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2024年07月07日
■ 個人情報保護法第2期「3年ごと見直し」が佳境に差し掛かっている
個人情報保護委員会の3年ごと見直しの検討は既に昨年11月の時点から始まっており、事務局が示す方向性も3月の時点で公表されていたが、とくに表立って何も言わなかったのは、意見は公式に言うつもりだったからだ。しかし、前回(5年前)は4月に中間整理が公表され5月にヒアリングに呼ばれたのに、今年はトラブルがあったようで中間整理が出てこないし、何の連絡も来ないので、はたして呼ばれるのだろうか?呼ばれない可能性の要因もいくつか考えられるよな?と戦々恐々としていたのだったが、突如お呼び出しがあり、6月12日の委員会で意見表明の機会をいただき、無事にお話ししてきた。
いつもだとスライドを資料とするのだが、スライドでは真意が伝わりそうにないと考え、今回は頑張って文章にした意見書を書いて資料とすることにした。なにぶん2週間前に依頼があり、資料提出期限まで8営業日しかなかったので、12頁目まではがっつり書いた(いつも1日に1頁しか進まない)ものの、後ろの5頁は突貫で1日で済ませたので不完全な内容となっているが、どうにか言うべきことは書き切った。以下で公表されている。
「個人情報保護法3年ごと見直し令和6年に対する意見」, 第289回個人情報保護委員会(令和6年6月12日)資料1-2
そして、その2週間後、中間整理が6月27日に発表され、パブコメ募集が開始されている。
個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理
「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」に関する意見募集について
月末には中間整理が出るとのことだったので、2週間で中間整理だなんて、言ったことを反映できるわけもないよなと思っていたら、やはりほとんど反映されていないというか、4月の時点の事務局整理と大して違わないものが出てきた。
この状況をどう見るかだが、背景には色々ある。まあ、多くは語るまい。いずれにせよ、前回(5年前)もまあこんなもんだったとも言える。前回は、4月に中間整理が出て、かなりおかしい方向性も示されていたのだったが、5月のヒアリングで述べた意見がいくつか通り、おかしかったところは撤回されている。つまり、中間整理後にけっこう変更されたのだ。そのことからすると今回も変更の余地があると考えられるのだが、2か月遅れで進行している(前回はパブコメ期限が5月27日だった)ところに難がある。それからもう一つ難があったのだが、多くは語るまい。
というわけで、パブコメ募集期間の今、JILISで緊急シンポジウムを企画した。有識者ヒアリングの8名全員にお声がけをしたのだったが、なにぶん急だったので残念ながら3人だけの登壇となった。マスコミの方々にはぜひご来場いただきたい。
緊急シンポジウム「個人情報保護法改正に向けて」(現地会場とオンライン配信の併催), 2024年7月19日(金)
私からは、上記の意見書の内容を解説するつもりだ。しかしまあ、この意見書、読めばわかるように書いたつもりだったのに、どういうわけかネット上では全く反応がない(役所の方などからは絶賛の声も頂くのだが)。難解だっただろうか?
もう理解してくれるのは生成AIだけだよな、というわけで、今回もClaude 3 Opusに解説してもらった。これならば一般の人々にもご理解いただけるのではないかしら?
(ppc20240612-takagi.docxを添付して)
私:これは、個人情報保護法の3年ごと見直しで個人情報保護委員会のヒアリングに呼ばれた際に陳述した意見を文章にした意見書です。内容を把握できますか。
Claude:はい、提出された意見書の内容を把握しました。主な論点は以下の通りです。
目的内の提供に対する規制が過剰であり、「契約の履行」「正当な利益」に基づく第三者提供を可能にするべきだが、そのためには個人データ処理による個人に対する評価・決定の適切性確保という法目的の理解に立ち返り、関連性の原則と正確性の原則を導入し、第三者提供時の利用目的拘束の仕組みを整備する必要がある。
統計量への集計に際して第三者提供の制限が過剰であり、複数事業者が保有する個人データの突合を可能にする制度改善が必要である。
要配慮個人情報の取得制限が過剰であり、特にLLMの学習目的での取得は制限対象とすべきではない。要配慮個人情報に上乗せ規制を設ける意義自体を再検討すべきである。
散在情報に対する規制が過剰であり、個人データに統一すべきである。
経済界の要望を実現するには、上記の「過剰な規制」と「不足する規制」を一度に直す大掛かりな改正が必要であり、来年ではなく再来年の法案提出を目指すべきである。
意見書の背景として、個人情報保護法の法目的と特別カテゴリの意義について説明し、事務局の検討資料や他の有識者意見に対する見解を述べている。
以上が、提出された意見書の主要な内容になります。個人情報保護法の課題と改正の方向性について、法目的に立ち返った検討を行っています。
