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吐息の日々~労働日誌~
●04/05 03:48
2025-04-04日本労働研究雑誌4月号(独)労働政策研究・研修機構様から、『日本労働研究雑誌』4月号(通巻777号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。日本労働研究雑誌 2025年 04 月号 [雑誌]労働政策研究・研修機構例年4月号はショートエッセイの特集ですが、今年は「その裏にある歴史」として、わが国労使関係や労働市場の現状がどのような経緯で成立してきたのか、15のトピックについて専門家が解説しています。法学/経済学/労使関係/経営学/社会学・心理学・教育学の5分野にそれぞれ3本を割り当てる編集は、日本労働研究雑誌の学際ぶりを際立たせているといえましょう。歴史観の中で仕事をするというのは大切なことなので、ある程度アドバンスした仕事に取り組む人事担当者には一読をお勧めしたいところです。個人的には「なぜ初任給はほぼ横並びなのか」が、「かつて、隠れベアが批判されていた時代においては、ほぼ唯一比較可能な学歴別ポイント賃金として広く公開される初任給に大きな差があることを企業実務が好まなかったから」という私たちの常識とは距離を置いた分析を展開していて興味深いものがありました。それにしても、自分自身が従事してきた仕事のあれやこれやがもはや「歴史」として語られるようになったのだなあと、かなり感慨深いもののある特集でもありました。歳をとったわけだ。roumuya 2025-04-04 16:22 読者になる

明るい!?国家公務員のページ
●04/04 03:35
<4月1日>○メディアから一言少し古くなりましたが、よみうりテレビによると「兵庫県の斎藤知事は26日、職員へのパワハラ行為などを認定した第三者委員会の報告書に対して、「指摘は真摯に受け止めたい。不快な思いをして負担に思われた職員に対しては改めてお詫びと謝罪を申し上げたい」と謝罪しました。一方で、告発者捜しを行った県の対応について「違法」とした判断については、「第三者委員会の指摘は尊重したいが、法律の専門家によって見解は分かれている」と述べ、告発文書は「誹謗中傷性の高い文書という認識に変わりはない」とし、県の初動の対応は「やむをえない適切な判断」と改めて強調。」したとか。自分がお願いした第三者委員会で「違法」とされたにも関わらず、「法律の専門家によって見解が分かれている」とか第三者委員会の指摘を無視するって、頭がおかしい人です。自分の意に沿う結果でないと認めないというのなら、斎藤知事はどこの国の皇帝ですか?という話です。選挙に勝てば違法行為でも許されるというのは、兵庫県しか通用しない理屈です。日本は法治国家です。○一言フジの第三者委員会の報告書、これを読むほど関心も時間もないのですが、報道を見るだけで酷いな・・と思います。中居氏の手口って、あまりにも手慣れていて、他にもたくさん被害者いるんじゃないの?と思います。なんかSMAP解散からずっとキムタクが悪人で中居氏が守ろうとした善人であるかのような記事ばっかりでしたが、これも中居氏へのメディア全体の忖度だったのでしょうか?メディアがフジばかり攻撃して、中居氏を取材しないのはちょっと理解出来ません。諸悪の根源は中居氏でしょう。なぜ中居氏が逃げ切れるのか・・。○一言2もちろんフジの中間管理職も酷いですね。特に編成部長は社員より中居氏につくとか頭がおかしいのではないかと思います。これは厳しく追及してもらいたいですね。なにより、佐々木アナと思われる色々批判されていた女性管理職は本当にお気の毒。自死の危険があって入院した被害者に対し、なんで産業医ではなく一管理職が矢面に立って対応しなければならないのか。