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2025-03-31
2025年03月29日
ジョン・ディクスン・カー『絞首台の謎』を散策する(その1)
ディクスン・カーの長篇デビュー作にしてアンリ・バンコランシリーズ第一作の『夜歩く』は新訳・旧訳あわせて何度も読んでるし、あまりに有名な密室トリックは忘れようもない。だが、第二作の『絞首台の謎』ときたら、そもそも読んでいた事すら忘れていたくらいだからどんな内容だったかも思い出せなかった、という話は書評で書いた。メインとなるトリックの「古さ」が論われ、作品自体の評価もカー・マニアの間でも低いらしい。僕もことさら、この作品を擁護しようとまでは思わないが、カーを敬愛する横溝正史が、戦後の怪しさが残る銀座界隈を暗躍する殺人鬼たちを描いてみせたりしたのは、明らかにバンコラン物の影響ではないのかと思ったのだ。金田一が駆け巡る「銀座」や「四谷」「六本木」「浅草」などは、東京でありながら僕らの見知った都会とは異なる、もう一つの「東京」だ。そう感じながらも、やはり僕らがよく知る地名が出てくる事にエキセントリックな興奮をおぼえる。そういう読書体験をカーの作品でも味わう必要があるのではないだろうかと、常々思ってきた。手始めに試みたのが『帽子収集狂事件』を新訳で読んだ時なのだが、最近では『髑髏城』でもやってきたばかりだ。この『絞首台の謎』でも同じ事をやってみたいと思う。
本作に関して言えば、トリックの内容を取り沙汰するのではなく、バンコランとジェフ・マールが遭遇する事になる事件現場のダイナミズムを地図上で再現してみようという、言ってしまえばそれだけの事だ。手元にあるのは創元推理文庫版『絞首台の謎』の2017年初版の新訳(和爾桃子訳)であるが、原書としてINTERNET ARCHIVEで閲覧可能な"The LOST GALLOWS" (1960年出版 Berkley Medallion Books)を使用し、必要ならば新訳ではなく私訳を試みる。まずは、フランス・パリの予審判事という立場のアンリ・バンコランがイギリス・ロンドンを訪れる経緯は次のように書かれている。
[翻訳](1章P.12) そもそもパリからバンコランと私が出てきたのは、ヘイマーケット劇場の「銀の仮面」初日のためだった。ご記憶かもしれないがエデュアール・ヴォートレル作のこの戯曲は、それに先立つ四月のサリニー事件解決のおぞましい決め手となった曰くつきだ。
なんと! サリニー事件とは『夜歩く』の事件であり、エデュアール・ヴォートレルは登場人物の一人だったのだ。つまり第一作と第二作とはほんの少しではあるが関連がある。俄然、『夜歩く』を読み返したくなってきた。まったく厄介な性分だ。それはともかく、二人は宿泊場所をブリムストーン・クラブとし、そこを住まいとしているジョン・ランダーヴォン卿と落ち合う手はずになっていた。ジョン卿はバンコランとは旧知の仲で
ポール・ヴァーゼン 『ポール・ヴァーゼンの植物標本』 文:堀江敏幸
「ポール・ヴァーゼンの標本はどの一枚にも感情を過度に湧出させない独特の抑制が働いている。そして、その抑制が、かえって青い幻に値する意中のなにかを探るような手つきを想像させずにおかない。記された採集地が、そこで過ごした時間を、空気を、頰を撫でる風を、随伴した人との思い出を、彼女の心によみがえらせているのではないか。」
(堀江敏幸 「記憶の葉緑素」 より)
ポール・ヴァーゼン
『ポール・ヴァーゼンの植物標本』
文:堀江敏幸
リトルモア
2022年7月28日 初版第1刷発行
2022年10月28日 第3刷発行
134p+3p 索引iv
18.3×13.6cm 丸背紙装上製本 カバー
定価:本体2,000円+税
企画:飯村弦太(ATLAS)
撮影:加瀬健太郎
装幀:黒田益朗
編集:大嶺洋子
「L'Herbier de Paule Vasen」
飯村弦太による付記より:
「2017年、夏の終わり。古道具屋の僕は、いつものように古いものを求めて異国を旅していた。」
「訪れた南フランスの蚤の市。よく知る骨董商の出店場所に立ち寄ったのはすでに昼前。」
「品物もまばらになった机の片隅で寂しげに佇む紙箱に目が留まった。僕はその姿にどこか惹かれ手を伸ばして箱を開けた。すると「Melle Paule Vaesen」という可憐な飾り文字と美しい押し花が目に飛び込んできた。」