(個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理を添付して)
私:このヒアリングを受けて、二週間後に個人情報保護委員会から公表された「個人情報保護法いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」がこちらです。意見書で指摘されていたことは反映されていると言えますか。
Claude:意見書で指摘されていた主要な点と、中間整理での記載内容を比較すると、以下のように考えられます。
目的内提供の制限の過剰性や統計量への集計に際しての第三者提供制限の過剰性については、中間整理でも、本人同意を要しないデータ利活用等の在り方として、生成AIなどの公益性の高い技術やサービスや、医療機関等における研究活動等に係る利活用のニーズについて、公益性の程度や本人の権利利益保護とのバランスを踏まえて、例外規定に係る規律の在り方を検討する必要があるとされています。ただし、意見書で示されたような具体的な制度設計の提案までは言及されていません。
要配慮個人情報の取得制限の過剰性については、中間整理では、生体データの取扱いについて、特に要保護性が高いと考えられる生体データについて、実効性ある規律を設けることを検討する必要があるとされており、意見書の指摘とは逆の方向性が示されています。
散在情報への過剰規制と個人データへの統一については、中間整理では言及がありません。
大掛かりな改正の必要性と法案提出時期の再来年への延期については、中間整理では、パブリックコメント後も継続的な議論を行い、各検討項目の方向性を見直すことも想定されるとしつつ、提起された論点についてステークホルダーと議論するための場を設けつつ、令和6年末までを目途に議論を深めていくこととするとされています。ただし、法案提出時期については言及がありません。
以上のように、意見書の主張の一部は中間整理に反映されていますが、意見書で示された具体的な提案のほとんどは中間整理には盛り込まれていないと言えます。中間整理は検討の方向性を示したものであり、今後の議論次第では意見書の指摘がさらに反映される可能性はあると思
ただただし t@tdtds.jp プログラマ、Webアクセス解析士を経て、現在はセキュリティエンジニア兼エンジニアリングマネージャ。
学生時代からフリーソフトウェア開発に関わりはじめ、かれこれ30年。RubyではWebアプリケーションを中心に開発。tDiaryプロジェクト創始者。
妻1人、猫2匹。
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このエラーは、表示するページへのアクセス許可がなかったことを意味します。
以下のような原因が考えられます。
アクセスが許可されていない(パーミッション等によって禁止されている)。
デフォルトドキュメント(index.html, index.htm 等)が存在しない。
・ねとらぼ
2016年03月17日(木)
■著作権侵害の非親告罪化の流れ
この3月8日にTPPに関連した著作権法改正案が国会に提出された節目の機会なので、2006年〜現在までの著作権侵害の非親告罪化の流れを表にまとめた。なお、これについては、福井健策弁護士の下記のまとめも必読である。
・(これでも)超高速! TPP著作権問題の経緯と展望
・超ざっくり! TPP著作権問題の現在地点
<TPP以前>
年月 できごと
2006年11月 知的財産戦略本部・知的創造サイクル専門調査会が、海賊版対策として著作権侵害の非親告罪化を提言
2006年12月 アメリカから日本に対する年次改革要望書に「非親告罪化」が盛り込まれる
2007年5月 「知的財産計画推進計画2007」でも、海賊版対策として「親告罪を見直す」と記述
2007年6月 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会にて、法務省・警察庁ともに「著作権侵害が親告罪であることで捜査実務に支障はほとんどない」と発言(非親告罪についても権利者の意思の確認・協力が不可欠)
2007年10月 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会・中間報告「著作権等の侵害罪についての親告罪の範囲の見直しについては、著作権等侵害行為の多様性や人格的利益との関係を踏まえると、一律に非親告罪化してしまうことは適当ではない。なお、例えば現行の犯罪類型のうち一部を新たな犯罪類型としてそれのみを非親告罪化するとの考え方もあるが、そのような要件設定が立法技術上可能かどうかという点や、非親告罪とした場合の社会的な影響を見極めることも必要であり、慎重に検討することが適当である」
2008年6月 「知的財産計画推進計画2008」で「親告罪を見直す」表記なくなる
<TPP交渉の非親告罪化の流れ>
年月 できごと
2011年2月 TPP知財条項案(米国提案)が流出。「非親告罪化」が提案されていることが発覚(TPPは秘密交渉ゆえ交渉経緯・文章が発表されない…以後も同様)
