります。
しかし、それより何より、僕自身が今、世界に向かって語りかけなければならないという熱に浮かされているのです。状況に即した発言をしたいとか、社会に物申したいとか、そんなことではありません。ただ物語りたい。
この青臭い焦燥感はまったく幼稚なもので、小説家になる以前にくすぶらせていた苛立ちに似ています。題材やアイディアはあるものの、それをどうやって「世界への語りかけ」にしていくかは見当もつかない、という点でも、デビュー以前の五里霧中を再び経験しているようです。活力がなく沈潜しているよりはマシですが、カッカするばかりで自分を持て余し気味です。普段学生に向かっては、手を動かさなければいけないと、偉そうな口をきいているくせに。
そうだ。今思い出したことです。なぜ学生に、小説を書きたかったら手を動かさなければならないと言っているか。手を動かすことで「書くべきこと」があとから現れてくるからです。世界に向かって語るべきことが。あるいはむしろ、手を動かした結果現れた言葉が、僕の「世界に向けた言葉」なのです。それが貧弱な、情けない言葉であっても、それは僕の無才によるのだから仕方がないのです。自分の無才が露呈するのを恐れて何もしないのが、いちばんいけません。
* * *
仲俣さんからこの往復書簡の話を持ちかけられたとき、僕はこの形式での対話が大いに楽しめるだろう、とだけ期待していました。当意即妙な掛け合いを求められることもなく、あらかじめ準備して取りかかる対談でもなく、しかしその時々の目先にある問題や関心事について、お互いが言いたいことを存分に言う、たとえそれが多少噛み合わなくても、おのおのが思うことについて――相手に口を挟まれることもなく――言い尽くした、と、その時点で思える程度には書いていく。往復書簡とは面白い形式だと、このやり取りの中で実感できたのだけでも収穫でした。
時事に即した文章を書き慣れない僕にとって、これを「破船房」で一冊にしていただけるというのは望外のことです。大きな商業出版社にできることではないというところも、非常に興味深いです。『その後の仁義なき失われた「文学」を求めて』は、内容も刺激的でしたが、造本も良かった。ああいう簡素でこざっぱりした感じの本づくりは、これからの文芸出版にあらたな道を拓くかもしれない。「破船房」にとどまらない、出版全体の大きな流れが始まるのかもしれない。そんな予感もまた僕を青臭く奮い立たせます。
2018年からこんにちまで、ありがとうございました。しかし私たちの対話は終わらないでしょう。モーリス・ブランショじゃないけれど、誰と誰の対話も、いかなる対話も終わることはないのです。それが偉大な死者たちに対して私たち生者の持つ数少ないスペリオリティのひとつであり、生者にあるのは過去でも現在もなく、未来だけだからです。
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「阿呆理詰日記7651」 アフォリズム日記
マゾヒズムを甘く見ないように。宿泊でも休憩でも、きちんと割り勘にしていますか? 彼氏が全額払っているとか? ならば二人でなく彼氏だけの希望が通ったって意味。あなたは被支配的立場って意味。そう、レイプされる立場。レイプ被害の自覚がないなら、あなたは立派なマゾヒスト。性的尊厳蹂躙に安住するパーソナリティ障害です。・・・こんな概念的真実はっきり言わせるんじゃねえよ。まったく。
投稿者: φ
2022/7/30
「阿呆理詰日記7650」 アフォリズム日記
① DV状態に心地よく安住するDV被害者がいるだと? 何てこと言うんだ。弱者の精一杯の適応行動であることがわからないのか。マゾヒスティック人格障害なんてものが実在してたまるかよ!(くたばれ多様性!)
② ソープやデリヘルに好き好んで勤める女性がいるだと? 何てこと言うんだ。貧困女性の究極の選択であることがわからないのか。天性のセックスワーカーだのクリスマス前の臨時風俗嬢だの実在してたまるかよ!(くたばれダイバーシティ!)
③ 性別は変えられると願いあまつさえ信じる輩すらいるだと? 何てこと言うんだ。LGBT教の勧誘に乗せられた一時の気の迷いだってことをわかってあげろ。性同一性障害だのトランスジェンダーだの実在してたまるかよ! 全員発達障害とオートガイネフィリアに決まってるだろ!(くたばれインクルージョン!)
