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純粋無垢なデスクワーク6時間
今週、職場でデスクワークを連続6時間する機会がありました。
ずっと、データベースメンテナンスのような、マウスとキーボードを使ってデータチェック、データ入力をする仕事です。
この仕事を1日しただけで、ボクの右手は腱鞘炎っぽくなりました。
そして分かったことがあります。
こんな仕事を続けていたら、体がおかしくなるということを。
ボクは以前から、普通にプログラムコードを自ら書いたり、他人が書いたコードをチェックする仕事をしています。
でも、一方で、サーバルームに移動して作業したり、他の部署の手伝いをしたり、色んな仕事をシャッフルしてきました。
と言うのも、ボク自身、飽きっぽい性格なんですね。
なので、適度に色々な仕事を混ぜるような働き方をしてきました。
その一つが、シュレッダーで紙資料を裁断する作業です。
これはボクのお気に入りの作業で、PCに向かう作業で息詰まると毎回シュレッダーで紙を裁断していました。
今になって思うと、こういう全然関係のない作業が息抜きになっていたんだと思います。
数日前のその日、ボクは朝からずっとデータベースメンテナンスのような仕事をし続けていました。
休憩も取らずに。
そして、お昼休みになった時、自席の椅子から立ち上がるのも大変だったんです。
もう、ヨボヨボのおじいちゃんみたいになっちゃったんです。
この時、改めて適度に体を動かすような休憩時間の大切さがわかった気がしました。
ボクの飽きっぽい性格が、ボクの精神をリセットしていたんでしょうね。
これからも適度に飽きたら休憩するスタイルを続けようと思いました。
11月13日 人を見た目で判断してはいけない。
11月13日、水曜、曇り。新規事業の現場会議に参加。クライアントの話によれば、無事に立ち上がっているようで、まずは何よりだ。プライベートの方ではマンションの隣人が深夜まで騒々しかった。男二人の騒ぎ声と笑い声が深夜一時過ぎまで響き渡っていた。隣人は誰が住んでいるのかわからない。男性ふたりのとき、女性ふたりのとき、女性単身のときもあるようだ。基本的には女性ひとりで暮らしているようだ。シェアハウスなのか。最近、マンションにゴミやタバコの吸い殻が捨てられている。ウチの奥様は隣人が犯人と決めつけている(根拠は見た目)が、僕はその説には乗れない。法学部卒で刑事訴訟法のゼミ出身の僕は、疑わしきは罰せずという原則を刷り込まれているのである。
「DX」という言葉について、いったい何の話なのか、ようやく腹落ちした
契約書にサインしちゃったなら、もう仕方がないな。
べつに。がっかりしてないよ。だって、そんなことになるんじゃないかと思ってたもの。
「坂上くんったら、新築の家を買っちゃったのよ!あんなに反対したのに!」
と、怒りが収まらない様子でメッセージを送ってきたのは、以前バイトをしていたレストランのオーナーである。もう8年近く前になるが、坂上君と私はその店でのバイト仲間だ。
レストランはとっくに閉店しており、学生やフリーターだった当時の若いスタッフたちは、今ではみんな就職して、全国に散っている。
私は店が閉店すると、世代の違う彼らとはすっかり疎遠になってしまったが、オーナーはいまだに元スタッフたちと連絡を取り続け、まるで母親のように世話を焼いているのだ。
子供のいないオーナーにとって、可愛がっていた若いスタッフたちは擬似家族なのだろう。
だからこそ、うっとおしがられるのもお構いなしに、プライベートな問題にまでずけずけ踏み込んでいく。
坂上君は、元スタッフの中でもオーナーが特に気にかけている存在だ。見ていて危なっかしいせいだろう。
彼は中学から学校に通っておらず、学歴もなければ手に職もないまま、20代半ばまでフリーターをしていた。
そんな彼の将来をひときわ心配し、調理の専門学校に行くよう勧め、就職までの道筋をつけたのはオーナーだった。
ただし、学校に行き渋る彼を説得したのは私である。
だからこそ、オーナーは坂上君のこととなれば、いまだに私に連絡をしてくるのだ。私が言い含めれば、坂上君が素直に言うことを聞くと思っている。