2012年度 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会にパロディワーキングチーム設置・検討。パロディの法制化は敢えて行わず
2012年6月 日本マンガ学会第12回大会シンポジウム「二次創作の可能性と課題」
2012年12月 thinkTPPIP(TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム)発足
2013年3月 第8回コンテンツ流通促進シンポジウム「著作物の公開利用ルールの未来」にて、赤松健氏「黙認マーク」提唱
2013年3月 パロディワーキングチーム報告書公開
2013年6月 シンポジウム日本はTPPをどう交渉すべきか 〜「死後70年」「非親告罪化」は文化を豊かに、経済を強靭にするのか?」
2013年7月 日本が正式にTPP交渉参加
2013年7月 政府TPP対策本部がパブリックコメント募集。コミックマーケット準備会もこれに応募(2015年3月に公開)
2013年8月 コモンスフィアと赤松健氏「同人マーク」運用開始
2013年11月 ウィキリークスによるTPP条文流出。非親告罪化には日本とベトナムのみが反対。「商業的規模の著作権・商標権侵害」が対象という制約条項あり
2014年6月 参議院決算委員会、甘利TPP担当大臣「一律にみんな非親告罪にしてしまえというというような議論はですね、あまり良くないなと、いうようなところからですね、共通ルールにしていくかということを今交渉している最中であります」と答弁(山田太郎議員質問)
2014年10月 ウィキリークスによる条文流出。「権利者の市場での活動に影響を与える場合に限る」との制限を日本が提案
2015年2月 thinkTPPIP緊急声明案発表。全国同人誌即売会連絡会、コミックマーケット準備会もこれに賛意
2015年3月 「TPP協定交渉について」コミックマーケット準備会発表
2015年3月 参議院予算委員会、宮沢経済産業大臣「全面的に著作権侵害が非親告罪化されるとなると、コミックマーケット等の参加者に、影響なしとは言えないという気がいたします」と答弁(山田太郎議員質問)
2015年5月 政府TPP説明会、渋谷審議官「コミケ文化などが影響を及ぶと大きな関心事項になっている」 「何の注釈もない非親告罪化で決まり、ということになると、どういう反応になるかというのは、私どもは熟知して交渉しているつもりですので、何とかそこは皆さんのご理解が得られるような方向でまとめたい」と発言
2015年8月 参議院予算委員会、安倍総理「TPP交渉における著作権侵害の非親告罪化については、二次創作の萎縮などの懸念も踏まえ、権利保護と利用促進とのバランスを取りながら、共通ルールの構築を目指し、交渉に当たっております」と答弁(山田太郎議員質問)
2015年8月 thinkTPPIPとコミックマーケット準備会共催によるトークイベントTPPの著作権条項を考える〜非親告罪化、保護期間延長、そして法定賠償金〜」をコミックマーケット88会場にて開催
<TPP大筋合意後>
年月 できごと
2015年10月 TPP大筋合意「故意による商業的規模の著作物の違法な複製等を非親告罪とする。ただし、市場における原著作物等の収益性に大きな影響を与えない場合はこの限りではない」
2015年10月 マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟ヒアリング。非親告罪化について、福井健策弁護士、玉井克也東大教授、金子敏哉明大准教授、赤松健氏、コミックマーケット準備会が意見を述べる。
2015年10月 日経新聞「春秋」が非親告罪化をテーマとする。
2015年11月 文化審議会著作権分科会基本・法制問題小委員会にて権利者側・利用者側の関連団体ヒアリング。コミックマーケット準備会も参加。全団体が非親告罪化の慎重な法制化を求める。日本書籍出版協会「一部非親告罪化についてですが、我々出版社はこれまで表立ってコミックマーケットについてコメントしてまいりませんでした。しかしながら、コミックマーケット、コミケというのは,我が国が世界に誇るコンテンツのゆりかごの役割を果たしていると認識しております。是非ともこうした文化を守り育てる方向での制度改正をお願いしたいと思います」
2015年11月 文化審議会著作権分科会基本・法制問題小委員会「著作権等侵害の一部非親告罪化については、TPP協定において非親告罪化が義務づけられている範囲及び趣旨を踏まえつつ、我が国の二次創作文化への影響に十分配慮し、適切に非親告罪の範囲を定めること」
2015年11月 産経新聞社説「TPPと著作権 創作意欲妨げぬ仕組みを」
2015年11月 日経新聞社説創作促す著作権の仕組みを」
2015年11月 知的財産戦略本部。「著作権法の改正については、権利の保護と利用のバランスに留意し、特に、著作権等侵害罪の一部非親告罪化については、二次創作への委縮効果等を生じないよう、その対象となる範囲を適切に限定するものとする」。会議の席上安倍首相、島尻知的財産戦略担当大臣、馳文部科学大臣が「著作権に関して二次創作が萎縮しないように」と発言
2016年1月 読売新聞社説「TPPと著作権 保護強化で創作意欲守りたい」
2016年2月