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2024.11.22 Friday
author : 漆原次郎
母の冬ごもり中に生まれるため、クマの胚はいったん歩みを止める
写真作者:dana marostega
ヒトをふくむ哺乳類の話です。
受精、つまり卵子と精子が合体すると、その受精細胞が分裂しはじめ、2個、4個、8個、16個と増えていきます。そして胚とよばれるものになります。胚はその後、母体の子宮壁につく着床を経て、やがて胎児のかたちになっていきます。
受精から着床までのこの過程が一気に進むかというと、そういうわけではないようです。
受精細胞が胚になったあと「発生休止期」という、いわば「いったんお休み」の時期があることが知られています。
たとえば哺乳類のひとつであるマウスの胚は、受精3日後あたりから、数日ないし数週間にわたり発生休止の時期を迎えるといいます。いけいけどんどんと闇雲に着床をめざすのでなく、着床の前で足踏みするかのように休止します。
この発生休止は、生きものの生存戦略によるものといわれます。
胚が生じてからまもない時期、つまり発生休止の時期は、まだ母体の子宮内の環境がじゅうぶんに整っていません。胚は、母親の子宮の環境が整ってから、満をじして着床するわけです。
ヒトやマウスとおなじ哺乳類であるクマの胚は、春から秋のあいだは着床せず、母親が冬ごもりをしようとしているころ着床します。これは、クマの胚が春から秋にかけて発生休止をしているからといいます。子グマが母親から生まれでる時期として最適なのは、母クマが冬ごもりをしている最中なのです。そのほうが暖かいし、母クマがあまり動かないため下敷きにされることを避けられるなど、生まれたばかりの子グマにとってなにかと都合がよいようです。
環境が整うまでいったん休んでおくという生命の営みです。時が熟すまでいったん待っておくという人間の営みと通じるといったらいいすぎでしょうか。
参考資料
基礎生物学研究所 2019年4月8日「ほ乳類胚の胚が発生を一旦止める機構」
https://www.nibb.ac.jp/press/2019/04/08.html
文部科学省 科学研究費助成事業 学術変革領域研究(A)「多細胞生命自律性」「哺乳類発生休止の最適化における胚細胞の競合的コミュニケーション」
https://www.multicellular-autonomy.lif.
2024-10-31
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花房観音 「歌餓鬼抄」
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2023-06-04
出来ることを見極めて力を尽くす
自分抱えているの不幸に対して周囲があまりに無関心だと、孤独感が高じて虚無的になりがちだけれど、やはりそれでも、誰より誰がより不幸かというのは最終的には主観の問題ということになる。自分より不幸な人に対する配慮というのは、だからごく大切なことだけれど、何が何より不幸かを主張し合う方向は最後は泥仕合にしか繋がらない。
重要なのは、何が自分を不幸にしているのかを静かに見つめて、その条件が動かし難しいことであれば運命として甘受して、深く諦める努力をすること。しかしその上で、自分の叶えたい望み、努力やはたらきかけによって実現可能な(可能性のある)望みは何かを見極めて、そこに力を尽くしたり、これをよすがに他者と提携したり、共感を育んでいくことだと思う。
bakuhatugoro 2023-06-04 09:06
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2023-06-04
福田恆存「「妻の座」という言葉を捨てよ」について
「私は男女・夫妻の平等に反対してゐるのではない。女性の解放は女性が目醒める事によつて可能になるといふのは浅薄な知見であつて、それにはまづ男性が目醒め、納得してくれなければ、どうにもならぬのである。男女・夫婦の間柄は労使の対立とは異なつて、片方が目醒めただけでは、お互ひに不幸になるばかりと決まつてゐる」「男はただ時の勢ひで頭を下げた。自分の相手の花子とか梅子に対してではない、一般に「女なるもの」といふ抽象名詞に頭を下げたのである。いや、女に対してでもない、単に平等といふ観念に頭を下げただけである」「大事なのは男と女ではない、夫と妻ではない、家庭である。家庭の原理は封建時代も近代もない、常に「仲好くやつて行かう」の一語に尽きる。嬶天下の方がその原理に適ふ場合もあり、亭主関白の方が適ふ場合もある。一概には言へない。が、夢、平等を原理とすべからず、和を原理とすべし」
福田恆存「「妻の座」という言葉を捨てよ」
これは、男女のことに限らない話と思う。たとえば一緒に家庭を営んでいくとか、具体的な目標に向けて落としどころを意識しないと、その為の現実的な工夫や妥協点も見えて来ない。人はそれぞれ、主張する力も、理解力や許容量もそれぞれなのだから、何をもって本当の平等かと考えると雲を掴むような話になる。
表面的
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