私自身、メンタルの病気で入院されていた方が職場復帰の訓練のために勤務されていた部署で一緒に仕事しましたが、本当に大変でした。いろいろな症状はあろうかと思いますが、その方のメンタルを1日平静に保つことに大変気を遣い毎日メンタル的に疲れたのを思い出します。同僚がいたから何とかなりましたが、これを1人で対応し、時にはつらいことを伝えなければいけないとか、心労は大変なものだったと思います。その後、あたかも上層部の手先で被害者を粗末に扱った等の記事も見受けられましたし。誹謗中傷もあったようで、この佐々木アナと思われる女性管理職の支援も必要なのではないかと思います。もちろんおかしな事を書いていたメディアは検証し、謝罪する必要があると思います(どうせやらないのは分かってますが)いずれにしても、上層部の問題ばかりずっと言われてきましたが、一番の問題は部長クラスではないかと思います。メディアは徹底的に取材し、彼らを糾弾して欲しいですね。

EU労働法政策雑記帳
●04/03 15:48
2025年4月 2日 (水)川口美貴『労働法〔第9版〕』川口美貴『労働法〔第9版〕』(信山社)をお送りいただきました。https://www.shinzansha.co.jp/book/b10133435.html毎年改訂の最新2025年版。要件と効果、証明責任を明確化。新たな法改正・施行と、最新判例・裁判例や立法動向(2025年2月分まで)、学説の展開状況に対応。長年の講義と研究活動の蓄積を凝縮し、講義のための体系的基本書として、広く深い視野から丁寧な講義を試みる。全体を見通すことができる細目次を配し、学習はもとより実務にも役立つ労働法のスタンダードテキスト第9版。昨年の今頃も言いましたが、まさに完全に年鑑と化している川口労働法です。そして、川口さんと言えばその独自の労働者概念で有名ですが、その膨大な労働者概念に関する記述の中に、職業安定法上の労働者概念はやはり出てきません。というか、この1100ページに及ぶ大冊の中に、労働市場法制は全く出てこないのです。そこは見事に割り切っているようです。ただ、その結果、膨大な判例の中でおそらく唯一川口さんの労働者概念とほぼ同一の徹底した経済的従属性基準を貫いている昭和29年の最高裁の判例(「[職安法]5条にいわゆる雇用関係とは、必ずしも厳格に民法623条の意義に解すべきものではなく、広く社会通念上被用者が有形無形の経済的利益を得て一定の条件の下に使用者に対し肉体的、精神的労務を供給する関係にあれば足りるものと解するを相当とする」 )が、本書に収められている膨大な判例の中に顔を出さないという大変皮肉な事態になっています。

公務員のためいき
●04/01 11:07
2025年3月29日 (土)『機械仕掛けの太陽』からコロナ禍を回顧NHKの朝ドラ『おむすび』が終わりました。これまでの朝ドラの中で歴代ワーストの平均視聴率だったようです。評判を耳にした前作『虎に翼』が始まった直後の週末、初回から5回分をまとめて視聴するため、その時に初めてNHKプラスを利用登録しています。それからもNHKプラスであれば、帰宅後に15分弱の時間で見られる手軽さから最終回まで見届けていました。そのような平日夜の習慣ができ上がっていたため『おむすび』も毎回欠かさず見ていました。突飛なストーリー展開に一部から不評を買っていましたが、肩肘張らず楽しめるドラマだったのではないでしょうか。『おむすび』の最終盤では新型コロナウイルスが蔓延し、街頭から人影が消えた風景をはじめ、医療従事者の苦難が描かれていました。コロナ禍で非日常の生活を強いられた時期を思い出しながら、少し前に読み終えていた『機械仕掛けの太陽』でも綴られていた医療現場での苦闘が重なり合っていました。現役医師として新型コロナを目の当たりにしてきた人気作家が満を持して描く、コロナ禍の医療現場のリアル。