「「Melle はマドモワゼル、つまりお嬢ちゃんが作った植物標本だ、名前はポール・ヴァーゼン」
表紙のようなその台紙をそっと捲ると、更に100枚ほどの美しい草花の標本が丁寧に収められていた。」
「店主はおそらく19世紀のものだろうと話してくれたが、使われていた台紙の質からおそらく20世紀初頭のものだと僕は直観した。想像の域を出ないが、それでも100年ほどの経年に対し驚くほど良い保存状態で、最後の一枚まで野に揺られていた頃の色合いを淡くたたえながら、美しくその姿をとどめていた。(中略)迷わず箱ごと譲ってもらい、帰国したら必ず展覧会をしようとその場で心に決めた。」
「こうして同年の秋には展覧会というかたちで彼女の作品を多くの方に見ていただくことができ、この会をきっかけに、本書が作られることになった。ポール・ヴァーゼンの発見者として、大きな喜びを感じている。」
カラー図版97点。堀江敏幸「記憶の葉緑素」31頁。「索引」(標本リスト)4頁。飯村弦太による付記1頁。半透明カバー。
これは植物標本ではありますが、まぎれもなく独自のスタイルを有する、経年によって完成された極上のアウトサイダー・アートであるといってよいです。め(愛)でたいです。
帯文:
「おそらく100年も前、スイスやフランスの高山で採取された植物の標本が、
偶然にもいま日本に在る。
見知ら
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2025 / 3
2025-02-12
「ドカベン」の徳川監督の名前の由来
わが偏愛の作品である、水島新司の野球漫画「ドカベン」に徳川監督というキャラクターが登場している。
彼の名前の由来についてだが、のちに「徳川家康」という姓名になったので、徳川将軍家に由来していると思われがちで。私もそうだと信じてきた。
だが、作品中のほとんどの場面で「徳川」という苗字だけでよばれている。また、徳川将軍家のような、上品な態度はまったく示さない。
「えたいのしれない、あやしい爺い」ということでは、もしかして、かつての放送タレントにしてライターだった「徳川夢声」に由来しているのではと、私の中で少し疑いがでてきた。徳川監督といえば酒だが、徳川夢声も、大酒を飲むことでは有名な人であったのだ。
kokada_jnet 2025-02-12 00:49 読者になる
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July 01, 2022
マンガ単行本 価格の謎
先日書店で以下の三点を見つけて、やったね、と喜んで買ってきたわけですが。
●高松美咲『スキップとローファー』7巻(2022年講談社、680円+税、amazon)
●山下和美『ツイステッド・シスターズ』2巻(2022年講談社、650円+税、amazon)
●泰三子『ハコヅメ』21巻(2022年講談社、660円+税、amazon)
いずれも楽しく読みました。が、以前から気になってたのがこの価格。この微妙な値段の違いはなんだろう。
出版関係の方にはアタリマエのことなのかもしれませんが、消費者としてはよくわからない。もちろん、でかい本は高い。ページ数が多くなると高い。装丁やデザインに凝ると高い。そして少部数の本は高くなる。こういうことはわかってますが、同時期に刊行された同じ出版社の同じB6判のマンガ単行本でこの差をつけてある理由は。
単純にページ数によるものかと思いましたが、これが違う。
『スキップとローファー』と『ツイステッド・シスターズ』を比較しますと、紙は同じものを使っているみたい。そして前者は176ページ、144グラムで680円。後者は192ページ、158グラムで650円。なんと、ページ数が多いほうが、安い。ページ単価は3.8円対3.4円。なぜかベテラン作家山下和美の方がお安くなっております。
さらに『ハコヅメ』はもっと特殊で、160ページ、169グラムで660円。これでも本の厚さは前二者と同じくらいです。触った感じでわかりますが、紙が厚い。だから本が重い。ページ単価は4.1円で格段にお高くなっています。