心底から自傷行為する奴みんなフィクション。そう言いたげな人々。
投稿者: φ
2022/7/29
「阿呆理詰日記7649」 アフォリズム日記
弱さの責任転嫁。トランスフェミニストはなるほど、支援対象を模倣していたか。フェミニスト自認へトランスした生物学的ミソジニスト。なるほど。
投稿者: φ
2022/7/28
「阿呆理詰日記7648」 アフォリズム日記
自らの傷つきやすさを、代弁対象の傷つきやすさにすり替えるほど、臆病な搾取はない。
「当事者に不安を与えるので議論はしません」
当事者〈議論せずむこうに言わせておく方が不安だわ! てか、私らの傷つきやすさ盾にしてあんたらの知的弱さ隠すなや。約束の支援放棄するなや!〉
付け加えていいんですよ。〈そもそもあんたらの煽てに乗って当事者になった私らだぞ!〉
投稿者: φ
せっかく若年段階で…
on 阿呆理詰日記7647
「カミ」なき時代の影向図──「かげ」の論理
田中純 (2021年12月 2日 19:58)
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『UP』12月号に寄稿しました。連載「イメージの記憶」の第66回です。 書誌情報は田中純「「カミ」なき時代の影向図──「かげ」の論理」、『UP』590号(2021年12月号)、東京大学出版会、2021年、41〜47頁。
2021年12月
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「カミ」なき時代の影向図──「かげ」の論理
2021年12月 (1)
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2020-11-04
マシュー・レイノルズ『翻訳 訳すことのストラテジー』(白水社)
レビュー合戦2020
Theme 5 未知とのコミュニケーション www.kinokuniya.co.jp 「ブラック・ライヴズ・マター(Black lives matter)」の訳をめぐり「黒人の命も大事」なのか「黒人の命は大事」なのか、議論があった。保守派のいう「すべての命が大事」とセットになるのはどち…
マシュー・レイノルズ『翻訳 訳すことのストラテジー』(白水社)
2020-11-04
木村大治『見知らぬものと出会う』(東京大学出版会)
レビュー合戦2020
Theme 5 未知とのコミュニケーション www.kinokuniya.co.jp 正直なことをいえば、SFというジャンルがすこし苦手です。世界観の設定でさまざまな疑問が湧いてきて、作品に入り込むことができないことが原因ですが、その最たるものが、人知をはるかに超えた地…
木村大治『見知らぬものと出会う』(東京大学出版会)
2020-11-04
マージョリー・シェファー『胡椒 暴虐の世界史』(白水社)
レビュー合戦2020
Theme 3 一粒から拡がる世界の歴史 www.kinokuniya.co.jp 対する『反穀物の人類史』が、古代の農業革命に直面した狩猟採集民は穀物の軛から何とかして逃れようとした、というお話なら、こちらは、時は大航海時代、欲にかられた貿易商人たちがピリッと辛い黒…
マージョリー・シェファー『胡椒 暴虐の世界史』(白水社)
2020-11-04
ジェームズ・C・スコット『反穀物の人類史』(みすず書房)
レビュー合戦2020
Theme 3 一粒から拡がる世界の歴史 www.kinokuniya.co.jp 本書のタイトルを目にして連想したのは、『サピエンス全史』にあった、本来人間は穀物食をするようにできてはいないという話だった。実際、本書で出会う数々の驚きのなかに、なぜ多くの地域で穀物が…
ジェームズ・C・スコット『反穀物の人類史』(みすず書房)
2020-11-04
宇野重規『未来をはじめる』(東京大学出版会)
レビュー合戦2020
Theme 1 他者とともに生きる www.kinokuniya.co.jp 「誰でも、何でもいうことができる。だから、何をいいうるか、ではない。何をいいえないか、だ」。本書を読んで、この長田弘さんの詩を思い出しました(「魂は」『一日の終わりの詩集』みすず書房)。正直…
宇野重規『未来をはじめる』(東京大学出版会)
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アジャイルの対義語はウォーターフォールではなく未来予知だと思っている
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カメラが欲しい、レンズが欲しい、あれもこれも欲しい
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書き残そう、あなたの人生の物語
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2012-07-09
■[MaxPlanck]新生活スタート近づく