2020年初頭、マスクをして生活することを誰も想像できなかった――これは未知のウイルスとの戦いに巻き込まれ、〝戦場〟に身を投じた3人の物語。大学病院の勤務医で、呼吸器内科を専門とする椎名梓。彼女はシングルマザーとして、幼児を育てながら、高齢の母と同居していた。コロナ病棟の担当者として、最前線に立つことになる。同じ病院の救急部に勤務する20代の女性看護師・硲瑠璃子は、結婚目前の彼氏と同棲中。独身であるがゆえに、コロナ病棟での勤務を命じられる。そして、70代の開業医・長峰邦昭。町医者として、地元に密着した医療を提供し、息子にはそろそろ引退を考えるように勧められている。しかし、コロナ禍で思い掛けず、高齢で持病もある自身の感染を恐れながらも、現場に立つことを決意する。あのとき医療の現場では何が起こっていたのか? 3人はそれぞれの立場に苦悩しながら、どのようにコロナ禍を生き抜くのか。全人類が経験したあの未曾有の災厄の果てに見いだされる希望とは。自らも現役医師として現場に立ち続けたからこそ描き出せた感動の人間ドラマ。上記はリンク先に掲げられている『機械仕掛けの太陽』の紹介文です。2019年秋に生まれた新型コロナウイルスを燃え上がった太陽に例えたプロローグから始まり、実際にあったコロナ禍での出来事を時系列に伝えながら、3人の医療従事者の苦しみや奮闘ぶりが描かれた小説です。主人公らは架空の人物だろうと思いますが、 安倍元総理らは実名のまま登場しているため、ノンフィクションの著作に触れた読後感でした。きっと架空の登場人物も実在のモデルが存在し、様々なエピソードも現実に起こっていた事例をそのまま描いているはずです。『おむすび』と重なり合った医療従事者の苦難として、持病のある高齢の母親に感染させないため、自宅に帰らずビジネスホテルから病院に通うというエピソードがその一つです。いつ収束するのか先が見通せない中、幼稚園に通う息子とも離れて暮らさなければならない女医の辛さは『おむすび』の主人公の苦難と重なり合っています。「カズ君のママって、コロナなんだろ。バイ菌がうつるから一緒に遊ばないよ」と幼稚園の友達から言われた話も『おむすび』の中で同じように描かれていました。コロナ診療に当たる医療従事者への差別意識が子どもにも伝わり、いじめとなっていた理不尽な事例は数え切れないほど多かったのだろうと顧みています。社会のために危険を冒している医療従事者、そしてその家族がなぜ差別の対象にされなくてはならないんだろう。守ろうとしている人々から蔑まれるとしたら、私たちはなんのためにこの半年間、『敵』と戦い続けてきたのだろう。上記は『機械仕掛けの太陽』の中に綴られている女医の憤りと嘆きを表わした言葉です。テレビ電話の母親からは「あなたは自慢の娘だよ。私はあなたを誇りに思う」という言葉が投げかけられ、女医は涙で目を潤ませています。安倍元総理の辞任が発表された2020年8月28日、その夜の話でした。このブログでは2020年2月29日に「新型コロナウィルスの感染対策」という記事を投稿し、新型コロナウイルスについて初めて取り上げています。当時は、これほどコロナ禍という長く暗いトンネルが続くことを想像していませんでした。その記事では、安倍元総理が全国の小中高校などを3月2日から春休みまで一斉休校するよう要請したことを受け、学校現場や保護者らが戸惑い、混乱していた報道等を紹介しています。唐突感や違和感が拭えなかった中、『機械仕掛けの太陽』では「新型コロナウイルスは子どもの間では比較的伝播しにくいというデータが出ている。全国で休校を行なうという判断が正しいのか」と女医に語らせています。2020年4月12日には「緊急事態宣言発令」という記事を投稿しています。この記事では、安倍元総理が医学の専門家の意見をあまり聞かず、側近である官邸官僚の声に左右されがちだったことを伝えています。布マスクを全世帯に2枚配布する施策も「国民の不安はパッと消えます」という官邸官僚の発案でした。