おそらく、もっとも発行部数が多いのは『ハコヅメ』。以下はわたしの邪推になるかもしれません。少部数の本が高くなるのは当然です。しかしベストセラーが安く設定されているわけではないらしい。むしろ、ページ単価を高く設定して、出版社は少しでも多く収入を得ようとしてるのじゃないかしら。
つまり、売れるマンガは努力しなくても売れるからページ単価を高くして出版社の収支に寄与してもらう。そうじゃない作品はページ単価を安くしてお得感を出して、販売促進につなげたい。
ちなみにわたし自身がもっともページ単価が安いと思ってるのがこれ。
●石森章太郎『サイボーグ009』1巻(1966年秋田書店サンデー・コミックス、当時220円、今は490円+税、amazon)
新書判コミックス黎明期のベストセラーにしてロングセラー。なんと今も現役、新刊で入所可能です。秋田書店すげー。この1巻は302ページで1966年の発行時に220円。当時としても納得のお値段でした。ページ単価は0.73円。新書判コミックスの発売が開始されてから、マンガのコレクター、そしてオタクが誕生したのです。
そして現在もっともページ単価の高いマンガはきっとこれです。
●エイド
2014年10月より、ブログの移転を(手作業で)はじめています。 新しいブログはこちら。http://nina313.hatenablog.com/
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〓@船。美しいスクーナー帆船です。ミッキーとシャスタはこれに乗って、遠くへ連れて行かれた。この船は〈かれら〉による、ベトナム地域からのヘロインの輸送にも使われています。ヘロインの事業をマネージしている一人が、図の右上の、クロッカー・フェンウェイ。(その娘のジャポニカは家出の常習犯で、過去にドックは、フェンウェイからの依頼で彼女を連れ戻したことがある。)
〓A歯科医師の団体が税金逃れのために起ち上げたとされるオフィス。ドックとシャスタのシックスティーズの想い出の場所は、この時代、Golden Fang の建物──すごいですよ、金の牙の形をした巨大なビル──に変わってしまいました。その中ではコカイン狂いの歯科医ブラッドノイドが、女の尻を追っている。ヘロイン中毒患者は歯がボロボロになるので、歯医者のお得意さん──ということで、歯科医とヘロイン密輸は、Golden Fang のシンボルでつながる。
〓B後から分かるのですが、洗脳施設クリスキロドンは、ギリシャ語で「金の牙」の意味なのだそうです。
〈チェンネル・ヴュー〉の建設地に向かうドック。隣りにある〈チック・プラネッツ〉のマッサージ嬢でアジア系のジェイド[Hong Chau]と金髪白人のバンビ[Shannon Collis]と話した後、オートバイの轟音が聞こえて、ドックはいきなり何者かに殴られ失神した。気がつくとロス市警の〓〓ビッグフット〓<rョルンセンがいる。ここで殺人事件があった。袋に入った死体はグレン・チャーロック。殺しの嫌疑をかけれらたドックは、市警の建物から友人のオタク弁護士ソンチョ[Benicio Del Toro]への電話を許される。ビョルンセンはドックから捜査のネタを仕入れられると踏んで彼を釈放する。
司法省の船で調査してきたソンチョがドックの家にやってきて言うには、高級スクーナー船〈黄金の牙〉号が浮かんでいた海域から引き揚げられた陸軍のコンテナから、大量のドル札が発見された。それは「ニクソン」の顔が刷られた、北爆と同時にベトナムで捲かれたという代物である。夕刻、ペニーの家でドックがテレビを見ていると、右翼の団体である〈カリフォルニアの光る目〉の大会がニクソンが挨拶をして、それを口汚く野次るヒッピーの姿が大写しになる。ペニーはその男を検察への情報提供者〓〓チャッキー〓≠ニして認識するが、それはまさしく死んだはずのコーイ・ハーリゲンだった。当局はメディアとつるんで、ヒッピーの評判を貶める目的でコーイを利用していたのか。(第8章)
以上が『LAヴァイス』の、映画前半部の大筋です。予告編でフィーチャーされている〓〓ビッグフット〓≠フ日本料理店でのコミックな発声、「チョットォ、ケニチロー、ドウゾォ、モットォ、パンケークゥ」は小説の13章。もう一人の美女トリリウムの相談を受けて、ドックがラスヴェガスを動き回る
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