マックスプランクでの仕事も正式にスタートし、引越しの準備などであたふたした感じだ。今のところノースカロライナとフロリダでいったりきたりしている。そして、最近研究所の新しい建物もついにオープンし、いよいよ新しい環境への準備も整ってきた。ガラスを多様した、とっても美しいキャンパスだ。まだラボは工事中だけど、こんなところで仕事ができるかと思うと、すごいわくわくする。
マックスプランクのフロリダキャンパスは、アメリカの研究所であるため、ドイツのマックスプランクと違うところも多い。たとえば、資金集めは、研究所自信がやる必要がある。ドイツにあるマックスプランクのように、ドイツの税金で運営できるわけではない。最初の200億円の資金はフロリダ州とパームビーチ郡の両方から出ているが、これが尽きるまでになんとか継続して研究所を運営するための資金を集める必要がある。ディレクターでもグラントをとってこないといけないし、寄付金を集めるシステムも作らなければならない。今のところ、マックスプランクフロリダファウンデーションという独立の機関が寄付金集めを担当しているが、このシステムが最適なのかもまだわからない。ドイツの本部のほうでは、成功に懐疑的な見方もあるようだが、逆に成功させれば研究所の評価も上がるだろう、と他のキャンパスのディレクターからいわれた。
今のところもう一人のディレクターのデイビッドが主にマネージメントをやっている。予定ではもう一人ディレクターをリクルートし、数年交代でマネージメントを交代することになる。基本的には研究者が運営するところが、大学と違うところで、そのために研究中心の運営ができるものの、経営のプロではないから間違いも生じる。それでも研究費あたりの研究成果はトップクラスらしいので、利点のほうが上回るのだろう。まあ、どうなるかわからないけれど、楽しく研究をするのみだ。
コメント
Ken 2012/07/20 21:20 お久しぶりです。いやー素晴らしい活躍ですね本当に。こんな人もいるんだなぁって見ています。これからも楽しくパワフルに頑張って下さいね。
ryasuda 2012/07/24 04:05 Kenさん、そちらのほうは、いかがですか?こちらはまたラボセットアップからですが、きっと数ヶ月はかかるんだろうなあ。
ziel 2012/10/31 01:08 こんにちは!いきなりすみません。20歳の大学生zielと申します。
ryouheiさんはマックスプランクで働いていらっしゃるのですね、うらやましいです
僕は、マックスプランクで働くことが目標なのですが、ryouheiさんはどのような経緯でマックスプランクで働かれることになったのでしょうか、お教え願えませんか?
トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/ryasuda/20120709
2012-03-18
■[MaxPlanck]マックスプランク研究所のシステム
マックスプランク研究所は、ドイツを中心にヨーロッパに80個ほどある。1つ1つの研究所は比較的小さくて、PIがだいたい10−20人くらい。そのうちディレクターは2−4人くらいで、あとの十数人がグループリーダーとなる。どちらもマックスプランク全体で決定されるので、フロリダのマックスプランクでもインタビューはドイツだったりする。
ディレクターは終身のポジションでグラントがなくても十分に研究できるだけの予算が毎年つく(ドイツでは、ディレクターには認められていないグラントがかなりあるそう)。審査は5年おきにあり、それにより予算が変わっていく。実際オファーの内容は、大学では考えられないような素晴らしいものだったし、このような機会がめぐっくることはそうそうはないだろう。移動は家族にも大きな負担がかかるので迷ったが、最後はアクセプトすることにした。セレクションのプロセスにはなが〜い時間がかかり、コミッティーによる審査をへて最終的にはディレクター全員の投票となる。コミッティーによる審査のさいにはいろいろあったようだが、最終の投票では、ほぼ満場一致で決定になった、と聞いた。審査は、私には見えないので、いったい何がどんな風に行われたかわからないが、声をかけてもらってから1年以上かかっていた。
グループリーダーは5年後に1回更新し、そのあと2年+2年の2回の更新を経て合計9年までいられる。そのかわりR012つ分程度のかなりの研究予算が毎年つく。9年間で成果を出すには十分な予算であるからして、大きな論文を数報書き上げれば、その後グラントをいくつかとり、どこにでもいける、というのが基本的なキャリアプランか。プレッシャーが高いのもたしかだが、研究所からの潤沢な資金を利用して9年間で成功までの道筋をつけてしまうのも1つのプランだろう。大学でもスタートしたラボを軌道に乗せるのは大変なことだ。しかし、大学のテニュアトラックと競合するので、人材確保は簡単ではないかもしれない。今回はMPFIがオファーをだした二人ともポジションをアクセプトする、という快挙で、しかもそのうち一人は日本人PI!