表明した日が4月1日だったため「エイプリルフールだろ」「信じられないほどの愚策」と酷評されたアベノマスクは、昨年開かれた裁判でも400億円ものムダ遣いが指摘されています。ただ意外なことに『機械仕掛けの太陽』の中では次のように評されていました。不足しているマスクを買い占め、高額で転売していた者たちが値崩れの不安から一気に在庫を吐き出した結果、市場に大量のマスクが出回るようになった。政府がそこまで意図していたかどうかは分からないが、少なくとも医療現場にもマスクが十分に供給されるようになり、これまで3日ほど使いまわしていたサージカルマスクを毎日交換することができるようになっていた。少なくとも、医療現場からは『アベノマスク』に対して感謝の声が上がっている。ノンフィクションに近い小説ですので、実際そのように評価されていたのだろうと改めて理解しています。ちなみに『政府備蓄米41銘柄、10日に入札実施  3月下旬にも店頭へ』という最近の報道にある備蓄米の放出も、アベノマスクの時と同じような効果が発揮されていくことを願っています。2020年11月22日、病棟の騒がしさが描かれています。一般病室まで人工呼吸管理の患者を診察せざるを得なくなっていました。10月後半から全国で感染拡大傾向となり、毎日2千人を超える新規感染者が確認される第三波に突入していました。その大きな切っかけは10月1日から始まった「GoToトラベル」だったと多くの専門家が考えていました。安倍元総理の後を継いだ菅元総理は強い批判を受け、11月21日に一時停止及び運用見直しを発表しましたが、医療現場から「あまりにも遅すぎる対応だった」という批判が続出していました。2020年12月20日の記事「迷走するGoTo」の中で、当時の私自身の問題意識を次のように記しています。菅総理の「アクセルとブレーキを踏みながらやっている」という言葉は矛盾したもので、国民に誤解や混乱を与えがちな考え方だと言わざるを得ません。パンデミックの終息が宣言されるまでGoToという「アクセル」は時期尚早だったものと思っています。ロックダウンや緊急事態宣言は避けながら「新たな日常」のもとに経済を静かに回す、このような発想が必要だったように考えています。例えれば「エンジンブレーキ」です。アクセルは踏まず、車を止めないけれども、ゆっくり走行していくという発想が望ましかったのではないでしょうか。2021年を迎え、新型コロナワクチン接種の具体的な日程が見えてきた頃、週刊誌やウェブメディアによってワクチンの不安を煽る記事が目立つようになっていました。そのことを憂慮した主人公たちの会話が小説の中で描かれています。その後もワクチンを巡る騒動が描かれていますが、作者である知念実希人さんの「コロナ禍を終わらせるためにワクチン接種が不可欠」という強い思いを感じ取っていました。このブログでは2021年6月6日に「もう少し新型コロナについて」という記事を通し、ワクチン接種に対して様々な考え方があることを伝えていました。私自身は接種する意義を理解し、5回目まで指定期限内に対応してきています。小説の最後の日付は、エピローグとされた2022年6月6日です。主人公の一人、女医が人気のないコロナ病棟の廊下を歩いています。先週、治療を受けていた患者が退院し、稼働から2年3か月、初めて病棟から患者がいなくなっていました。ただオミクロン株や亜型の変異ウイルスに対する警戒感を緩めていません。「機械仕掛けの太陽は、これからも人間社会の中で燃え上がり続ける。けれど、いつかは人間の科学力が、ウイルスを駆逐できるはず」と信じている主人公の思いを伝え、小説は結ばれています。この小説を読み終え、コロナ禍の出口をめざし、奮闘されてきた関係者の皆さんに改めて感謝したい気持ちを高めています。最後に、前回記事は「出口の見えない兵庫県政の混乱」でしたが、斎藤知事の第三者委員会の報告を「重く受けとめる」という表面的な言葉の軽さに物凄い残念さを強めています。加えて、何が何でも斎藤知事を熱狂的に応援される方々の数多さに驚き、たいへんな悩ましさを感じています。また機会を見て取り上げるべき問題だろうと思っています。