けれど、上京して就職し、今では家庭を築いて子育て中の坂上くんは、すでに30歳をとうに過ぎた大人の男なのである。
マイホーム購入を思いとどまるように説得してくれと言われても、「そりゃ無理ゲーだろ」とは思っていた。
マイホームの購入は、誰にとっても大切なライフイベントだ。一人で決めることではないから、妻の意向も強く働いているに違いない。
二人目の子供を授かったのを機に、窮屈な賃貸を脱出して、広々としたマイホームで子育てがしたいと切実に願う若い夫婦の気持ちも分かる。
けれど、
「ぜぇっっっっっっったいに反対よ!反対!せっかく夫婦仲良く幸せに暮らしてきたのに、多額の住宅ローンなんて背負ったら、そのうちお金のことで揉めるようになって、夫婦仲に亀裂が入るわよ。いつか離婚の原因になるかもしれないじゃない!」
とわめくオーナーの心配も分かるのだ。
いや、分かると言うより、この件に関しては全面的にオーナーが正しいと思っている。
坂上君には悪いが、これほど先が読めない時代に、首都圏とはいえ郊外に新築一戸建てを買うなんてどうかしてる。
しかも、4,500万円の物件を、頭金なしでペアローン50年ときたもんだ。
これから先の人生で、自分に限って離婚も失業も縁がないとでも思っているのだろうか。若さゆえの傲慢と無知って恐ろしい。
日本はこれから猛スピードで社会全体が縮んでいくのである。それは確定している未来なのに、坂上くんのように都会に住んでいる人は、まだそのことにリアルな実感を持てていないように見える。
自分の生活圏にはまだ若者が多く、人口密度も高いからだろうか。目に入る景色に大きな異変が感じられず、ニュースに触れることもなければ、危機意識を持てないのも仕方がないのかもしれない。
だから親世代と同じように、結婚をして、子供を二人作り、30代になったら郊外にマイホームを持つという古い因習に従うのだろう。
このさき日本の人口は猛スピードで減っていく。それに合わせて住宅需要も減っていく。
住まいを求める若者が減る一方で、高齢者が亡くなり大量の空き家が発生するので、都心はともかく郊外の住宅は大量に余っていく。そして町は変容するのだ。
せっかく夢のマイホームを手に入れても、気づけば周りが空き家だらけになっているかもしれないし、外国からの移民で溢れているかもしれない。
住人が減り過ぎたエリアからはスーパーやコンビニが撤退を始め、買い物が不便になる。住民の高齢化が進めば、町内会も担い手不足におちいり、ゴミ集積所の維持ができなくなったり、街路灯も点かなくなったりするのだ。
現時点では生活に便利な地域でも、20年後にどうなっているかなんて分からないじゃないか。
坂上くんはまだ若いからこそ、身軽でいるにこしたことはない。資産はなるべく流動性が高い商品でストックするべきだ。なんて話をチラッと言ってみたけれど、
坂上くんは頑なに、こう言い張った。
「いや、でも、今は2LDKの賃貸に月10万円も払ってるんですよ。同じ10万円を払うのでも、賃貸では何も残らないので、お金を無駄にしてるじゃないですか」
う〜ん。分かるよ、分かる。家を買う人って、口をそろえてそう言うよね。
分かるけど、賃貸物件は家の使用価値にその都度お金を払ってるのであって、無駄にしてるのとは違うけどな。
結局のところ、この手の話は結論ありきなので、いくら説得しようと試みたって無駄なのだ。
マイホームが欲しい人というのは、矢も盾もたまらず、とにかく家が欲しいのだから。
「これから金利が上がるんだよ」
と言っても、
「だからこそ、まだ低金利の今のうちにローンを組まないと損だ」
と反論するし、
「これからはインフレも進むんだよ」
と言っても、
「だったら新築物件の価格も上がっていくから、急がなくては」
と余計に購入を焦る。
どう諭されようと、結局は「自分の選択は正しい」という考えを補強していくだけなのだ。
マイホーム信仰という言葉があるが、家族でもないのに宗旨変えさせるのは無理である。特に「新築一戸建てに住みたがっているのは妻」の場合はなおさらのこと。
「まあ、こりゃ無理だろうな」と思いながらも、いちおう言うだけのことは言ってみた。