ということで、ジュピターの日本人人口は一挙に増えると思われる。
コメント
kkita 2012/03/20 00:02 益々のご活躍を!ところで、その日本人PIであるTH氏は、僕の大学の同級生(と思う。全然連絡取ってないので自信ない)。もしそうだったら、よろしくお伝え下さい。それから、東大とMPIは学術協定を結んでいて、昨年から5年間毎年合同シンポジウムをやることになってるので、また会えるかもしれませんね。去年は東大でやったので、今年はドイツ。
ryasuda 2012/03/20 11:24 ああ、そういえばTHさんもKkitaさんの同級生といっていました!合同シンポジウムであえたらぜひ飲みましょう!!
T and Aico 2012/03/29 17:44 お久しぶりです。シャンパン用意してお待ちしています!
ryasuda 2012/04/04 05:50 おかげさまで、とっても楽しかったです!
トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/ryasuda/20120318
2012-03-12
■[Carrer]正式発表と、ラボ旅行
マックスプランクフロリダ研究所(MPFI)に、シンポジウムのスピーカーとして参加し、そのさいに私のディレクターとしての就任が正式にアナウンスされた。マックスプランク研究所はドイツの研究所で全部で80個ほどある。ノーベル賞科学者を17人輩出した世界最高の研究機関の1つ。フロリダ、ジュピターにできるMPFIは、アメリカ初のマックスプランク研究所ということになる。ディレクターにはかなりの研究予算が毎年つき、終身のポジション。ということで、これよりいい条件はなかなかないと思われる。H研との間で、かなり悩んだけど、結局ここにおちついた。
MPFIのディレクターは、これでノーベル賞のザックマン、もとDukeのフィッツパトリックと私の3人になり、基本的には合議制で方針を決めることになる。小さい研究所を科学者によって運営するのがマックスプランク研究所の特徴で、世界最高の研究機関にしている1つの理由でもある。アドミンが管理する大学とちがい、研究者が研究所の方向を決めるわけだ。これから新しい仲間と研究をするのは本当に楽しみだ。
今回の旅行では、ラボ全員とその家族をジュピターに招待した。もちろん旅費、宿泊費、食費などはすべて研究所もちである。周辺の状況を知ってもらうために、研究所の人たちと交流の時間、不動産やさんによるツアーなどをいれ、またフリータイムも設けて海辺の美しい町を楽しんでもらうことにした。ラボリトリートの豪華版みたいな感じか。ラボのみんな気に入ってMPFIにきてくれるとよいが。。。ラボを移るのが数々の理由で難しい人もいるが、最大限のサポートをするつもりである。
シンポジウムでは、アナウンスのあとに、スライド入りで前回に書いたFortune cookieの話をして、これが決め手でした、と話したら、大うけだった。今回私をリクルートしてきたフィッツパトリックも、「偶然だと思うだろ?これを仕込むのにMPFIがいくらかけたか知っているか?」などと返していた。
(写真は、MPFIへの直接リンク)
コメント
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2012-01-28
■[Career]これが決めてだったりして。。。
まだ、行き先に迷っていたころ、近くのお気に入りの中華料理屋で、フォーチュン・クッキー(おみくじの入ったクッキー)をもらったので、クッキーをあけてみると。。。(写真)。
”You are heading for a land of sunshine.”
そうか、次の行き先はSunshine state(フロリダのニックネーム)なのか〜。と思ったのだった。結局、結果的にそうなりそうという。。。そういう気がしたのでまだこのおみくじは、とってある。フォーチュン・クッキーにかいてあることなんて、たいていはどうでもいいことなんだけどなあ。結局のところ、人生の分岐点において、そのうちのどういう判断がよかったかなどということは、だれにもわからないわけで、ひいてみる気もなかったおみくじに勝手に判断されてしまったら、も
Not Found
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2017/1/4(水)