極東ブログ
●03/03 12:37
2025.03.03欧州からの米軍撤退の可能性ドナルド・トランプが再びアメリカ合衆国の大統領に就任して以来、特に、2月28日のトランプ米大統領とゼレンスキー宇大統領の口論による関係の齟齬の後、欧州指導者たちは神経を尖らせている。Fox Newsが3月2日に報じたように(参照)、バイデン政権下でロシアのウクライナ侵攻(2022年)に対応して増派された約2万人の米軍が撤退する可能性が浮上し、NATOの安全保障体制がかつてない試練に直面している。現在の米軍駐留数は、Center for Strategic and International Studies(CSIS)のデータによれば7.5万~10.5万人と変動しており、この2万人の撤退は全体の20%近くを占める規模である。欧州の指導者たちは、トランプの「米国第一主義」やロシアへの友好的な姿勢を警戒し、彼が予測不能な形で軍事プレゼンスを縮小するのではないかと恐れている。この問題は単なるトランプ個人の気まぐれや政治的レトリックに留まるものではない。米国の戦略的優先順位がインド太平洋、とりわけ中国対抗へと移行する中で、欧州の防衛依存が見直されつつあるからだ。さらに、トランプがウクライナ戦争を巡って、プーチン露大統領と一定の合意を結べば、欧州からの米軍撤退のハードルはさらに下がる。と同時に、ロシアに隣接する東欧諸国では不安が急上昇するだろうし、その反動としてNATOの結束と欧州の軍事的な自立が喫緊の課題として浮上する。米軍の欧州撤退の影響トランプ政権が米軍の欧州駐留を縮小すれば、NATOと欧州諸国に多大な影響が及ぶ。欧州での防衛力の即時的空白とNATOの脆弱性が問われる。冷戦期の1950~60年代、米軍は欧州に約50万人を駐留させ、ソ連への抑止力を担っていた。冷戦終結時の1990年には約35万人、2000年代初頭には10万人強に減少したとCSISが示すように、駐留規模は歴史的に縮小傾向にある。2022年のウクライナ危機でバイデンが増派した2万人は、この流れの中での一時的な例外だったにすぎない。Fox Newsに登場するNATO外交官は、これが撤退すれば「平常への回帰」と述べるが、問題は欧州の準備不足である。NATO諸国はそれなりに軍備増強を進めているものの、即応性のある戦力を短期間で整えるのは困難である。例えば、ドイツは国防費をGDPの2%超に引き上げる方針を2022年に発表したが、2025年時点でも実戦部隊の配備や装備の更新は遅れている。この空白は、ロシアが東欧で軍事的圧力を強める格好の機会となる。NATO内部の結束揺らぎと欧州の自己負担配分の軋轢も問題となる。第一期のトランプ政権は2018年と2020年の在任中、ドイツからの米軍撤退を計画し、NATO加盟国に防衛費増額を強く求めた。先のFox Newsが報じるように、彼の副大統領JD・ヴァンスは2025年2月のミュンヘン安全保障会議で、欧州指導者に「言論の自由などの共有価値観からの逸脱」を批判し、トランプの対欧州冷淡姿勢を補強した。これに対し欧州側は「アメリカ依存からの脱却」を模索しているが、現実は厳しい。元NATO当局者カミーユ・グランはWashington Postで、「欧州の準備不足を解消するには時間がかかる」と警告しており、フランスはEU独自の防衛戦略を主張し、ドイツも軍事投資を増やすとしているが、NATO28カ国の足並みは揃っていない。トランプが「貿易不均衡への不満」を理由に撤退を強行すれば、NATO内の負担配分を巡る軋轢がさらに深まる。ロシア隣接国では不安がさらに増大する。ロシアのプーチン大統領は西側の分裂を戦略的に利用してきた。