それは「このままじゃ坂下くんが離婚するー!破産するー!」とうるさいオーナーに対して、「私にできることはしましたよ」と言い訳がしたかったからかもしれないし、「ひょっとして、私の言うことならちゃんと聞いてくれるかもしれない」という淡い期待と驕りがあったせいかもしれない。
けれど、やはり結論は変わらなかった。
「昨日、坂下くんは家の契約を済ませてしまったんだって」
「そうですか。どうしても新築の家に住みたかったのでしょうね。もう放っておくしかないですよ」
「手付金はこれから払うそうだけど、頭金はほぼゼロなのよ。若すぎて分からないんやね…」
「仕方ないですね。私は『せめて頭金なしでローンを組むことだけはやめろ』と忠告しましたよ。それでもそうしたのだから、たとえ後で地獄を見ようとも、もう本人が責任を取るしかないでしょう」
「わざわざ家庭不和になる種を作って…」
「考えようによっては、住宅ローンを背負ったことで、坂下くんもこれから仕事に身を入れるかもしれません」
「金利を含めた支払い総額がいくらになるのかも分かってないみたい」
「私たちにできることは、もう何もありませんよ」
「二人目が生まれるのに…」
「おめでたいです。新居を構える地域が、子育て支援の手厚いところだといいですね」
「首都圏と言っても、郊外なのよ」
「今さら何を言ったところで手遅れでしょう。例えこの先ローンの支払いに困ったところで、お金のことは助けてあげられません。頑張って働きなさいよって、発破かけていくしかないです」
若い時っていうのは、こういうものなのだ。年長者の忠告が正しかったと分かるのは、どうしようもなくなった後である。
私もそうだが、凡人は自らの経験からしか学べないのだから。
そういえば、以前にも似たようなことがあった。クズのロイヤルストレートフラッシュみたいなオッサンに若いスタッフの女の子が妊娠させられて、オーナーと一緒になって別れるよう強く勧めたのに、結局そいつと結婚してしまった。
案の定、その結婚生活は私たちが予想した通りの展開となり、彼女は貧しい暮らしと夫のDVに耐えかねて、5年と経たないうちに家を出た。
そして離婚と親権争いは訴訟にもつれ、憔悴した彼女はついに精神を病み、仕事も失い、最後は実家に引き取られたという。
坂下くんの人生も「あぁ、やっぱりね」とならないことを祈っている。
今や珍しくはない“ながらスマホ”
しかし、スマホがなかった昔から、いろいろな
“ながら”がありましたね。
食事をしながらテレビを観る“ながら見”
ラジオを聴きながら勉強する“ながら勉強”
こうした“ながら行為”をする人は、2つのことを
同時進行できる器用さを持ち合わせているとも言え
ます。
また、時間を有効に使いたい、やりたいことは全て
やりたい、、そんな気持ちもあるとのことです。
その反面、1つのことに集中する力が足りなかったり、
生活に規則正しさがなく、だらしない傾向があると
言われることも。。。
まぁ、あくまでも「傾向がある」ってコトで、全ての
“ながら人”に当てはまるわけではありません。
僕は“ながら人”ではないと自分では思ってますが、
テレビ観ながら食事することは多々ありますね。。
それと、車を運転しながらケータイを操作したりは
しませんけど、ラジオを聴きながら運転してます。
さて…
そんな“ながら人”の中で、“ながら寝”する人…
布団やベッドの中で、テレビを観ながら、スマホを
いじりながら、あるいは、本を読みながら…
やがて寝てしまう。。。
そんなことが度々あると言う人は、その余韻を極限
まで引っ張りたい、残しておきたいと言う欲張りな
性格が垣間見られるとのことで。。
「今日はこれでおしまい」と、区切ってしまうこと
に寂しさを感じてしまうみたいです。
それで、恋愛においては、デートの時間をだらだら
引き延ばしてみたり…
別れ際に、やたら寂しがってみせたり…
相手から別れ話をされようものなら、とことん執拗に
食い下がって、食い下がって。。。
そして、別れてしまったら…
相手のことが忘れられず、イジイジと後を引き…
こっそりと相手の後をつける…って怖い、怖い、怖い!