年末(時には年始)に『みすず』の『読書アンケート』の原稿を書くのが恒例になっている。その年のあいだに読んだ本(別に新刊でなくてもよい)についてのおおよそ 800 字程度の紹介・感想を書く。それが書店に並ぶ『みすず』の 1, 2 月号に数多くの「文化人」の寄稿とともに掲載されるのだ。
で、今年も書いたわけだが、もっとも書きたい二つの作品について書いたところ、期せずして去年の寄稿の「つづき」的な文章になった。
というわけで、今年のをお読みいただく前に去年のをざっと読んでいただければと思う(去年の 1/27 の日記にも掲載したけど)。800 字程度という縛りのなかで、個人の体験をベースにしたインターネットの変遷論に埋め込んで二つの本を紹介するという無茶な試みでした。
「みすず」読書アンケート
2015 年に読んだ本(新、旧を問わない)から五冊以内について感想を述べよ。
(1) 岸政彦『断片的なものの社会学』(朝日出版社)
(2) おかざき真里『阿・吽 1〜3巻』(小学館)
ぼくにとって90年代初頭のインターネットは「掲示板の時代」だった。個性の強い主催者がそれぞれのスタイルの掲示板を運営し常連の論客が適度に開いた環境で多彩な議論を交わした。ぼく自身も東北大数学科の黒木玄さんの掲示板に出入りし多くを学び多くを語った。今も親交のある評論家・翻訳家(が副業)の山形浩生さんや文筆家・翻訳家のニキリンコさんと出会ったのもこの掲示板だ。
その頃よく見ていた掲示板の一つに面白い奴がいた。社会学の大学院生。短い(多くの場合くだらない)投稿が強い印象を与える。興味をもって彼の個人ページの文章を読んだ。内容はほとんど覚えていないが圧倒的な筆力から受けた驚きは忘れない。こんなすごい文章を書く奴がいるんだ。でも、これを読むのは一部の掲示板の常連だけだろう。天才的な文才の無駄使い・・
(1)は社会学者の岸政彦が聞き取りの現場で出会った断片的な物語を綴った書、「面白い奴」の近著だ。空き時間を紡ぐようにして一気に読んだ。「すぐ目の前に来たときに気付いたのだが、その老人は全裸だった。手に小さな風呂桶を持っていた。」うん。確かに彼の文章だ。小説のなかの本筋とは関係ないが書き込まれていて心に残る挿話だけを読むような快感。「解釈はしない」と宣言しながらも時には普遍化に流れる岸さんを見るのも一興だ。そしてなにより本書が話題の書となり彼の文章が広く読まれていることが素直にうれしい。
(2)は人気漫画家おかざき真里の連載中の作品。最澄と空海の物語である。未完の作品について語るのはフライングだろうが、漫画でこそ可能な表現で重厚な物語が綴られていく様は圧巻。絵も漫画というレベルを超えて美しく力強い。漫画から離れた大人にも自信を持って薦められる作品だ。
2016 年の今、ぼくにとって多くの人とネットで交流する場はツイッターに移っている。ツイッターでのぼくのアイコンは、なんと縁あって真里さんが描いてくれたぼくの似顔絵だ。巨大で流動的な人々の結びつきの中に140 字以内の短い投稿が次々と放流されていく環境には未だ馴染みきれないが、この混沌からどんな文化や出会いが生まれるか楽しみでもある。
さて、こうしてツイッターに話が移ったところで、一年後、今年の寄稿。
「みすず」読書アンケート
2016 年に読んだ本(新、旧を問わない)から五冊以内について感想を述べよ。
(1) 柞刈 湯葉『横浜駅 SF』(カドカワ BOOKS)
(2) 岸 政彦『ビニール傘』(『新潮』2016 年 9 月号)
横浜駅は「完成しない」のではなく「絶え間ない生成と分解を続ける定常状態こそが横浜駅の完成形であり、つまり横浜駅はひとつの生命体である」と何度言ったら
ツイッターは3億人以上が利用するインターネットのサービスだ。日々数億のツイート(百四十字以内のテクスト)が投稿される文字情報の混沌である。
ツイッターで「イスカリオテの湯葉」と名乗る生物学者と知り合った。軽い会話を交わす仲だが本名は知らない。冒頭は一昨年の正月の午後の彼のツイート。そして、十分後のツイートが続く。
西暦30XX年。度重なる工事の末にとうとう自己複製の能力を獲得した横浜駅はやがて本州を覆い尽くしていた。三浦半島でレジスタンス活動を続ける主人公は、謎の老人から託されたディスクを手に西へ向かう。「横浜駅16777216番出口(長野〜岐阜県境付近)へ行け、そこに全ての答えがある」
