▽虚虚実実――ウルトラバイバル ●07/06 06:22 2025-05-26松久家の兄弟(2)兄の最愛の恋人を盗んだ弟三世代遊び場図鑑(〓荻原礼子)松久義也は、自分がフランスの文豪:Anatole Franceの生まれ変わりではないかと思ったことがしばしばある。アナトールは生まれてこの方、「ウソをついたことがなく、ましてや人のモノを盗むことなど、したことがなかった。」だけど、さすがに世の中で生きていくには、折れ合わねばならない。大人たちに、「悪いことをしたことを、懺悔しなさい」と言われ続けたアナトール、しかたなくだが、解決策を見出した:「そうか、悪いことをすれば良いんだ。」これで目出度く、アナトールは人間社会で生きていく資格を手に入れた。松久義也にも、本人が善意で行ったことを悪事と決めつけられたことが何度もあり、生きていくためには悪事も行わなければならないことを学習した。だから、大学2年目でフランス語を始めた義也は、Anatole Fra
▽本の覚書 ●07/04 11:43 2025-07-02【プルタルコス】普通の人間になる【徳の進歩】Plutarch: Moralia, Volume I (The Education of Children. How the Young Man Should Study Poetry. On Listening to Lectures. How to Tell a Flatterer from a ... in Virtue) (Loeb Classical Library No. 197)作者:PlutarchHarvard University PressAmazonモラリア 1 (西洋古典叢書 G 58)作者:プルタルコス京都大学学術出版会Amazonεἰ〓 δὲ το〓του〓 ἔοικε καὶ τὸ Μενεδ〓μῳ πεπαιγμ〓νον καλῶ〓 λ〓γεσθαι: καταπλεῖν
▽西東京日記 IN はてな ●06/26 22:29 2025-06-24A・J・ライアン『レッドリバー・セブン:ワン・ミッション』前回紹介した『バベル』と同じく古沢嘉通が訳しているSFですが、同じSFでもその趣きはずいぶん違います。『バベル』が歴史改変小説で舞台もアジアからイギリスまでの地理的に広い範囲でしたが、本書『レッドリバー・セブン:ワン・ミッション』は、途中まではそれほど大きくないボートの中で話が展開します。主人公は発砲音と悲鳴で目を覚ましますが、自分の記憶を失っており、名前などもわからない状況です。腕には「ハクスリー」とのタトゥーがあり、頭を触ると手術されたような跡があります。そして、主人公の聞いた発砲音で死んだと思われる男には「コンラッド」とのタトゥーがありました。その後、ボートにはリース、ゴールディング、プラス、ディキンソン、ピンチョンという5名の男女がいることが判明しますが、いずれも記憶を失っており、頭には手術さ