ストーカーだろ!ソレは!
でも…
う~ん、近頃は別れ話の後で、つきまとわれたり、
おかしなメールが届いたり…
最悪の場合、殺されちゃうことも…
そんな事件が増えたような気がしますが、ながら寝
と関係してるんですかねぇ。。。
インターアクトは、台湾発の筆記具ブランド「Laban (ラバン)」の「アンティークII」シリーズの万年筆とローラーボールペンを2024年10月25日から日本国内での販売をスタートした。
クオバディス・ジャパンは、2024年12月12日~15日に開催される「文具女子博2024」に出店。ロディアの限定商品として「BLOC RHODIA 超絶技巧2024-『箔宝石 』BIRTHSTONE」(全12種、各税込3,960円)を数量限定で販売する。
残念ながら文具旅とはならず、何も買わずに帰途についた猫町です。
文房具屋は2軒立ち寄ったのですが、時間がなく、軽く流しただけになってしまいました。
せめてバースデーだけでも…と思ったのですが、季節商品のクリスマスカードと年賀状関連商品に売り場を占領され、なんだか見たことのある定番商品ばかりになっていたので購入は見送りました。
やはり都会なので物が多く、普段ぼんやりイオンの文具売り場を流している自分には過度な情報量であり、考えがまとまらなかったというのもあります。
しかし都会の文房具屋には都会の文房具屋特有のほころびもあり、マナーの悪い客がやってしまったのであろうありえない場所への試し書きなどを見るにつけ、なんともせつない気持ちになったりもするのです。
もちろん田舎のほうがマナーがいいと言いたいわけではけっしてなく、田舎にはない、文房具の単価も高いしゃれた店でそういう残念なことが起こるがっかり感があるわけです。
人が多いといろいろありますよね…
建築現場では、いくつもの裁判事例がある。品質的に不具合があり、誰かが怪我などをした場合には、責任の所在を求めて度々裁判が起きている。
普段の現場管理で、ちょっとした対応のマズさが裁判の「引き金」になってしまう可能性もある。 「裁判なんて私には関係ない」と思っている建築施工管理技士は多いが、決して他人事ではない。
裁判沙汰に巻き込まれれば、建築施工管理技士としてのキャリアに傷が付き、余計なストレスにさらされることにもなる。
ステンレスは錆びる?錆びない?