「『横浜駅SF』が始まった。ぜひ最後まで!」という(ぼくを含む)周囲の声援の中、その日のうちに一連のツイートからなるアドリブの作品が完成。ネット上で爆発的な話題を呼んだ。それから二年弱の後、web小説を経て本格的なSF小説が単行本(1)として刊行された。
大胆なネタを精緻なディテールで補強し商業的にも成功しうる作品を構成した力量は圧巻。凄まじい才能だ。成立経緯を見ていると後になって書かれた部分ほど彼独自のテーマが顔を出すように感じる。この人は三年後くらいまでにものすごい物を書くと予言しておこう。
(2)はやはりツイッター仲間である社会学者の岸政彦による短編小説。昨年のアンケートで彼の『断片的なものの社会学』を取り上げ「小説のなかの本筋とは関係ないが書き込まれていて心に残る挿話だけを読むような快感」と評したが、こんなにも早く彼の小説が読めるとは。大阪の街で暮らす人々の「断片」を絶妙に編み込んだ不思議で寂しい心に残る小説だ。
この岸さんのデビュー作は高く評価され芥川賞候補にもなっている(とツイッターで知った!)が、数多くの物語の断片を蓄えている岸さんの小説世界はこれからもっと広がり深まっていくはずだ。三年後くらいまでには芥川賞受賞作を生み出すと予言しておこう。
去年の読書アンケートについての日記(2016/1/27 の日記)では
ツイッターの混沌の中で出会った人たちの一人、唯一無比の才能をもったきわめて興味深い人物
として湯葉さんに触れ、『横浜駅 SF』にも言及している。まるで今年の読書アンケートを計画していたみたいな感じだが、あの時点では、まさか『横浜駅 SF』が書籍になるとは夢にも思っていなかったから、やっぱり「期せずして」というのは正しいのだ。
『横浜駅 SF』が生まれるところを(「騒いでいる群衆の先頭にいるおっさん」みたいな立場で)リアルタイムで目撃したことは 2015 年 1 月の日記に詳しく書いてある。ちょうど 2 年後の 1 月 4 日にこうして書籍版の感想文を公にするのもなんとも感慨深い(ま、ほんとはもう 4 日じゃないんだけど、いいでしょ)。
岸さんとぼくの関わりについては去年の 1/27 の日記にかなり詳しく書いた。去年、そういうちょっと不思議な関わりのある人を『読書アンケート』で取り上げるのもまた面白いなと思ったのだが、まさか、今年も続けて取り上げることになるとは。
こちらも、全く予期していなかった --- というか、驚きの展開だ。
上の『みすず』の記事は、湯葉さん、岸さん、それぞれについての大胆な予言で終わっている。これは別にウケをねらって書いたわけじゃない。一人の本好きとして彼らの作品と素直に向き合った結果、心の底からそう思っているのだ。たまたま少しの接点のあったお二人の生み出すものをこれからも静かに追いかけていきたいと思う。
人生、なかなか面白いものです。
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石油・ガス産業が直面するメタン問題
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天然ガス施設の貯蔵タンクやパイプは一見何の迫力もないが、赤外線カメラを通すと火災現場のような様相を呈している。もうもうと立ち込めるのは、大気中に放出されるメタンガスだ。
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「先行デザイン宣言」支持宣言 [13]
ヤバ景(やばい景観) [12]
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写電話記 [2]
地表系 [120]
地表系ローカル:調布 [11]
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東京ナス化計画 [10]
通勤本 [19]
雑記・備忘録 [121]
緑地環境学実習1 2-3
緑地環境学実習1 0-1
結婚のプロトコル
関東学生ランドスケープデザイン作品展・2008
物語の向こうの「ただ好き」へ。
ドボサミ本のおすすめ
批判的牧歌主義
地には時間を。
偏愛のインフラストラクチュア
デッ記/バックヤード
東京ってどこのこと?