Fox Newsも、欧州指導者がトランプの「モスクワ寄り姿勢」を懸念し、ロシアがNATOの弱体化を歓迎すると報じている。特に、バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)やポーランドなど、ロシアに隣接する国々は危機感を強めている。これらの国々は、米軍の駐留が抑止力の要と認識しており、撤退は即座に安全保障の不安定化を招く。しかし、トランプがプーチンと何らかの合意(例えば、ウクライナ戦争の妥協や経済的取引)を結べば、彼の米軍撤退意欲はさらに高まる。これは、2016年選挙での「ロシアとの関係改善」発言や、2024年選挙戦での対話重視の姿勢とも符合する。しかし、その代償として、東欧諸国はロシアの軍事的威圧やハイブリッド戦争(サイバー攻撃や情報操作)の標的となりかねない。トランプの撤退は現実トランプの軍縮方針を単なる政治的パフォーマンスと見做す論評もあるかもしれないが、その背景は、トランプ個人の外交スタイルに加え、米国の戦略的再配置が絡み合っている。まずインド太平洋シフトという長期的傾向がある。米国の軍事戦略は冷戦後、インド太平洋へのシフトを加速させてきた。オバマ、トランプ、バイデンと、歴代政権は中国の台頭を最大の脅威と位置づけ、ヨーロッパへの関与を相対的に後退させてきた。Fox Newsも、両党の大統領が10年以上にわたり「欧州は自力で安全保障を担え」と警告してきたと指摘する。トランプ政権下では、この傾向がより顕著になるだけとも言える。2025年時点で、インド太平洋での中国軍事力(特に海軍拡張)に対抗するため、米軍資源の再配分が急務とされている。欧州からの米軍撤退は、この文脈で合理的な選択と映る。問題はタイミングだ。欧州が自立する準備が整う前に撤退が実行されれば、防衛の空白が生じる。トランプの行動に加えて予測不能性とプーチンとの関係も予測しにくい。元英国外交官ナイジェル・グールド=デービースはFox Newsで、「トランプの気まぐれな性格」を懸念し、「アメリカの防衛への信頼がどれだけ持てるのか」と疑問を投げかけるが、トランプは過去にも貿易問題(ドイツとの自動車貿易赤字など)を安全保障政策に結びつけ、突発的な決定を下してきた。しかも彼は大統領選中、「プーチンと話せばウクライナ問題は解決する」と繰り返し、対話を重視する姿勢を示してきたが、仮に両者が合意に至れば、トランプは「ロシアの脅威は誇張されている」と主張し、撤退を正当化する可能性がある。今後の展開とヨーロッパの課題米軍撤退が現実化した場合、ヨーロッパとNATOにはいつくかのシナリオが待ち受けている。まず、段階的米軍撤退とNATOの混乱である。トランプが即時全面撤退を避けたとしても、数年内に2万人の削減が実行される可能性は高いので、NATOはこれに対応し、緊急の軍事再編を迫られる。だが、加盟国間の意見対立(例えば、フランスのEU優先主義と東欧のNATO依存)が障害となる。これは、欧州自立強化に向ける時間との戦いでもある。フランスやドイツが主導し、EU独自の防衛体制構築が加速する。結果「米国頼みの安全保障からの脱却」が進むだろうが、2025年時点では、圧倒的な戦力不足は否めない。即応部隊の整備や共同演習の強化には、最低でも3~5年を要する。東欧の不安定化とロシアの機会主義の問題が浮上する。ロシアに隣接する国々は、米軍撤退後もNATOの支援を強く求め続けるだろう。トランプとプーチンの合意が現実となれば、ロシアはウクライナ戦争の戦術を変更し、東欧での影響力拡大を狙うかもしれない。バルト三国へのサイバー攻撃や、ポーランド国境での軍事挑発が次に現実的な脅威となる。2025.03.03 | 固定リンク«米国とウクライナの決裂

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