十数年前、私は現場所長からこのように尋ねられたことがある。
「ステンレスは錆びる?錆びない?」
あまりの突拍子もない質問に、当時、現場に入って間もなかった私は何も答えられなかった。私の困った顔を見て、所長はこう言った。
「ステンレスは錆びない、ではなく、錆びにくい。そこの言い回しを間違えて裁判になったことがあるから気をつけろよ」
知っている人もいるかもしれないが、あるマンションの内覧会で、マンションの購入者から「ステンレスが錆びているのでは?」と聞かれた若い職員が「ステンレスは錆びません」と答えたことから、言い争いになり裁判沙汰まで発展したという。
所長が言いたかったのは、「購入者と話す時は気をつけろ」「間違った情報を提供することで信頼を一気に失う」という内容だった。
安全担当の役目で今のプラント現場に来て、もうすぐ2か月が経とうとしている。以前この会社に関わった時に比べ、様々な書類や手続きがますます「人間不在」のまま進められている印象だ。
私は建築の設計図・施工図・施工管理が本職で、海外での仕事も長かった。作業員に話をするのは海外も同じだが、特に日本の現場では効率化と称し、人と人が相対して意思疎通を図る場面がドンドン少なくなっていることに疑問を抱いている。
安全担当は、様々な書類を受け取り、中身を確認し、不備をチェックする。場合によっては書き直してもらい、新規の人たちに対し直接口頭で現場の説明や独自の決まり事などを説明するのだが、現場に来る人たちの経験や知識、理解度は多種多様だ。そんな彼ら全員に理解してもらうためには、一人一人の表情を見ながら理解度を推測し、分からない人には基礎的な話からしてあげるべきだろう。
今いる現場では新規入場者教育はかろうじて対面で話をしているが、それさえ今は、ほとんどの現場で共通のビデオなどを見せて終わりになってしまっている。これでは、話を聞く側もどこの現場も同じことを言ってるだけで新鮮味もなく、真剣に話を聞く気持ちにはなれないだろう。
寒い冬の朝に「Life on Products(ライフオンプロダクツ)充電式ネックカイロ」
週が明けたら急に寒さが厳しくなってきて、秋を超えて冬の気温になりつつある首都圏地方。やけに暑い夏だったなと思っていたら、今年の冬な寒さが厳しいのか?夏は暑さを和らげるためのネッククーラーが活躍したが、冬は逆に温めてくれるネックカイロが活躍しそうだ。
充電式のネックカイロ
ライフオンプロダクツが発売しているのが、「充電式ネックカイロ LCAEA010」という商品。首元を温めてくれるネックカイロだ。充電式なのでコードなどを気にせず使えるのが良い。カラーはアイボリーとチャコールの2色が用意されている。
夏にはネッククーラーが活躍してくれたが、冬は同じく首にかけるネックカイロが活躍しそうだ。
君ははじめて見たブラのことを覚えているかい?
25年前、僕は二十代の若者で、仕事に追われる日々を送っていた。誇張抜きに実家と職場を往復するだけの毎日。自宅の近くに幼稚園バスが送迎にやってくる場所があって、僕は毎朝、バスを待つ親子と目を合わさないようにして通り過ぎていた。ある日、バスを待つ親子のなかに男の子と一緒にいるマユミちゃんの姿を見つけた。彼女は幼馴染で、小学校最後の二年間は同じクラスだった。草野球やドッジボールも一緒にやった仲のいい友達のひとりだ。男の子は彼女の子供らしい。1985年、小学六年の夏、僕は彼女と幻の湖をさがす旅に出た。僕らが暮らす町は山と海に囲まれていて、あの山の向こうに誰も知らない湖がある、というマユミちゃんの言葉を信じて、僕と彼女とその他二人(誰だか忘れた)はお菓子と水筒を入れたリュックサックを背負って湖を目指した。マユミちゃんは小さい頃からいつも僕より前を歩こうとしていた。僕はそれが気に入らなくて、いつも彼女の前に出ようとした。でも幻の湖への道中は違った。パラダイムシフトが起きたのだ。
良く晴れた暑い日だった。シャツはすぐに汗で濡れてしまった。湖はピクニックコースから外れたところにあるので藪の中を進むしかない。足もとは湿っていて靴の中に水分が染みてきて気持ち悪かった。真夏の太陽の暑さと、下からの湿度に挟まれてペチャンコになりそうだった。出直そう、誰かが言ったけど、マユミちゃんから、男のくせに弱虫ね、と言われて帰るに帰れなくなった。マユミちゃんは先頭を譲らず、僕は彼女の背中にくっつくようにして歩いた。あとの二人は僕より少し離れてついてきた。実はマユミちゃんの背中から目が離せなくなっていた。彼女はブラジャーを身につけていた。僕が彼女のブラジャーに気づいたのはそのときが初めてだった。汗で濡れて透けてしまったシャツはブラジャーの守護者としての役割を放棄していた。ブラジャーは僕にこれが彼女と遊ぶ最後の機会になるという不吉な予感をもたらしていた。