緑地環境学実習1 2-3
└ 不良講師 07/13
関東学生ランドスケープデザイン作品展・2008
└ TAKE 05/16
└ 石川初 05/16
└ TAKE 05/17
└ 石川初 05/17
└ TAKE 05/17
物語の向こうの「ただ好き」へ。
└ yusuke 04/22
└ 石川初 04/23
└ 不良講師 04/29
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2009年9月17日
・建築系ラジオ『東京を擦る(こする)』補完ページ
これは、建築系ラジオ r4 現代建築を語る・聞く・読む|全体討議 東京論──新しい地形としての東京4を聴取されて、これ音声だけじゃわけわかんない、と思われた方(ほとんどそうでしょうが)のためのサポート記事です。
上記の公開収録で石川が上映したプレゼンテーションの抜粋と、関連サイト/ページへのリンクがあります。画像が多いため、読み込みに時間がかかるかも知れませんが、ご容赦下さい。
続きを読む ”建築系ラジオ『東京を擦る(こする)』補完ページ”
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2009年9月 5日
・ライト・ストラクチュア:糸魚川編
街の通りのバス停。
これはなかなか、格好いい。
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2009年7月 1日
・緑地環境学実習1 2-3
【第2週】明示的、記号的
■レクチャー
前回のまとめ:意味、機能、物体性
・「どのようであるか」ということ:変化しない形態的特徴を、ここでは「物体性」と呼ぶ。
・物体性とはすなわち、既にそこにある「固有性」にほかならない
特に使える概念
・意味→「何であるか」
・形態→「どのようであるか」
・機能→「どのようであるか」がいかに「何であるか」を支えているか
■宿題の発表とコメント
・意図された事物の記号論的な解釈へのヒント
・「座る」行為と外部環境との関係を手がかりに、「意図された事物(広い意味でのデザイン)」や「意図せざる事物」の意味について考える
・座りうる空間/環境
・対象物について、それが「座りうる」と見なされる特徴(要素、様子)は何か」という言い方で記述すること。
・あるものは一瞥で「座る」とわかる。あるものはわかりにくい。
・ひと目でその意味や機能を認識できる「様子」を、「その意味が明示されている」と言おう。
保存用定義:有意識的・自覚的に対象の意味が伝達されること
・たとえばベンチは、座る施設だということを、自他共に了解している(通じるつもりで設置している)
・形態としての明示:「らしさ」にも通じる。期待される機能と様子が一致。「わかりやすい」。
・明示の効用:意味が明示されていることは私たちにどのように作用するか
・本棚を考えよ。すべてを自分だけで把握することは不可能。
・私たちは、周囲の環境に多くの情報を預けて生きている。
・一方で、環境が「意味」で埋まると、それはそれで息苦しい。
・鉄道施設:意味の海。あらゆる「面」を意味あるメッセージで埋めようとするかのような光景。
→駅の場合、物体的特徴と「意味」の乖離が大きすぎる。(伝達する情報が多量で、物体に翻訳できない)
・しかし、駅のホームのベンチはひと目で「座る施設」に見える(ように作られている)
質問:これが「座りうる」に見えるのはなぜか。
■ワーキング
課題:手元にある、採集した「座りうる」事例に対して、「座る」をより強調する操作を提案してください。
■レクチャー
・座りうるように見せる:共感を得るためには、往々にして、広く共有されている「座る」イメージを引き出す必要がある
・「どのようであるか」よりも、「何であるか」という意味が、より明示されている場合を、記号的に明示されていると呼ぼう。
・記号:何らかの意味を示すもの。文字や図形、特定の形態、・・・
・交通標識:記号の典型。
・交通標識が示す物事と、標識の記号には、必然的な関連がない。
・赤色が「止まれ」を指すという意味は、交通ルールを学習した集団にしか通用しない。
記号:
・記号が示す意味と記号との間には、必然的な関連はない。(←重要)
(「何であるか」と「どのようであるか」の関係を思い出そう)
・記号は、それを認知する集団内でしか通用しない。
→限定された集団内のルールである
・より広く通用する記号にするほど、デザインは没個性的になってゆく
→世界中どこでもひと目でわかる意味・・
・一般的に、記号性を強める(認知を『やさしく』する)ほど、固有性は失われる傾向がある。(ありきたりになる)
・共有されていない記号:はずすと意味不明なグラフィックになる。
・しかし一方で、記号はルールである。あくまでそのルールが通じる集団を前提とする。
・「ルール」は自動的に、そのルールが通用するフィールドを想定する。つまり、ルールはそのルールの範囲(社会)を規定する。
質問:「立ち入り禁止」を、記号的でなく実現するには、どのような物体的様態があるか?