ブラジャーはゴールテープに似ていた。僕は足が遅く、運動会の徒競走は3着が最高で、ゴールテープにふれることなくいつもレースを終えていた。遊びの延長でブラジャーに触れることもできた。お前ブラジャーなんかつけているのかよ、と茶化すこともできた。僕と彼女のあいだには遮るものはなかったからだ。でも出来なかった。触れることで大切なものが未来永劫に壊れてしまう気がしたのだ。僕らはこのままではいられない悲しい予感。僕らの背丈より高い藪の向こうにあるような未来がそれほど良いものではなかったら…という不安。そういうことを考えるとバラバラになりそうだったけれど、目の前で揺れるブラジャーに集中することで何とか落ち着きを保つことができた。後ろの二人が拾った木の枝で藪を叩く、ピシッ、という音が鬱陶しかった。そろそろだよ、もう少しだよ、幻の湖の接近を知らせるマユミちゃんの声が少年時代の終わりを知らせるサインのように響いて耳をふさぎたくなった。
ふいに目の前のブラジャーが大きくなる。マユミちゃんが立ち止まったのだ。僕とほか二名はマユミちゃんの横に出た。湖はあった。地図にはない湖。サイズは湖と呼ぶにはいささか小ぶりで湖面の多くは藪と葉っぱと影に覆われていたけれども、小さい僕らから見れば立派な湖だ。僕は目の前にある小さな湖より、横にいるマユミちゃんの胸が気になった。「湖が本当にあってよかった」と彼女が言い。「あるに決まっているよ」と僕は横目で見ながら答えた。旅は終わった。
中学生になると、僕とマユミちゃんは他人になる。予感的中。一緒に遊ばなくなり、話をすることすらなくなる。素行のよくないグループと行動を共にするようになった彼女の背中に、ピンクや水色のブラジャーのラインが浮かんでいるのを見たとき、僕の知っている彼女は変わってしまったと思い知らされる。別の高校に進学すると他人度は加速。軽く頭を下げても無視されるようになる。ガラの悪い男の中型バイクの後ろから降りてくる彼女は、制服を着ていてもわかるほど胸が大きくなっていたけれども、一緒に湖を探して歩いた少女の面影を残していたことがかえって僕の哀しみを深いものにする。あの夏、彼女のブラジャーはやはりゴールテープだった。僕は徒競走と同じようにゴールテープに触れることなくレースを終えていたのだった。
僕は、大学生、社会人になり、そして25年前、サラリーマンになった僕は母親になったマユミちゃんと再会する。僕は、彼女が子供といる幼稚園バスの送迎場所の前を毎朝通り過ぎた。目が合えば軽く会釈はした。彼女は頭を下げて返してくれた。何年か経つとマユミちゃんの姿は消えた。子供が幼稚園児から小学生になったのだろう。本当の終わりだ。もし、あの湖の前でブラジャーに触れていたら、茶化していたら。僕らは違うルートの未来を歩いていたのだろうか。わからない。戻れない。そして10年、20年と時は流れる。幼稚園バスの送迎場所の前を僕は毎日のように通り過ぎた。幼稚園に通う親子は何代も入れ替わり、幼稚園バスも新しい車に代わり、運転手のおじさんは引退しておばさんになった。
今年、僕は50歳になった。立派な初老だ。ブラジャーについて語る年頃はとっくに終わっている。今年の春、幼稚園バスの待ち合わせ場所でマユミちゃんを見つけた。彼女は小さい女の子を抱っこしていた。僕は頭を下げて挨拶した。5メートル先の彼女は声を出さずに口だけを動かした。マ・ゴ。孫!僕はなんだか胸がいっぱいになってしまった。幻の湖をさがした小旅行と僕の前を歩く彼女の白いブラジャーの記憶が一気に蘇った。あのブラジャーはずっと僕の前にあり、今も僕の前にある。ブラジャーのゴールテープは永遠に届かないものではなく、道標のようにずっと先にあり続ける道標だった。僕は僕しかジャッジできない、僕の、僕だけのレースを走り続ける、それだけのことなのだ。(所要時間40分)
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