・思わず座ることで「ベンチ性」が発見される:転用の余地があった物体
・記号的なベンチは、作る側によって、あらかじめ「意味」が限定されている。
・より記号的であることには良し悪しがある。
・使う側の心理的負担を軽減する一方で、使い方を限定し、関与の可能性を狭める。
・デザイナーはしばしば、「押し付けがましくない、でもわかりやすい」という落としどころを探る。
・記号性の強い形態は、それがあるということによって、その環境に意味が生まれることがある。
・非・記号的な明示が可能なこともある。(アフォーダンス論)
記号的なデザインが施された施設への、解析/接近のコツ:
・記号の意味を解析する(記号が示すもの、またその記号が用いられるという行為が示すメタ記号性)
・その記号が共有される集団を想定する
・物体的形態へ置き換え可能かという検証
■次週までの宿題の出題
これまでの用語による概念の応用編として、街の「境界」に注目する。
課題:付近で、明示された境界を構成する要素を採集し、その境界で意図されている選択と排除の対象を想定し、その機能を維持したまま、形態をよりフレンドリーにする操作を提案してください。
・A4たて使いのフォーマット。
・現況は写真を貼ってもよいが、提案は内容を説明できるスケッチを示すこと。
・説明のテキストを併記する。
→選択と排除の対象。抽出した機能。提案する操作の具体的内容。
■補遺
参考文献:
ちょっと待ってくれ。
【第3週】セキュリティ:境界と排除
■野暮な注意
・デザインの美しさを評価していない。図は、それはまあ上手なほうが心は動かされはするが、それはあくまでも、内容の説明を明確にするための媒体である。
・オリジナリティ(たかだかクラスの中での他の人との違い)を評価していない。誰かと同じ対象でも全く構わないし、うまく言えている説明や描き方は素早く真似をすべき。
・明晰に、論理的な説明ができること。冴えたアイデアだけでは評価しない。
・疑問は共有しよう。時間内に質問してくれると有難い。
■レクチャー
・境界:街の風景をつくる最も大きな要因のひとつ。
・地図:線と面で描かれている。特に線である。面の表現も、輪郭を線で描くことで表している。
・地理的に表現された社会のルールが記載されているのが地図。
・地図上で最も重要な要素として記載されているのは「境界」である。地図の大部分は、土地の「利用/所有区分」が描かれている。
問い:地図には何が描かれているか。それはどのように(何をもって)描かれているか
・地図:平面に配置表現された、社会のルールが記載された図。
・運用上、地図に記されたような、「取り決め」や「ルール」を可視化し、物体的に作用するものにしておくことが有効である。
・こうした、制度や概念を、実空間のモノで作り直すことを「施設化」と言おう。
施設化された境界に課された機能:
・「選択」と「排除」の行使。
・これらをここでは「セキュリティ」と呼ぼう。
問い:写真による事例。何に対して、どのようなセキュリティが作動しているか?
・物体的?何に対してどのように作用するか?
・記号的?誰にどのように何を発信するか?
■宿題の発表とコメント
・発表者の名前
・どこで発見した物件か
・どのような境界が明示されているか
・その境界で実行される選択と排除
ところで、これはモニタリングポストやリアルタイム線量測定システムの横に立っている場合の話で、実のところモニタリングポストの横にずっと立っている人などいない。一日の生活といっても、家の中にいたり道路を歩いたり外で作業をしたりビルの中で仕事をしたりといろいろな場所にいるのだから、その場所その場所の放射線を受ける。積算線量計を身につけて測定できる本当の被曝量は、そういうさまざまな場所で受けた放射線による被曝を集計したものだ。だから、モニタリングポストの数字に時間を掛けても本当の被曝量にはならない。現在のやりかたでは、モニタリングポストの横に1日8時間滞在していて、残りの16時間は外よりも少し放射線の弱い家の中にいるものとして、1日の被曝量を計算している。そういう人にとっては本当に被曝量に近いだろうけど、そうでない生活パターンの人にとっては被曝量はずいぶんと違ってしまう
空間線量から被曝量を見積もるときの最大の問題がここで、中西準子さんは空間線量から出した被曝量は、(たいていの人にとって、という意味だと思うけれども)本当の被曝量の2倍以上大きいはずだと言っておられるし、前に紹介したテレビユー福島社員の例では3から4倍くらい大きく出ているようだ。本当の被曝量が知りたければ、やはりできるだけ実際の生活に即した測定をしたほうがいいわけだ。
学校は放射線をよく遮蔽するので、学校の中に長くいる子どもの被曝量は少ないと言われている。もちろん空間線量が自然放射線量に近づくに連れてこの差は小さくなっていく。自然放射線程度の放射線量では、室内のほうが放射線が強いということもありうる(建材から出る)
長くいる場所の放射線をサーベイメーターで測って、ここに何時間いるから何μSv、ここに何時間いるから何μSvと実際の生活パターンに応じて空間線量を足していけば、現実の被曝量に近い数字が計算できるはずだ。ただし、サーベイメーターなので、本当の被曝量よりも何割か大きな数字になるに違いない。この機会に、自分の生活パターンはどういうものなのか考えてみるのもいいと思う
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農林水産研究情報総合センター/Agriculture, Forestry and Fisheries Research Information Technology Center
14/09/2012
そうだ、フィレンツェへ行こう、と思ったので行ってくる。またね。
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2012.9.14
septembre 2012
おしらせ
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お手数おかけしますが、よろしくお願いいたします。
丹地陽子
20100414 | MEMO
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